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ティンプーの治安 毎日10件の犬咬傷と高山病【2026】

ティンプーの治安や危険エリア、犯罪傾向を、外務省と在外公館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

ティンプーはブータン王国の首都で、標高約2,334m。世界唯一「信号機のない首都」として知られ、人口は約11万人。空港のあるパロ(標高2,235m)から車で1時間の山あい、ワン・チュ川沿いに広がる谷の底に街が並びます。観光ブランドは「世界一幸せな国の首都」ですが、外務省と在外公館の情報を並べると、JDWNR病院(国内最大の総合病院)で毎日10件前後の犬咬傷、農村部からの人口流入で増えつつある都市部窃盗、若年層の市販薬乱用、屋外を含む喫煙の全面禁止、そして到着即2,300m台に放り込まれる高山病の入口——ティンプーは「観光地」というより「標高高めの行政首都」として備えるのが正解です。

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ティンプーの犯罪状況

外務省の安全対策基礎データはこう書きます。

ブータンでは、強盗などの凶悪犯罪は近隣諸国と比較すると少なく、治安は一般的に良好です。しかし、最近では農村部から都市部への人口の流入が著しく、都市部における強盗・窃盗等の事案が増加傾向にあるほか、一部の若者の間で安価な市販薬の乱用等がみられる点などに注意が必要です。

南アジア圏でみればトップクラスの安全度ですが、「都市部における強盗・窃盗等の事案が増加傾向」と公的に書かれているのはティンプー・パロ・プナカといった人口集中地のこと。観光客が立ち寄るクロックタワー広場、ノルジン・ラム(メインストリート)、週末市場、メモリアル・チョルテン周辺は特に人出があり、置き引き・スリへの基本対策(バッグは前掛け・ホテル金庫・現金分散)は必要です。

詳細な手口別はティンプーのスリ・置き引きに。

ガイド同行義務という安全装置

ブータンの旅程は基本的に現地旅行ガイドが入国から出国まで同行する制度で組まれます。

ブータンでは、グループ旅行でも単独旅行でも、外国人の観光旅行には、原則入国時から出国時まで現地旅行ガイドが同行することになっており、旅行者個人の単独行動は制限されています。滞在中は、このガイドのアドバイスに従う必要があります。

これがティンプー観光の犯罪・トラブル耐性をかなり押し上げています。ガイドが市場・寺院・夜の食事まで付き添うため、単独で迷い込んで犯罪に巻き込まれるシナリオはネパール・インドより明確に低い。逆にガイドの指示を無視して単独行動した場合のセーフティネットは薄い、と理解しておくほうが安全です。

野犬と犬咬傷 ― 首都最大の健康リスク

ティンプー固有度がもっとも高い話。

ブータンでは宗教上の理由から殺生が避けられるため、飼い犬、野良犬が町中を徘徊し、犬咬傷が大きな問題となっています。ティンプーのJDWNR病院では、毎日10件前後の犬咬傷事例が報告され、2012年に狂犬病発症による死者も確認されています。

昼間でも気が付かないうちに野犬の縄張りに入って咬まれる事案が多発している上、夜間は街灯が少なく、人通りも少なくなるため、野犬が活発化し咬まれる危険性が更に高くなりますので、昼夜を問わず不要不急の外出は避けてください。

JDWNR病院(首都唯一の三次医療機関)に毎日10件前後の犬咬傷——という数字は街のスケール(人口11万人)を考えると相当多い。ティンプー市内のホテルから外に出るときは、以下を最低限:

  • ホテル前の通りで野犬が群れている時間帯(特に夕方〜夜)は外出しない
  • 散歩・ジョギングで野犬の縄張りに踏み込まない
  • 咬まれたら石けんと大量の水で洗浄→その日のうちに必ず受診

ブータンは2023年に狂犬病清浄国を宣言していますが、WHOは引き続きリスク警戒を出しており、咬傷自体が破傷風や細菌感染を引き起こすため受診は必須。詳細はティンプーの感染症・体調不良に。

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標高2,334m ― 到着即「高山病ライン」

ティンプーは海抜2,334m。空港のあるパロは2,235m。外務省の医療事情は海抜2,400m前後を高山病注意ラインとしているため、ティンプー・パロは事実上ボーダーぎりぎり。

高山病は、高所における低い大気圧の酸素濃度に身体が順応できないことによって発症します。…海抜2,400m位から注意が必要と言われています。症状は、頭痛、不眠、食欲不振、吐き気、手足や顔のむくみ、めまい、空咳、息切れ、脱力等で酷くすると、運動失調(バランス障害など)、急性肺水腫、脳浮腫による意識障害から死に至ります。

