チューリッヒは外務省の安全対策基礎データで邦人スリ被害が多発する5都市の筆頭として名指しされています。具体的な発生場所として挙げられているのは「空港、駅、鉄道内、レストラン、ホテル(ロビー、朝食会場)、観光名所」、つまり旅行者が必ず通る場所すべて。在ベルン大使館「安全の手引き」(2025年11月更新)はスリの手口を5パターンに分類していて、これを知っているかどうかで被害率が変わります。
Travel Alert 01
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チューリッヒでスリ・置き引きが多い5パターン
大使館の手引きが分類しているのは次の5つ。
- 電車等、乗車時のお手伝いスリ --- 「網棚に載せてあげる」「大きな荷物を運んであげる」と声をかけ、持ち逃げ
- ぶつかりスリ --- 路面電車・バスで体を不自然に寄せ、降車後に財布が消えている
- 押しのけスリ --- 駅ホームから列車の窓を叩いて気を引き、車内のもう1人がバッグを抜く
- ご案内スリ --- 道を尋ねるふり・写真を撮ろうとする隙にバッグのファスナーを開ける
- ホテルでの置き引き --- ロビー・朝食ビュッフェ・レストランでバッグや部屋の鍵を盗む
スリや置き引きは、空港、駅、公共の乗り物内、ホテル等で日常的に発生しています。用心していても一瞬の隙きをつかれ、注意をそらされた間に盗難に遭っています。
「日常的に発生」という言葉に現実味があります。観光地スイスでも「日常」として置き引きが起きている、と理解しておこう。
チューリッヒ空港・中央駅 --- 被害が最も多い動線
外務省ソースが明示している空港・接続駅の被害事例。
- 空港で見知らぬ人から声を掛けられ、親切心からクレジットカードを貸したところ、カードをすり替えられ、不正使用された
- 駅のホームから電車の窓ガラスを叩かれ、何だろうと気を取られている間に、乗車していたもう一人にバッグを盗まれた
- 電車内で一人が小銭を故意にばらまき、親切心から拾い集めてあげている間にもう一人にバッグなどを盗まれた
スイスの駅には改札口がないので、誰でもホーム・列車内に入れます。犯人は列車の出発間際に盗んでドアから降りるので、被害者は走り出した列車内でやっと気づく――これがスイス独特の構造的問題。中央駅では発車1分前まで荷物から手を離さないのが鉄則です。
Travel Alert 02
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ホテル朝食ビュッフェの置き引き --- 鍵から金庫まで連鎖
ホテル朝食での被害は特徴的で、部屋の鍵を盗む→部屋の金庫から抜くまで連鎖するケースがあります。
- ホテルのロビーやレストランで置き引きにあった
- ビュッフェ形式の食事の際、食事を取るため席を外している間に椅子に置いたバッグを盗まれた
- ビュッフェ形式の食事の際、テーブルの上に置いた部屋の鍵を盗まれ、食事中に部屋の金庫から貴重品を盗まれた
部屋の鍵カードはテーブルに置かない、ポケットに入れて持ち歩く。貴重品は身につけたまま料理を取りに行く。たったこれだけで、朝食中に部屋まで荒らされる事態を防げます。
路面電車・トラム車内 --- 「ぶつかりスリ」と刃物切り
チューリッヒはトラム網が市内移動の主役。乗降時のスリが特に多い。
- 路面電車やバスの車内で不自然に体を寄せて隣に座る、立つ等した人がいて、降車後にバッグや上着のポケットから財布を盗まれているのに気が付いた
- 公共交通機関内で外の景色を写真に撮っている間にスリにあった
ぶつかりスリは数秒で完結するので、その場で気づくのは難しい。降車後にすぐに財布の有無を確認するクセをつけておこう。鋭利な刃物でバッグを切って中身を抜く手口も報告されています。ズボンの後ろポケットに財布を入れないだけで被害確率は大幅に下がります。
Travel Alert 03
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「お手伝いスリ」「ご案内スリ」--- 親切が罠
スイス特有の名前がついている手口。
- 電車内で大きな荷物を「運んであげる」と親切に話しかけられ、運んでもらっている間に中の物を抜き取られていた
- 発車間際に手荷物を「網棚に載せてあげる」と言われたので渡したところ、載せるふりをして持ち逃げされた
- 道を尋ねるふりで近づき、写真を撮ろうとする隙にバッグのファスナーを開けられる
犯人グループには若い女性が加わっていることもあり、親切を装い、一目では犯罪者かどうか見分けがつかない場合が多いので注意が必要です。
「優しそうな人=安全」が通用しないのがスイスのスリの特徴。親切に話しかけてくる=身構えるを基本姿勢にしましょう。
駐車場の車上狙い
