「西アフリカで比較的安定した国」と紹介されることが多いガーナですが、首都アクラの強盗手口を読んでいくと別の顔が見えてきます。外務省はガーナの強盗を「特徴的な犯罪」と書き、在ガーナ日本国大使館は「強盗の特徴は、脅すことはせず、いきなり負傷させる手口が発生しています」と明言。バイク2人組の背後襲撃、自宅玄関前の待ち伏せ、深夜ホテルのドアノック、車のフロントガラスに生卵——アクラで実際に記録されている手口を、出発前に押さえておきましょう。
Travel Alert 01
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バイク2人組の路上強盗 --- ガーナの「特徴的な犯罪」
外務省がガーナ全体の路上強盗をこう定義しています。
ガーナにおける特徴的な犯罪である路上強盗は、徒歩での移動中に、バイクに乗った2人組の犯人が背後から近づいて、銃器やナイフ等で襲いかかり、ひるんだ隙に手荷物を奪うという手口です。
「特徴的」と外務省が書くということは、これがガーナで一番警戒すべき犯罪。在ガーナ日本国大使館の安全の手引きはさらに突っ込んでこう書きます。
路上強盗に使用される凶器は、銃を所持している可能性が高い。 強盗の発生は夕方~早朝が多いですが、最近は昼間も発生しております。 路上強盗被害は一人で歩いている邦人(特に女性)に多く発生しております。 強盗の特徴は、脅すことはせず、いきなり負傷させる手口が発生しています。
「脅すことはせず、いきなり負傷させる」。この一文の重みはとても大きい。海外の路上強盗の多くは「金を出せ」と脅して立ち去らせる構造ですが、ガーナでは先に怪我を負わせてから物を取る順番が記録されています。西アフリカではセネガル・ダカールでも刃物路上強盗の死亡例が報告されていて、地域共通の傾向と言えます。後述の邦人事例で「鉈で切られて数針」「耳を切られた」「散弾銃を発砲」が連続して出てくるのはこのためです。
邦人被害事例 --- 鉈・ナイフ・散弾銃の5件
在ガーナ日本国大使館の安全の手引きが具体的に記録するアクラ周辺の邦人路上強盗事例。
① 職場から帰宅途中の路上で、バイクに乗った数名の強盗に所持品を奪われました。犯人は鉈で武装しており友人が鉈で切りつけられ数針を縫う怪我を負いました。 ② 早朝に北部州タマレ市のバスターミナル付近を歩行中、自転車に乗った2人組の男に鞄を奪われました。犯人はナイフのようなものを所持していたと思われ、男性は指に切り傷と転倒した際に擦過傷を負いました。 ③ 夜間、ケープコーストの職場から帰宅途中の路上で、2人組の男に携帯電話などの所持品を奪われました。犯人はナイフで武装しており、数カ所を切られ、更に殴打されるなど入院する怪我を負いました。 ④ 日中、アクラ市内の自宅に数百メートル離れた出先から徒歩で帰宅途中、自宅の玄関前でバイクに乗った2名の強盗に所持品を奪われました。犯人はナイフで武装しており耳を切られ数針を縫う怪我を負いました。 ⑤ アクラ-テマ間のモーターウェイ付近の一般道で、バイクに乗った2人組の男に車を停められた上で散弾銃を発砲され、金品等を奪われました。車に乗車していた2名被害者は肩に怪我を負いました。
5件中5件が負傷を伴っています。鉈、ナイフ、散弾銃。発生場所は職場帰り・バスターミナル・自宅玄関前・モーターウェイ。「自宅玄関前」(事例④)と「アクラ-テマモーターウェイ」(事例⑤)は特に重要なポイントです。
Travel Alert 02
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自宅玄関前の襲撃 --- 鍵を開ける数秒が一番危ない
事例④は「自宅まであと数メートル」のシチュエーションで発生しています。徒歩で帰宅して、玄関前で鍵を出して開錠しようとした瞬間。バイク2人組が背後から音もなく寄ってくる構造です。
対策はシンプルだけど効きます。
- 玄関前に着く前に鍵を手に握って準備しておく(バッグを開けて探さない)
- 玄関前ではスマホを見ない・電話で話さない
- 道の反対側や少し離れた場所で周囲を確認してから玄関に近づく
- 帰宅時間をパターン化しない(毎日同じ時刻だと下見されやすい)
- 短期滞在の宿でも、玄関前でモタつかない動線を1日目に決める
外務省は同様の構造で空港や職場から尾行されて自宅で襲われるパターンも記録しています。これはアクラのタクシー・空港トラブルで詳しく扱います。
車両強盗の3パターン --- スパイクベルト・親切装い・生卵
ガーナの車両強盗手口は外務省が3パターンを明確に記録しています。
