アンティグア・バーブーダは、カリブ海東部に浮かぶ人口約9万8千人の小さな島国です。「365のビーチ」をうたう観光立国で、欧米からの直行便や大型クルーズ船が発着し、首都セントジョンズには多くの観光客が集まります。危険情報は発出されておらず、観光地の治安は比較的安定している部類に入ります。
ただ「比較的安定」と「安全」はイコールではありません。外務省「アンティグア・バーブーダ 安全対策基礎データ」と、兼轄する在バルバドス日本国大使館の情報を読むと、(1) クルーズ観光客を狙った強盗・置き引き・ホテル客室荒らし、(2) けん銃を使った凶悪事件の増加、(3) 国内に日本の在外公館がないこと、(4) 入院・手術は米国搬送が前提になる医療事情、という4点が浮かび上がります。
Travel Alert 01
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危険レベルは発出なし、でも強盗2,029件
外務省はこの国に危険情報を出していません。観光立国として、現地警察も観光客が被害に遭わないようパトロールに力を入れています。一方で、犯罪の数字を見ると油断はできません。
観光地の治安は比較的安定していますが、2022年は殺人が10件、強盗等は2,029件発生しています。特に、けん銃を使用した凶悪事件は増加傾向にあります。
人口10万人に満たない島で強盗等が年間2,029件、けん銃を使った凶悪事件は増加傾向。「危険情報なし」という言葉だけで安心せず、強盗が出る前提で行動を組み立てておきましょう。
クルーズ観光客が狙われる強盗・置き引き・ホテル客室荒らし
外務省は、外国人旅行者が特に遭いやすい被害パターンをはっきり挙げています。
特に外国人旅行者は、強盗、置き引きやひったくり、住居侵入(ホテルの客室荒らし)などの被害に遭いやすいので、以下の基本的な防犯対策が必要です。
ポイントは「目立つと狙われる」こと。具体的な防犯のコツも示されています。
高級腕時計や宝石類、カメラを所持していると強盗等の標的になりやすいので、外出時にはなるべく目立たないようにする(中略)スマートフォンも狙われやすいので、人目に付く場所で取り出したり、歩きながら使用したりしない。
リゾート気分でアクセサリーを着けて、スマホ片手に街を歩く——これが一番狙われる格好です。歩きスマホをやめ、貴金属やカメラは目立たせない。これだけで標的になりにくくなります。
見落としがちなのがホテルの客室荒らしです。
ホテルでは、在室中であっても押し込みや強盗等の被害に遭わないよう施錠を徹底する。
「部屋にいるから大丈夫」ではなく、在室中でも施錠を徹底するのが基本。夜間はさらにリスクが上がります。
夜間の外出は強盗や性犯罪の被害に遭う危険性が高くなるため、一人歩きやひと気のない場所への立ち入りは極力避け、肌を著しく露出する服装は避ける。
加えて、日没後のビーチには薬物中毒者が徘徊していることが多いと外務省は名指しで警告しています。日が落ちたあとの海岸の散歩は避けるのが無難です。
もし銃やナイフを突きつけられたら、在バルバドス日本国大使館の「安全の手引き」が示す対応は明快です。
銃やナイフを突きつけられたら「絶対に抵抗しない」。犯人を凝視せず、刺激を避けて命を最優先にする。
モノは保険で取り返せます。命を最優先に、抵抗しないことが鉄則です。
Travel Alert 02
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タクシーはメーターなし、運賃は乗る前に確認
島内の移動はミニバスとタクシーが中心で、一般的には安全とされています。ただしタクシーにメーターはありません。
タクシーにはメーターがなく、行き先や時間によって料金が決まります。乗車前に、必ず運転手に運賃を確認してください。
乗る前に運賃を確認する。これを徹底するだけで、降車時のトラブルはかなり防げます。バスを使うときは、車内で財布や高額紙幣を取り出さずに済むよう、小銭を先に用意しておくと安心です。
なお、首都セントジョンズ周辺は道路が入り組み、信号機のない交差点が多く、運転に慣れていない人には優先道路が分かりにくい構造です。レンタカーを借りる場合、国際運転免許証はそのまま使えず、現地の運転免許証(Temporary License)を取得する必要がある点も覚えておきましょう。
大麻は「合法」でも手を出さない —— 荷物の運び屋に注意
アンティグア・バーブーダでは2018年から、18歳以上の大麻・大麻樹脂(15グラム以下)の医療・宗教目的の所持が非犯罪化されています。ただし外務省は強くクギを刺しています。
大麻が合法の国での利用であっても、日本の法令の規定上処罰の対象となる可能性があります。大麻には決して手を出さないようにしてください。
現地で合法でも、日本人が手を出せば日本の法律で処罰されうる、ということです。さらに気をつけたいのが、知らないうちに運び屋にされる手口です。
滞在中は見知らぬ人から荷物を預かったり、他人に荷物を預けたりして、知らぬ間に違法薬物の運び屋にされないよう注意してください。
入国時の税関では、スーツケースの開披検査を求められることもあります。検査を拒否するとかえって疑われて時間がかかるので、係官の指示には素直に従いましょう。
国内に日本の大使館がない —— パスポート紛失に要注意
この国ならではのリスクが、日本の在外公館が国内にないことです。
アンティグア・バーブーダにおいて、パスポートを紛失したり、盗難被害に遭った場合、同国には日本大使館等の在外公館がないため手続きに時間を要し、予定どおり出国できない可能性がありますので、パスポートの紛失等には十分ご注意ください。
