バヌアツは、南太平洋に83の島々が連なる共和国で、首都ポートビラのあるエファテ島と、第二の都市ルーガンビルがあるエスピリトゥ・サント島が主な渡航先です。ダイビングやタンナ島の火山など自然のアクティビティが魅力ですが、外務省「バヌアツ 安全対策基礎データ」や「世界の医療事情」を読むと、(1) 首都ポートビラ周辺で増えている空き巣・引ったくり・性的暴行、(2) ナカマル(カヴァ・バー)やナイトクラブでの違法薬物、(3) マラリアやデング熱などの感染症、(4) 高度な治療はニュージーランドやオーストラリアへの搬送が前提となる医療事情、という注意点が見えてきます。現地には在バヌアツ日本国大使館(ポートビラ)が常駐しています。
Travel Alert 01
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危険レベル --- 危険情報・感染症危険情報ともに発出なし
外務省はバヌアツについて、危険情報・感染症危険情報のいずれも発出していません。現地大使館・総領事館からの個別の安全情報も現状出ていません。
現在、危険情報は出ておりません。 現在、感染症危険情報は出ておりません。
凶悪犯罪が頻発する国ではありませんが、注意の重心は「首都ポートビラ周辺の空き巣・性的暴行・違法薬物・飲酒がらみのトラブル」と「マラリアなどの感染症・高額になる医療」に置くのが実態に合っています。
首都ポートビラの空き巣・引ったくり・性的暴行
外務省は、首都ポートビラ周辺で犯罪が増加傾向にあると注意を促しています。
近年、首都ポートビラ周辺では、人口の集中や高い失業率等のため、空き巣、引ったくり及び性的暴行などの犯罪が増加傾向にあり、また日本人を含む外国人宅、ホテルや商店への空き巣・強盗被害が報告されています。暴行や性的被害に遭わないよう、夜間単独での外出は控えてください。
長期に滞在する場合の防犯対策も具体的に示されています。
長期に滞在される方(個人で住居の契約をして住まわれる方)は、外出の際には確実に戸締まりをすることに加え、貸主と相談の上、窓に鉄格子を設置する、一つのドアに対し鍵を2個以上設置する、網戸をセキュリティスクリーンに替える等、容易に侵入されない防犯対策をとるようにしてください。
短期の旅行者であれば、宿泊先の施錠を徹底し、夜間の単独外出を避ける、貴重品や多額の現金を持ち歩かない、という基本の徹底が現実的な備えになります。
Travel Alert 02
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ナカマル・ナイトクラブでの違法薬物と飲酒トラブル
バヌアツならではの注意点が、ナカマル(カヴァ・バー)やナイトクラブでの違法薬物です。
その他、ナイトクラブやナカマル(いわゆるカヴァ・バーのような場所)等においてマリファナ(大麻)等の違法薬物が販売されていることがありますが、決して購入しないでください。
加えて、飲酒に起因する路上の傷害事件も報告されています。
ナイトクラブやその周辺の路上では、飲酒に起因した傷害事件が発生することがありますので、十分に注意してください。また、路上等で酒に酔った若者の集団と遭遇した場合は、迂回する等不用意に近づかないでください。
違法薬物は決して購入しない、酔った集団には近づかず迂回する、というのが基本の自衛になります。
部族間の若者の騒動 --- 独立記念日やクリスマス
特定の時期には、若者同士の集団的なトラブルが起きることがあります。
ポートビラ周辺では、特に多くの若者が町に集まる、独立記念日やクリスマス等に、部族間の若者同士による騒動が発生することがあります。バヌアツ滞在中は、不測の事態に巻き込まれないよう、現地の報道やホテル等から最新の情報を入手するとともに、デモや集会を行っている場所や抗争・喧嘩の現場等、多くの人が集まっている場所には近づかない、なるべく早くその場を立ち去るようにする等の注意が必要です。
人が多く集まる場所やデモ・集会には近づかず、トラブルの気配を感じたら速やかにその場を離れることが大切です。
医療事情 --- 大きな病気は周辺国への搬送が前提
バヌアツの医療事情で最も重要なのは、高度な治療が国内では受けられないという点です。
国内での手術は簡単なものに限られます。やや高度な医療を要する時は、国内では対応出来ず、ニュージーランドやオーストラリアなどの海外へ行く必要があります。
費用面の備えも繰り返し強調されています。
先進国の医療費は高額で、支払いの保証がなければ診療が受けられない可能性があります。バヌアツに限らずこれら島嶼国を訪問する時は、万一の場合に備えて必ず十分な額の海外旅行傷害保険等に事前に加入して下さい。
ダイバーには特に重要な注意点があります。
潜水病(減圧症)の治療機器が首都ポートビラの民間救急搬送会社『プロメディカル』に1台のみありますが、治療費は非常に高額です。
つまりバヌアツでは、入院や手術を要する事態になれば、ニュージーランドやオーストラリアへの搬送費まで含めて高額になる前提で備えておくのが現実的です。
Travel Alert 03
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マラリア・デング熱・シガテラ中毒・カバ
バヌアツでは、マラリアが都市部を含む全域で感染リスクとなります。
マラリアは、マラリア原虫による感染症で、都市部を含むバヌアツ全域において感染の危険性があります。
蚊が媒介する感染症はマラリアだけではありません。
デング熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症は、ウイルス性の感染症(蚊媒介)。
予防の基本は、虫除け剤と肌の露出を抑える服装で蚊に刺されないことです。さらに、魚介を介した食中毒にも注意が必要です。
シガテラ中毒(珊瑚礁魚の毒・加熱処理でも分解されず、「ドライアイス・センセーション」神経症状が数か月)。
加熱しても毒素が分解されないため、現地で珊瑚礁の魚を食べる際は注意してください。バヌアツの名物であるカバ(カヴァ)にも独自の注意点があります。
バヌアツのカバは、他の島嶼国の国々より高い濃度で作られているため、肝機能障害を起こしたり、不衛生な製造過程で汚染されていたりする場合もあり、下痢の原因にもなります。
治療費の現実 --- オセアニア地域(豪・NZ)の参考事例
バヌアツ単独の保険金支払い事例は損保各社のデータベースに見当たらないため、搬送先となるオーストラリア・ニュージーランドの事例を「この規模の医療が必要になったときの費用感」という参考枠で挙げておきます(いずれもバヌアツ国内で起きた事例ではありません)。
- ダイビング中に急浮上し意識を失いヘリコプターで搬送、減圧症・肺水腫等で14日間入院 --- 支払保険金 453万円(オーストラリア/SBI損保)
- 釣り中に転落し腰骨骨折、海外入院6日間 --- 支払保険金 299万円(オーストラリア/損保ジャパン off!)
