サイパンは東京から約3時間半、日本から最も近いアメリカです。北マリアナ諸島の中心島で、ビーチリゾートとして日本人の渡航先に根強い人気があります。米国の自治領(コモンウェルス)なので法律は米国連邦法がベース、通貨は米ドル、緊急通報も911です。
治安面で出発前に押さえておきたいのは4つ。(1) ガラパン地区周辺の窃盗・ひったくり、とくに夜間に女性を狙った強盗・窃盗、(2) 流しのタクシーが存在しない車社会ゆえの交通リスク、(3) 麻薬犯罪の増加傾向と銃社会、(4) 島内唯一の総合病院しかない医療体制と2,000万円超の高額医療費事例。順に見ていきます。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険レベル --- 危険情報は出ていない
外務省は北マリアナ諸島に対して危険情報・感染症危険情報とも発出していません。ただし「危険情報なし=安全」という意味ではなく、一般犯罪が散発している点は外務省「安全対策基礎データ」がはっきり書いています。
北マリアナ諸島、特に観光客が集中するサイパン島では、観光客を狙ったひったくり、置き引き、車上荒らし等の一般犯罪が散発しているほか、一般住宅、商店、レストランやゲーム場を狙った強盗事件も発生しています。
在サイパン領事事務所の「安全の手引き」も、犯罪発生件数は「必ずしも少ないとは言えず」と述べています。危険情報が出ていない地域だからこそ、油断しやすい。ここが注意ポイントです。
ガラパン地区の窃盗・ひったくり --- 夜間の女性狙いに要注意
観光客が集まるガラパン地区周辺でも、ひと気のない路地や街灯の暗い場所があります。外務省は夜間に女性を狙った犯罪を名指しで警告しています。
特に、夜間時間帯に女性を狙った強盗や窃盗被害が確認されていることから、女性が日没後に徒歩で移動することはできるだけ避け、外出する際は細心の注意を払うことが必要です。
外務省が記録している日本人の犯罪被害例は、いずれもサイパン島内で実際に起きた事案です。
- ガラパン地区・北マリアナ博物館敷地内で、散策中の邦人女性が背後から男に首を絞められ、壁・地面に顔を叩きつけられて意識を失い、財布を盗まれた
- ススペビーチの公園で、車を停めた直後にハンドバッグを車内から盗まれた
- ガロライ地区のアパート駐車場で、邦人女性が背後から近づいた男にバッグごと奪われ、しがみついた被害者は地面に倒され軽傷
- キャピタルヒル地区・アスマトゥイス地区の邦人宅では、窓からの侵入で旅券・現金・パソコン等が盗まれる侵入盗が複数件
散策中に背後から首を絞められるような暴力的な手口が起きている点は、リゾート地のイメージとギャップがあります。夜間に女性だけで歩かない、車内に荷物を残さない、宿の戸締まりを徹底する。この3つは最低限やっておきたいところです。
外務省の防犯対策も具体的で、「路上を歩く際は車道側に荷物を持たない」「ひったくり被害に遭った場合は抵抗や追跡をしない」「見知らぬ人に話しかけられても安易に応対しない」と挙げています。走行中の車から手を出してバッグをひったくる手口があるので、ショルダーバッグは車道と反対側に持つ習慣をつけておきましょう。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
交通 --- 流しのタクシーなし、車社会で歩行者は要注意
サイパンの公共交通は極めて限られています。外務省「安全対策基礎データ」の記述がわかりやすいのでそのまま押さえておきましょう。
バスが唯一の公共交通機関となりますが、市内の2地点を往復するのみで、空港にはアクセスしておらず、また停留所にも標識がないなど、観光客には利用が難しいものとなっています。タクシーはほとんどがホテルに待機しており、流しのタクシーはありません。
バスは空港に行けず、停留所に標識もない。流しのタクシーもいない。つまりレンタカーかホテル待機のタクシーが移動手段になります。
車社会ゆえに、歩行者への配慮が薄い運転も多い点に注意が必要です。歩道のない道路では交通事故のリスクが上がります。赤信号でも車両は右折可能(米国ルール)なので、横断歩道でも油断しないこと。在サイパン領事事務所の「安全の手引き」も、速度超過や飲酒運転による交通事故が起きていると記しています。
麻薬犯罪の増加と銃 --- 日本とは違う「米国法域」の現実
在サイパン領事事務所の「安全の手引き」は、サイパンの犯罪傾向として麻薬売買・所持に関する犯罪が増加傾向にあると明記しています。さらに銃を使用した犯罪も過去に発生しており、日本とは異なり犯罪に銃が容易に使われ得る環境だという警告があります。
外務省「安全対策基礎データ」でも、麻薬・大麻・違法薬物の持ち込みは明確に禁止されています。リゾート気分で気が緩んでも、ここは米国法が適用される地域です。薬物には絶対に手を出さないこと。