車両強盗の手口としては、道路上にスパイクベルトなどの突起物を仕掛け、タイヤをパンクさせ車両から降りてきたところを襲撃する例、親切を装い車両から煙が出ているなどと伝えた上で車を停車させ襲撃する例、フロントガラスに生卵を投げつけて正面が見えなくなったところで停車させ襲撃する例などが報告されています。
「生卵」が一番分かりにくいので解説。フロントガラスに卵を投げつけられると、ワイパーで拭こうとしてもタンパク質が伸びて視界がさらに悪化します。慌てて停車した車両を襲うのがこの手口。フロントガラスに何かが付いて視界不良になっても、すぐ停めずに人通りの多い場所まで走り、安全な場所で確認する。これが鉄則です。
タイヤがパンクしても、見知らぬ人に「車から煙が出ている」と言われても、まず人通りの多い場所まで動かす。停めた瞬間に襲撃される構造を外務省が明示しています。
加えて事例⑤の通り、アクラ-テマ間の高速道路(モーターウェイ)ではバイク2人組が車を停めて散弾銃を発砲した事例も記録されています。アクラ市内から空港や港のあるテマへ移動するルートでは、夜間の単独運転を避け、信頼できる運転手の車で複数人で動くのが安全です。
Travel Alert 03
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自宅・敷地内の侵入強盗 --- ドアに発砲して鍵を破る
安全の手引きは自宅侵入強盗の事例も具体的に書きます。
① 深夜、アクラ市で銃を持った強盗が「ドアを開けろ、現金を出せ」と強要しドアのカギ部に数発発砲した。その際ドアを貫通した銃弾が右腕に被弾しました。 ② 帰宅時、自宅の玄関に到着したところ、複数名の強盗に襲われ、所持品を奪われました。 ③ 夕方、帰宅したところ、部屋の中に警備員が侵入していた。
事例①の「ドアの鍵に発砲して破る」は本来は駐在員家庭の話ですが、Airbnbや長期滞在型アパートを使う旅行者にも構造として通じます。鉄製のドア・複数の鍵・警備員の配置——これらが揃っているかは到着初日の確認事項。事例③の「警備員が侵入していた」は、信頼すべき相手が加害者になる構造を示していて、貴重品を部屋に置いて外出するときはスーツケース内に施錠して隠すのが基本です。
ホテル滞在中の手口は別系統です。
首都アクラ市内の高級ホテルにおいて、深夜帯、強盗が外国人の滞在する部屋をノックし、ホテル従業員だと思い込んで扉を開けたところ、ナイフを突きつけられ現金とパスポートを奪われる事件も発生しています。
深夜にノックされたら、ドアスコープを見る前にまず内線でフロントに電話する。「いま従業員を寄越しましたか?」を確認するだけ。これだけで、外務省が記録するアクラの深夜ノック強盗は防げます。
さらに安全の手引きは、ホテル内での窃盗も3件記録しています。外出中にスーツケースに隠していた現金を盗まれた事例では「部屋の入室履歴を調べると数十人の従業員が出入りした形跡があった」と書かれています。就寝中に忍び込まれて現金とパスポートを奪われた事例、パスポートだけがピンポイントで消えた事例も。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ガーナ日本国大使館「安全の手引き」)
ホテルの金庫も万能ではないけれど、スーツケースに入れっぱなしが一番危ない。パスポートは金庫に入れ、金庫が信用できなければ腹巻き型セキュリティポーチで外出時も身に付けておくのが現実的です。
手口早見表
| 手口 | シチュエーション | 凶器 | 対策 |
|---|---|---|---|
| バイク2人組路上強盗 | 徒歩中・夕方〜早朝中心、日中も発生 | 銃・鉈・ナイフ | 単独徒歩を避ける、配車アプリ利用 |
| 自宅玄関前襲撃 | 帰宅直後の玄関前で鍵を出す瞬間 | ナイフ | 鍵を先に握る、玄関前でスマホ見ない |
| ホテル深夜ノック | 高級ホテル含む客室、従業員を装う | ナイフ | 内線でフロントに従業員確認 |
| ドア発砲侵入 | 自宅・長期滞在型アパート | 銃 | 鉄ドア・複数施錠・警備員配置確認 |
| ホテル窃盗(従業員犯行含む) | 外出中・就寝中のホテル客室 | なし | 金庫利用、パスポートは身に付ける |
| スパイクベルト強盗 | 道路上のタイヤパンク後 | 銃・刃物 | 人通り多い場所まで動かしてから確認 |
| 生卵フロントガラス | 走行中の視界不良からの停車狙い | 銃・刃物 | 停めずに走り続けて安全圏で確認 |
| 高速道路発砲強盗 | アクラ-テマモーターウェイ | 散弾銃 | 夜間単独運転回避、複数人移動 |