レンタカーで動く人は車上狙いも要注意。
- 駐車した車から貴重品を盗まれた
スーパーや観光地の駐車場で、車内に荷物を残したまま離れる時間が長いほど狙われやすい。車内に何も残さないを徹底すれば防げます。トランクに入れても、駐車から離れる前に荷物を移しているところを犯人に見られているケースが多い。
Travel Alert 04
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手口早見表
| 手口 | 多発場所 | 何分・どのタイミング | 対策 |
|---|---|---|---|
| お手伝いスリ | 列車・空港 | 出発間際の数秒 | 自分で網棚に載せる |
| ぶつかりスリ | トラム・バス | 乗降時の混雑 | 後ろポケットに財布禁止 |
| ホテル朝食置き引き | ホテル朝食会場 | 料理を取りに行く5分 | 貴重品を身につけたまま |
| クレカすり替え | 空港・駅 | 「貸して」の声かけ直後 | 絶対に貸さない |
| 押しのけスリ | 駅ホーム | 列車到着・出発の瞬間 | 窓を叩かれても無視 |
| 道案内スリ | 観光地・旧市街 | 写真撮影中 | バッグは体の前 |
| 駐車場車上狙い | 観光地駐車場 | 駐車中(数十分) | 車内に何も残さない |
出発前にできる対策
- バッグは体の前、リュックは前掛け --- 観光地・公共交通で必須
- ホテル朝食では貴重品を身につけたまま --- 部屋の鍵カードもポケットに
- 駅・空港で見知らぬ人の声かけに応じない --- クレカは絶対に貸さない
- ズボンの後ろポケットに財布を入れない --- ぶつかりスリ対策の最重要事項
- 改札なしの駅では列車が動くまで荷物を手放さない --- スイス特有の構造リスク
- 海外旅行保険+クレカ会社の緊急連絡先をスマホに保存 --- 被害時の即時対応用
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭った場合の対応
- 警察(117)に通報 --- 被害届(Polizeirapport)を発行してもらう。保険請求の必須書類
- クレジットカード会社へ電話 --- 海外用緊急連絡先を24時間対応で開けてある
- パスポート紛失時は在スイス日本国大使館(ベルン)へ --- 帰国のための渡航書を発行
- スマホ紛失時はキャリアの利用停止申請 --- 不正利用を防ぐ
- 海外旅行保険会社に連絡 --- 被害届と現地での出費レシートを保管しておくこと
スイスの医療費は世界最高水準で、転倒1回で1,000万円超のケースもある国。スリ被害だけでなく、現地でケガや病気をしたときの備えとしてヨーロッパの海外旅行保険を出発前に必ず確認しておこう。
よくある質問
チューリッヒ空港でスリに遭ったらまず何をすればいい?
その場で警察(117)に通報し、被害届(Polizeirapport)を発行してもらいます。海外旅行保険を請求するには警察の被害証明が必須。クレジットカードはすぐにカード会社の緊急連絡窓口に電話して停止を。在スイス日本国大使館(+41-31-300-2222)はパスポート紛失時の最終窓口。
ホテル朝食ビュッフェでバッグを置きっぱなしにしても大丈夫?
大使館の手引きが具体的な被害事例として挙げています。「ビュッフェ形式の食事の際、食事を取るため席を外している間に椅子に置いたバッグを盗まれた」「テーブルの上に置いた部屋の鍵を盗まれ、食事中に部屋の金庫から貴重品を盗まれた」。鍵カードはポケットに入れて持ち歩き、貴重品は身につけたまま料理を取りに行きましょう。
チューリッヒ中央駅で「網棚に荷物を載せましょうか」と声をかけられたら?
大使館が分類している5大スリ手口の1つ「電車等、乗車時のお手伝いスリ」です。「発車間際に手荷物を網棚に載せてあげると言われたので渡したところ、載せるふりをして持ち逃げされた」と具体事例が記載されています。親切心で渡さず、自分で載せましょう。スイスの駅は改札がなく、犯人は出発間際に盗んでドアから降りるパターンが多い。
クレジットカードを「貸して」と言われた時の正解は?
絶対に貸さない。外務省の被害事例に「空港で見知らぬ人から声を掛けられ、親切心からクレジットカードを貸したところ、カードをすり替えられ、不正使用された」とあります。一瞬手放した時点ですり替えが成立します。困っている人を助けたい時は、自分のカードでは対応せず駅員・警察を呼びましょう。
被害に遭わないためのチューリッヒでの基本ルールは?
大使館の手引きから5つ。①バッグは体の前、リュックは前掛け②ホテル朝食では貴重品を身につけたまま③駅・空港で見知らぬ人の声かけに応じない④ズボンの後ろポケットに財布を入れない⑤改札なしの駅では列車が動くまで荷物を手放さない。これだけで被害率が大幅に下がります。