テロ・誘拐については、在サイパン領事事務所は「テロ・誘拐を起こす要因となる問題はなく、危険性は低い」としつつも、不特定多数が集まる場所での無差別テロの可能性は否定していません。過度な心配は不要ですが、たびレジの登録は済ませておきましょう。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
台風・地震・津波 --- 自然災害も見逃せない
サイパンはリゾートのイメージが強いですが、自然災害のリスクもあります。在サイパン領事事務所の「安全の手引き」は次のように整理しています。
- 台風: 北マリアナ諸島は近海で発生した台風の通過点になることがある
- 地震・火山: 地震や火山活動等の自然災害に遭遇する可能性も少なくない
- 津波: 地理的に周辺国で発生した津波の影響を受けかねない
台風シーズン(5月頃〜12月頃)に渡航する場合は、現地の気象情報と避難経路を事前に確認しておくと安心です。
高額医療費 --- 島内唯一の総合病院と2,367万円の搬送事例
サイパン島内の総合病院はCommonwealth Healthcare Corporation(C.H.C.C.)の1か所のみです。一般病床86床、ICU 4床で、内科・一般外科・小児科・産婦人科・歯科・救急部を備えています。救急部(ER)は24時間稼働ですが、高度な治療が必要な場合はチャーター機での医療搬送になる可能性があります。
保険会社のデータに載っているサイパンで実際に起きた高額事例が2件あります。
- 飲酒後に転倒し後頭部を強打 --- 救急搬送され、頭部外傷・硬膜下血腫と診断。10日間入院し、家族が駆けつけ、医師・看護師付き添いでチャーター機による医療搬送 --- 2,367万円
- ホテル内で倒れているところを発見 --- 救急搬送され、脳梗塞と診断。4日間入院、家族が駆けつける --- 472万円
チャーター機での医療搬送が絡むと2,000万円を超えます。脳梗塞の4日間入院でも472万円。島内の医療資源が限られているぶん、搬送費が上乗せされやすい構造です。
近隣グアムの参考事例(サイパン国内の事例ではありません)
保険会社のデータは「グアム・サイパン」で同一ページにまとめられており、グアム側にはさらに高額な事例が並んでいます。あくまでサイパンの事例ではないですが、搬送先・医療圏が重なるため費用感の参考になります。
- 心筋梗塞で19日間入院・手術・医療搬送 --- 2,100万円(グアム)
- ショー鑑賞中に意識消失、脳内出血で7日間入院・チャーター機搬送(保険金額不足で自己負担あり) --- 1,000万円(グアム)
- 頸椎骨折で10日間入院 --- 566万円(グアム)
島の医療で対応しきれないケースでは、チャーター機搬送が発生して一気に桁が上がります。補償額に余裕のある海外旅行保険は、サイパンでは事実上の必需品です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
緊急時連絡先(保存推奨)
- 警察・救急・消防(緊急): 911
- C.H.C.C.(島内唯一の総合病院): (+1-670) 234-8950
- 在サイパン領事事務所: (+1-670) 323-7201 / 7202
在サイパン領事事務所は在ハガッニャ日本国総領事館の出先で、北マリアナ諸島を管轄しています。3か月未満の旅行者は たびレジ に登録しておくと、最新の治安情報や緊急時の安否確認に使えます。たびレジの緊急メールも、現地でネットにつながっていなければ届きません。サイパンで使えるeSIMの料金は北マリアナ諸島(サイパン)のeSIM最安料金比較で、各社公式サイトから取得した実売価格を旅行日数別に並べており、各社の性格や選び方そのものは海外eSIM比較ガイドにまとめています。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
まとめ --- 「日本から一番近いアメリカ」の注意点4つ
サイパンは危険情報が出ていないリゾート地ですが、油断は禁物です。出発前に押さえておきたいのはこの4つ。
- ガラパン地区周辺の窃盗・ひったくりに注意、とくに夜間に女性を狙った暴力的な強盗が確認されている(日没後の徒歩移動を避け、バッグは車道と反対側に)
- 流しのタクシーがない車社会で歩行者への配慮も薄い(レンタカーまたはホテルタクシーが基本、歩道のない道路は特に注意)
- 麻薬犯罪が増加傾向で、銃を使った犯罪も過去に発生している(米国法域であることを忘れず、薬物には絶対に手を出さない)
- 島内唯一の総合病院しかなく、チャーター機搬送で2,367万円の事例がある(補償額に余裕のある海外旅行保険を必ず備える)
近くて気軽に行けるぶん、つい「国内旅行の延長」の感覚になりがち。でもここは米国法域の離島です。保険の備えと夜間の行動だけは、出発前にしっかり固めておきましょう。