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北京の医療 PM2.5と1回の入院で1000万円【2026】

北京の医療・感染症の手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.15 KAIGAI-RISK

北京で体調を崩すとかかるお金のスケールが日本と違います。在中国日本国大使館の安全の手引きはこう書き出します。

中国で医療機関にかかると、高額な医療費が必要な場合があり、日本への緊急移送が必要な場合には数百万円、医療チャーター便の場合は数千万円の費用が必要になります。

この1文が全部です。軽い風邪なら2万円、肺炎で数百万円、脳出血や複雑骨折で数千万円、というのが中国旅行の医療費の現実的なレンジ。北京は首都で医療インフラは中国本土で最も厚い都市ですが、外資系クリニックは日本より遥かに高額という逆説があります。

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北京で病気・ケガをした時の医療費レンジ

SBI損保・損保ジャパン・ソニー損保が公開している中国本土の事例を、発生パターン別に並べてみます。

状況診断・経過保険金
ホテルのドアにぶつかり転倒大腿骨頚部骨折・くも膜下出血、36日入院・手術、医師看護師付き添いチャーター機で医療搬送1,736万円
窓から落ちる(19歳男性)腰椎骨折、現地で2度の手術、30日入院、帰国後も入院1,076万円
昼食中に右半身に力が入らなくなる脳梗塞・肺炎、26日入院819万円
ホテル浴室で転倒大腿骨頚部骨折、33日入院・手術871万円
トイレに立った際に違和感脳梗塞、29日入院605万円
発熱・咳・頭痛ウィルス性脳炎、18日入院645万円
首・肩の痛み・息苦しさ心筋梗塞、6日入院607万円
空港で高熱肺炎、17日入院、家族駆けつけ・医療搬送324万円
北京で短期留学中(21歳女性)急性咽頭炎、6日入院15万円

出典:SBI損保「海外旅行での高額医療費事例」(中国本土ケース)、損保ジャパン off!、ソニー損保。

軽症で15万円、入院レベルで数百万円、手術・搬送を伴うと1,000万円級。クレジットカード付帯保険の疾病治療費は200〜270万円が相場なので、肺炎クラスの入院でも上限に達する可能性があります。

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北京の医療機関の構造(高いけど質は高い)

外務省の医療事情ページはこう整理しています。

北京には、外国人専用外来を持つ中国系総合病院や、英語や日本語で先進国と同様の医療が受けられる外資系クリニックがあり、その医療レベルも経済成長と共に進歩していますが、医療費は日本と比べても高額になります。外資系医療機関では、感冒や胃腸炎などでも1,000元(およそ20,000円)以上かかる上、レントゲンや採血、超音波などの検査により医師の収入が増加するシステムのため、医療費は高額になりがちです。

つまり外資系クリニックは検査を勧められやすい構造があって、診察料+血液検査+画像検査+点滴でみるみる積み上がります。保険会社のキャッシュレスサービスに対応したクリニックを選べば、窓口での立替なしで受診できるので、加入保険のアシスタンス窓口に電話して紹介してもらうのが一番の近道。

北京特有の健康リスク

大気汚染(PM2.5)

北京市の2023年PM2.5年間平均濃度は38.98μg/m³。2013年の101.56μg/m³から6割以上減ったものの、日本より高い水準です。医療事情ページの対策指示。

対策として、長時間過ごす室内環境の改善には空気清浄機が有効です。また、毎時間ごとに公的に発表される大気質指数(AQI)をチェックし、指数が高い時間帯は、外出や屋外での運動を控え、外出する場合には、濾過性能の高いマスクを着用するなどの予防策が重要です。

喘息・花粉症・気管支炎の持病がある人は特に注意。AQIアプリ(日本でも使える「中国のPM2.5」「AirVisual」等)は入国前にスマホに入れておきたいところ。

下痢症(硬水と油・香辛料の違い)

医療事情ページは下痢症についてこう。

北京で生活すると、便が緩くなったり、時には下痢が続いたりすることがあります。吐き気や嘔吐、腹痛や発熱を伴わない場合は、硬度の高い水や中華料理に多く使用される油、使用される香辛料の違いによるものと考えられます。

発熱や嘔吐を伴わない軟便・下痢は、ほとんどの場合で水分補給と整腸剤で自然に改善します。水分が取れないほどの下痢や血便・高熱なら医療機関へ。

A型・E型肝炎

汚染された水や食べ物から感染する経口感染型。中国では都市でも散発的に見られ、衛生状況の悪い地方では流行することもあります。対策は「野生動物の肉や不衛生な海産物を生で食べない」「A型肝炎は予防接種が有効」。E型肝炎は中国南部に多く、妊婦が感染すると重症化することもあるので、特に妊婦は生魚介の摂取を避けるのが安全です。