街と街の間の移動は、3,000mを超える標高の高い峠を越えることが多く

ティンプーから日帰りでドチュラ峠(3,150m)を越えてプナカへ向かうルート、東部ブムタンへの陸路移動などは数時間で1,000m近く標高が変動します。到着初日は飲酒・激しい運動・睡眠薬を避け、頭痛が出たら無理に観光を続けないのが基本ルール。詳細はティンプーの高山病・医療に。

屋外を含む喫煙の全面禁止

ティンプー観光で意外と踏みやすい地雷。

タバコの販売と屋外を含む公共の場所での喫煙は全面的に禁止されています。…喫煙場所はホテル客室などの一部に限られています。過去には、公共の場所での喫煙により外国人が逮捕されたケースもありますので、喫煙場所には十分な注意が必要です。

ティンプー市内の路上・広場・寺院周辺で喫煙すると、ガイドが止めに入ります。喫煙者はホテル客室の喫煙ルーム以外では吸えない前提で動く必要があります。

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麻薬と若年層の市販薬乱用

ブータン当局は、麻薬の所持に対し厳しい取り締まりを行っています。麻薬には絶対に手を出さないでください。

加えて、農村部から首都に流入した若年層による市販薬(咳止めシロップなど)乱用が安全対策基礎データに記載されています。観光客が直接巻き込まれる確率は低いですが、夜間の繁華街で若年層グループに絡まれた場合は距離を取るのが安全。詳細はティンプーの薬物トラブルに。

交通と陸路移動

ティンプーは信号機がないため、交通整理は手信号(白手袋の交通警察官)が行う独特の街。

都市部を中心に自動車社会となっているものの、信号機や交差点の整備が進んでいないほか、飲酒に起因する事故も後を絶ちません。…山腹を走る曲がりくねった道路が多く、舗装状態は劣悪です。さらに無理な追い越しも多いことから、交通事故の危険性が高くなっています。

ティンプー市内の移動はガイド手配の専用車が中心。市内の流しタクシーは少なく、シェアタクシー・路線バスの利用は基本的にガイドの判断に従う形になります。市外移動(パロ・プナカ・ブムタンなど)は山岳道路の連続なので、シートベルト・酔い止め・水分補給は最低限の備え。

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通関と「日本人スーツケース優先検査」

ティンプーから出国する際の話。

過去に日本人男性が生きたクワガタ97匹を不法に持ち出そうとしたことが発覚して以降、出国審査で日本人のスーツケースが開披検査されるケースが多くなっているようです。

ティンプー旧市街・週末市場で買う仏像、絨毯、植物製品、骨董品は輸出許可証なしで持ち出すと税関で止められる可能性があります。ガイドに相談しながら買うのが無難。

医療と緊急時の搬送

ティンプー滞在中の医療アクセスは、JDWNR病院(Jigme Dorji Wangchuck National Referral Hospital)が中心。

ブータン国内でCTスキャンは上記3つのリフェラル病院に配置されていますが、MRIを有する総合病院はJDWNR病院のみで、…国内最高の医療を提供するJDWNR病院であっても脳・心臓疾患や交通事故による多発外傷といった重症疾患に対応することは困難で、ブータン国内での治療が困難な場合は医療先進地域への緊急移送を検討することとなります。

つまりJDWNR病院は「ティンプーで唯一のMRIがある病院」だが、それでも重症外傷・脳卒中・心臓発作はインドかタイへ搬送が前提。緊急移送3,000万円以上の海外旅行保険は実務上の必須要件です。

緊急時の連絡経路は、

  • ガイド → 旅行会社 → JDWNR病院/ティンプーの大使館事務所
  • 在ブータン日本国大使館(在インド大使館 jointad/bt 配下)
  • 重症時は南アジア旅行の保険ガイドで押さえた保険会社のアシスタンスデスクへ直接連絡

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ティンプー滞在の現実的な備え

  • ガイドの指示に従う(単独行動の安全度が極端に下がる)
  • 屋外で喫煙しない
  • 野犬に近づかない、咬まれたらすぐ受診
  • 到着初日は標高に体を慣らす(飲酒・激しい運動を避ける、水分補給)
  • 仏像・骨董品・植物製品は輸出許可証を確認してから買う
  • 緊急移送3,000万円以上の海外旅行保険は事実上必須
  • 連絡手段は海外eSIM比較ガイドで出国前に手配

ブータン全体のマナー・法律・入国制度・宗教上の注意点はブータンの治安まとめに。ティンプーは犯罪面では南アジアでも比較的穏やかな街ですが、犬・標高・喫煙規制・医療搬送という、ガイドだけでは埋まらない構造リスクへの備えが旅程の質を決めます。

この都市のトラブル別ガイド

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