兼轄しているのは在バルバドス日本国大使館で、現地に窓口はありません。つまりパスポートを失くすと、再発給の手続きに時間がかかり、帰国便に乗れない事態もあり得ます。パスポートはホテルの金庫など安全な場所に保管し、コピーやスマホでの撮影控えを別に持っておきましょう。置き引き・客室荒らしの多い国だけに、ここは特に念入りに。
Travel Alert 03
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入院・手術は米国搬送が前提 —— 緊急移送費まで備える
医療事情も、出発前に理解しておきたいポイントです。軽い治療は現地で受けられますが、重い症状になると話が変わります。
救急対応が可能な総合病院もありますが、専門医師が常駐しているとは限らないことから、入院や手術を要する症状の場合には、早めに米国や日本への移送を考える必要があります。
入院や手術が必要なレベルになると、米国や日本への医療搬送が前提になります。当然、搬送には高額な費用がかかります。
海外旅行保険に加入していなかったために、病気やケガに伴う治療や緊急移送などで多額の出費を余儀なくされたケースが少なくありません。
外務省は、緊急移送費を含む十分な補償の海外旅行保険を強くすすめています。カリブ旅行に必要な備えの考え方は中南米の旅行保険まとめで整理しています。
感染症と自然災害 —— 蚊媒介感染症とハリケーン
健康面では、蚊が媒介する感染症に注意が必要です。
熱帯地域に多い、蚊を媒介した感染症(ジカウィルス感染症、デング熱など)に注意する必要があり、蚊に刺されない対策(行先に応じて防虫剤の活用や長袖の着用など)を心掛ける必要があります。
虫除けと肌の露出を抑える服装が基本です。外務省はカリブ地域一帯でエイズの感染率が高い点にも触れています。食事面では、保存状態の悪い生鮮食品もあるため、生ものは避け、加熱したものを選ぶのが無難です。
自然災害では、6月から年末にかけてのハリケーンシーズンが要注意。2024年7月には観測史上最強級のハリケーン・ベリルが襲来し、南部海岸のインフラに甚大な被害が出ました。さらに周辺に活火山があり、噴火で航空便が欠航・空港閉鎖になることもあります。この時期に渡航するなら、気象情報のこまめなチェックを欠かさないようにしましょう。
治療費の現実 —— 北米圏(米国)の参考事例
アンティグア・バーブーダ単独の保険金支払い事例は損保各社のデータベースに見当たらないため、医療搬送先になり得る北米(米国)の事例を「カリブでこの規模の治療が必要になったときの費用感」という参考枠で挙げておきます(いずれもアンティグア国内で起きた事例ではありません)。
- 海水浴中に溺れて意識不明、ICUで約1か月入院後にプライベートジェットで搬送(現地治療費約3,000万円) --- 支払保険金 1,700万円(米国/損保ジャパン off!)
- 急性盲腸炎で緊急手術・入院3日間 --- 支払保険金 241万円(米国/損保ジャパン off!)
海のアクティビティが主目的の島だけに、溺水のような海の事故は他人事ではありません。ICU入院と搬送が重なると1,700万円規模、盲腸のような急病でも数百万円。「入院・手術は米国搬送が前提」という外務省の記述とあわせて、緊急移送費まで含む海外旅行保険を備えておくのが現実的です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
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通信手段 —— 現地SIM・eSIMの備え
在外公館が国内にないぶん、最新の治安・気象情報の確認や、トラブル時の連絡には、現地で確実につながる通信手段が欠かせません。空港や街なかのフリーWi-Fiに頼り切らず、渡航前にeSIMを用意しておくと安心です。料金はアンティグア・バーブーダのeSIM最安料金比較で、各社公式サイトから取得した実売価格を旅行日数別に確認できます。各社の性格や選び方そのものはeSIM比較を参考にしてください。
緊急時連絡先(保存推奨)
外務省「アンティグア・バーブーダ 安全対策基礎データ」から:
- 警察: 999/462-0125
- 消防: 911/462-0044
- 救急: 462-0251
- 兼轄公館: 在バルバドス日本国大使館(公式サイト)
アンティグア・バーブーダに日本の在外公館はなく、在バルバドス日本国大使館が兼轄しています。3か月未満の旅行者は たびレジ に登録しておくと、現地の治安・気象の注意喚起や、緊急時の安否確認に使えます。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
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まとめ —— 「比較的安全」を油断しないために
アンティグア・バーブーダは危険情報の出ていない、カリブでも比較的治安の良い島国です。それでも出発前に押さえておきたいのは次の4つです。
- クルーズ観光客を狙う強盗・置き引き・客室荒らし(強盗等2,029件、目立つ装飾品・歩きスマホを避け、在室中も施錠、日没後のビーチに近づかない)
- けん銃を使った凶悪事件は増加傾向(銃やナイフを突きつけられたら絶対に抵抗しない)
- 国内に日本の在外公館がない(パスポート紛失で帰国できなくなる恐れ、保管とコピーを徹底)
- 入院・手術は米国搬送が前提(緊急移送費まで含む高額補償の保険を備える、蚊媒介感染症・ハリケーンにも注意)
365のビーチを安心して楽しむために、目立たない行動・パスポート管理・海外旅行保険の備えだけは、出発前に必ず済ませておきましょう。