- 肺気胸で18日間入院・手術 --- 支払保険金 650万円(オーストラリア/SBI損保)
- 段差を踏み外し転倒、足関節果部骨折で看護師付き添いの医療搬送 --- 支払保険金 665万円(オーストラリア/SBI損保)
- 頭痛から脳内出血と診断され43日間入院、医師・看護師付き添いの医療搬送 --- 支払保険金 1,483万円(ニュージーランド/SBI損保)
ダイビングが盛んなバヌアツでは、減圧症で豪州へヘリ搬送となるリスクが現実にあります。外務省が言うとおり、大きなけがや病気でニュージーランド・オーストラリアへの搬送が前提になるため、搬送費まで含めて補償される海外旅行保険を備えておくのが安心です。海外旅行保険で最も事故件数が多いのは「治療・救援費用」(2023年度で事故発生割合61.3%)という統計もあります。オセアニア旅行に必要な備えの考え方はオセアニアの旅行保険まとめで整理しています。
テロ・誘拐 --- 発生は確認されていない
念のため触れておくと、テロ・誘拐のリスクは低い水準です。
現在のところ、過激な反政府組織や国際テロ組織及びその関連組織の活動や、同組織構成員の国内への流入等は確認されていませんが、豪州など近隣国でのテロ活動を注視していく必要があります。近年、日本人に対するものを含め誘拐事件の発生は確認されていません。
身代金目的や外国人を標的とした誘拐事件は確認されていません。
Travel Alert 04
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通信手段 --- 現地SIM・eSIMの備え
サイクロン情報の確認や、被害・事故時の連絡には、現地で確実につながる通信手段が欠かせません。離島では電波状況が限られる場面もあるため、空港や宿のフリーWi-Fiに頼り切らず、渡航前にeSIMを用意しておくと安心です。料金はバヌアツ共和国のeSIM最安料金比較で、各社公式サイトの実売価格を旅行日数別に並べています。各社の性格や選び方はeSIM比較を参考にしてください。
緊急時連絡先(保存推奨)
外務省「世界の医療事情」と在バヌアツ日本国大使館の案内から(国際電話の国番号は678):
- ビラ中央病院(Vila Central Hospital)(ポートビラ): 22100 / 救急 112
- The Medical Centre(ポートビラ): 22826
- Novo Medical Centre(ポートビラ・24時間救急・歯科併設): 26698
- Northern Provincial Hospital(ルーガンビル・24時間救急): 773-0804
- 民間救急搬送サービス: 115
- 在バヌアツ日本国大使館(ポートビラ): 29393 / 時間外緊急 5543400 / consul@vu.mofa.go.jp / 受付 09:00~12:00・13:00~16:00(土日祝閉館)
在バヌアツ日本国大使館は医務官が常駐しておらず、医療面は在フィジー日本国大使館の医務官が担当しています。短期の旅行者は たびレジ に登録しておくと、現地の安全情報や緊急時の安否確認に使えます。
Travel Alert 05
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まとめ --- 凶悪犯罪は少なく、注意は「空き巣・薬物・感染症・医療」へ
バヌアツは危険情報の出ていない落ち着いた島国ですが、出発前に押さえておきたいのは次の4つです。
- 首都ポートビラの空き巣・引ったくり・性的暴行(宿泊先の施錠徹底、夜間の単独外出を避ける)
- ナカマル・ナイトクラブの違法薬物と飲酒トラブル(薬物は買わない、酔った集団に近づかない)
- マラリア・デング熱・シガテラ中毒・カバ(蚊に刺されない、珊瑚礁の魚やカバの過剰摂取に注意)
- 高度医療は周辺国への搬送が前提(搬送費まで含む高額補償の保険を備える)
凶悪犯罪より「空き巣・薬物・感染症・海外搬送を要する医療」に注意の重心を置く。これがバヌアツの安全対策の勘どころです。