結核

医療事情ページによると、日本の結核罹患率は人口10万人あたり8.1人(2023年)に対し、中国は52人(2022年)。咳や微熱が2週間以上続く場合は疑うべき疾患とされています。短期旅行で感染する確率は高くありませんが、長期滞在・語学留学なら定期健診に胸部レントゲンを入れたいところ。

狂犬病(郊外での犬・野生動物)

中国では現在でも狂犬病が報告され、2021年には157人が発症しています。北京市内での発症報告は少ないですが、犬に噛まれるというニュースはしばしば取り上げられています。

発症するとほぼ100%死亡という決定的な病気なので、噛まれたり引っかかれたりしたら即座に傷口を流水で洗い、医療機関で暴露後予防接種を受けるのが鉄則。万里の長城周辺やハイキングでの野犬遭遇リスクは想定しておくべきです。

交通事故(電動バイクが音もなく接近)

医療事情ページはこう。

携帯電話を操作しながらや、イヤホンをつけての運転も多く、接触事故は頻繁に見られます。自身が安全に走行することはもちろんですが、電動バイクなどは音もなく、猛スピードで追い抜くため、周りの交通状況を確認することが重要です。

横断歩道で轢かれる、歩道を走る電動バイクに接触する、は北京の日常。歩きスマホをやめる、イヤホンで耳を塞がないだけで防げる事故は多いです。

過度な飲酒(白酒)

大使館ハンドブックが明言しています。

過度な白酒の飲酒で毎年日本人が死亡しています。

白酒(バイチュウ)はアルコール度数50〜60度の蒸留酒。接待の席で一気飲みを要求される文化があって、急性アルコール中毒による入院事例が記録されています。

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予防策(北京旅行の実務)

  1. 医療補償1億円のネット保険に入る(カード付帯だけで済ませない)
  2. 保険会社のアシスタンスデスク電話番号をスマホに保存(緊急時に病院紹介・通訳・支払代行が受けられる)
  3. N95相当マスクを持参、冬季と黄砂シーズンは必携
  4. 飲水はミネラルウォーター、屋台の露天フルーツは避ける
  5. A型肝炎・破傷風の予防接種は出発前に検討(特に長期滞在)
  6. 犬・野生動物に近づかない。噛まれたら即医療機関へ
  7. 白酒の一気飲みは断る

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被害に遭ったら

  1. 救急が必要なら120(搬送費は有料、搬送距離と処置で金額が変わる)
  2. 保険会社のアシスタンスデスクに連絡 → キャッシュレス対応病院を紹介してもらう
  3. 大使館領事部(010-6532-5964)に連絡(重症・邦人援護が必要な場合)
  4. 診療明細・診断書を必ず受け取る(保険金請求に必要)

体調不良でタクシーに乗るときは、大使館ハンドブックが書く「配車アプリの警察通報機能の確認」も忘れずに。

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北京の他のトラブル情報

北京の治安全般・反スパイ法・犯罪の手口は北京の治安・危険エリア情報にまとめています。上海や広州の医療費レンジとも比較したい場合は上海の医療費と日本語対応病院広州の医療費と感染症も合わせてどうぞ。

よくある質問

北京で軽い風邪を引いた時、どこに行けばいい?

外資系クリニック(北京ユナイテッドファミリー、ベイジンインターナショナルSOSクリニック等)なら日本語・英語対応可で、外務省の医療事情ページで紹介されています。ただし外資系は感冒や胃腸炎でも1,000元(約20,000円)以上かかり、検査を追加されると医療費が積み上がる構造なので、海外旅行保険のキャッシュレスサービスを使うのがおすすめです。

PM2.5が高い日はどうすればいい?

大気質指数(AQI)をアプリで毎時間チェックし、指数が高い時間帯は屋外での運動や長時間の外出を控えるのが基本。外出時は濾過性能の高いマスク(N95相当)を着用、長時間過ごす室内では空気清浄機を使うのが有効と外務省の医療事情ページに書かれています。

北京の水道水はそのまま飲める?

水質検査上は飲水可能とされていますが、カルシウム・マグネシウムが多い硬水で軟便になりやすいので、飲用にはミネラルウォーターを使うのが推奨です。水道水を使う場合は煮沸を。食器洗い・洗面・歯磨き・洗濯は水道水で問題ないと医療事情ページにあります。

クレジットカード付帯の海外旅行保険だけで足りる?

骨折や脳梗塞で入院・手術になると1,000万円を超えるケースがSBI損保・損保ジャパン事例で記録されていて、カード付帯の疾病治療費(上限200〜270万円が多い)では不足するリスクがあります。中国渡航時は医療補償1億円クラスのネット保険を別途用意するのが現実的です。

出典