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
予防策 --- 出発前と現地での具体行動
出発前
- ジャケットの内ポケット式の貴重品ポーチを準備(首掛け式は強盗に引っ張られる)
- パスポートと現金はホテル金庫に分散、外出時は最低限のみ携帯
- ダミー財布を別ポケットに用意(強盗時に渡す前提)
- 緊急連絡先(警察191/18555、大使館+233-302-765060)をスマホ+紙の両方で持つ
- 滞在予定エリアの明るい主要道路を地図で予習
現地での行動ルール
- 徒歩での単独移動は基本的に避ける。配車アプリ(Bolt、Uber)か登録タクシーを使う
- 装飾品は身に付けない(ネックレス・腕時計・ブランドバッグ)
- 歩きスマホ厳禁。見ている瞬間に背後から襲われる構造のため
- 玄関前・車降車前は周囲確認を1秒だけ意識する
- 深夜のホテルノックには内線で必ず確認
- 車での移動中はドアロック必須、フロントガラスに何かが付いたら停めずに走る
- 夕食後の海岸・繁華街の徒歩は避ける(外務省名指し警告)
- 「儲け話」「両替」で声をかけられたら強盗の前段階と見なす(アクラの詐欺被害参照)
抵抗しない
外務省・大使館共に「いきなり負傷させる」「銃を所持している可能性が高い」と書く以上、抵抗は命に関わる。所持品を渡して立ち去らせることが最優先です。
被害に遭った場合の対応
- その場では抵抗しない。所持品を渡して犯人を立ち去らせる
- 安全な場所まで移動した後、警察に通報(191または18555)
- 在ガーナ日本国大使館(+233-302-765060)に連絡。負傷時は病院紹介、パスポート盗難時は再発行
- クレジットカード・スマホの盗難はカード会社・キャリアにすぐ連絡
- ポリスレポートを必ず取る。海外旅行保険の請求に必須
- 加入している海外旅行保険の事故受付サービスに連絡
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
医療費の参考
ガーナ独立の保険会社支払事例は確認できないため、アフリカ近隣の参考事例として。
- 南アフリカで暴漢に襲撃され入院16日+医療搬送で約 350万円(損保ジャパン off!)
- ジンバブエから南アフリカへチャーター機で医療搬送 505万円(SBI損保)
- ギニアで緊急医療搬送 1,116万円(SBI損保)
- エジプトで医療搬送 895万円(SBI損保)
鉈や銃で負傷した場合、アクラ市内の病院では対応しきれずヨーロッパへの医療搬送になる可能性が高い。海外旅行保険の治療・救援者費用無制限プランは「医療搬送のチケット」として用意しておくのが現実的です。詳細はアフリカ向けの海外旅行保険へ。
よくある質問
アクラで強盗に遭ったらどうすればいい?
在ガーナ日本国大使館の安全の手引きと外務省は「強盗の特徴は、脅すことはせず、いきなり負傷させる手口が発生しています」「銃を所持している可能性が高い」と明記しています。抵抗は致命的なリスクを伴うため、所持品を渡して立ち去らせることが優先。すぐに警察(191/18555)と在ガーナ日本国大使館(+233-302-765060)に連絡し、負傷していれば大使館経由で病院紹介を受けられます。
自宅やホテルで強盗に襲われないためには?
安全の手引きは「自宅の玄関前でバイクに乗った2名の強盗に所持品を奪われた」「アクラ市内の高級ホテルで深夜に強盗がノックし、ホテル従業員と思い込んで扉を開けた」事例を記録しています。玄関前ではスマホを見ない・鍵を先に握る、深夜のノックには内線でフロントに確認を入れる、ドアスコープと内線で本物の従業員かを確認してから開ける、が基本動作です。
車での移動中の強盗手口は?
安全の手引きは「道路上にスパイクベルトなどの突起物を仕掛けタイヤをパンクさせ車両から降りてきたところを襲撃」「親切を装い車両から煙が出ているなどと伝えた上で停車させ襲撃」「フロントガラスに生卵を投げつけて正面が見えなくなったところで停車させ襲撃」の3パターンを記録しています。タイヤ異常や見知らぬ人の親切に車を停められた時点で危険、すぐに人通りの多い場所まで走り、安全な場所で確認するのが対策です。
アクラで一番危険な時間帯と場所は?
外務省は「ガーナ警察当局は、繁華街や海岸において、夜間から早朝にかけての外国人の徒歩での移動を控えるよう注意喚起しています」と明記。強盗は夕方以降に多発しますが、「最近では日中の人通りが多い場所での被害も報告されています」とも書かれているため、時間帯だけで判断しないこと。徒歩での単独移動を避け、配車アプリや登録タクシーで移動するのが現実解です。