ウィーンの地下鉄でエスカレーターに服の裾を巻き込まれて転倒、頭部外傷と骨盤骨折で24日間入院。チャーター機で日本に医療搬送され、保険金の支払額は1,582万円。オーストリアは医療水準が高い反面、旅行者への請求額も容赦ない。救急車を呼ぶだけで790ユーロ(約13万円)、入院は1日2,500ユーロ(約40万円)超。ここでは実際の支払い事例とともに、ウィーン旅行で知っておくべき医療リスクをまとめました。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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ダニ脳炎(FSME)— 郊外ハイキングで邦人死亡例あり
ウィーン観光だけなら気にしない人が多いけど、少しでも郊外に出るなら知っておくべきリスクがあります。
過去に同国内のザルツブルグ近郊の農村地帯で、日本人旅行者がダニに刺され脳炎を発症し死亡した例があります。
ダニ媒介性脳炎(FSME)は、春先から秋にかけて森林地帯に入ってマダニに咬まれることで感染します。症状は日本脳炎に似ていて、治療法がないのが最大の問題。一度かかると麻痺などの後遺症が残ったり、死亡するケースもある。オーストリア政府が国民に予防接種を推奨しているほど、現地では身近なリスクです。
標高1,000メートル以下の山道や湿地帯、森や公園を歩く予定があるなら、出発前にワクチンを接種しておこう。ワクチンが唯一の予防策で、治療法はありません。ウィーン市内の公園でもリスクはゼロではないけど、特に注意が必要なのは郊外のハイキングや農村エリアです。
Travel Alert 02
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あなたは知っていますか?
救急車790ユーロ、入院1日2,500ユーロ超
オーストリアの医療水準は高く、英語で受診できる科も多い。ただし問題は費用です。
救急車を呼ぶ時は「144」です。オーストリアの国民健康保険に入っていない人は有料で、ウィーン市内の場合では790ユーロ(2024年10月料金)です。
入院となるとさらに跳ね上がります。国民健康保険に加入していなければ1日2,500ユーロ(約40万円)以上。入院時のデポジット(前払い保証金)として3,000〜8,000ユーロ前後を求められることもある。つまり入院する段階で50万〜130万円を現金かカードで用意しなければ、治療が始まらない可能性があります。
保険会社の支払い事例 — 最高1,582万円
実際にオーストリアで日本人旅行者に保険金が支払われた事例を見てみましょう。
海外で実際に支払われた医療費の事例
出典:ソニー損保/SBI損保のスイス・オーストリア事例より
- 1,582万円
地下鉄エスカレーターで転倒
頭部外傷・骨盤骨折/24日間入院/チャーター機搬送
- 993万円
バスルームで転倒
頭蓋骨骨折・脳内出血/16日間入院/医療搬送
- 840万円
コンサート中に貧血・嘔吐、肺炎
11日間入院/医療搬送
- 683万円
歩行中に段差で転倒、大腿骨骨折
11日間入院・手術/医療搬送
- 623万円
咳・鼻水が続き受診、肺炎
14日間入院/医療搬送
5件すべてに共通しているのは「家族が駆けつける」「医師または看護師が付き添って医療搬送」の費用が含まれている点。入院・手術だけでなく、日本から家族を呼ぶ航空券や、医療者付き添いでの帰国便(またはチャーター機)の費用が上乗せされて、桁が跳ね上がります。
地下鉄のエスカレーターで服の裾を巻き込んで転倒しました。救急車で運ばれて、頭部外傷と骨盤骨折。24日間入院して、最終的にチャーター機で日本に医療搬送。家族も駆けつけてくれて、保険金は1,582万円でした。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:ソニー損保 スイス・オーストリアでの事故と保険金支払い事例)
旅行中に咳と鼻水が続いて病院に行ったら肺炎でした。14日間の入院。たかが風邪だと思って放置していたのが悪かった。看護師付き添いで日本に帰国して、保険金は623万円。保険に入ってなかったらと思うとゾッとします。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:SBI損保 スイス・オーストリア 高額医療費事例)
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
冬のスキー・ハイキングでの骨折リスク
オーストリアはアルプスの国。冬季のスキーや夏のハイキングで骨折や転倒事故は珍しくありません。実際に支払い事例でも「歩行中に段差で転倒、大腿骨骨折で683万円」があります。
大使館の安全の手引きでも、登山前に地元ガイドのアドバイスを受けることや、アルペン協会への登山日程提出の手続きが必要と書かれています。さらに「豪雪や気温の上昇等により大規模な雪崩が発生する」との注意も。スキーやハイキングを予定しているなら、保険の「傷害死亡・後遺障害」「救援者費用」の補償額を必ず確認しておこう。
ウィーン市内でも自転車専用道路が整備されているものの、自転車と歩行者の接触・衝突事故が少なくないと外務省は指摘しています。観光に夢中で自転車レーンに踏み込まないよう注意してください。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
体調を崩したときの受診先
ウィーンには邦人医師が複数いるのが心強い。Dr.矢本クリニック、Zentrum NOSOMI(日本語対応)、岡本一郎教授皮膚科クリニックなどが外務省の「世界の医療事情」に掲載されています。
受診の流れはこうなります。
- 海外旅行保険に加入しているなら: 保険会社のアシスタンスサービスに電話。提携病院の案内やキャッシュレス対応の手配をしてもらえる
- 軽症の場合: ホテルのフロントに相談して近くのクリニックを紹介してもらう。受付ではドイツ語が必要な場合もあるので、症状を英語とドイツ語で書いたメモがあると安心
- 緊急時: 救急車は144。ウィーン国際空港内にもクリニックがある
- 公立の大病院: AKH(ウィーン大学病院)は2,000床の総合病院で24時間対応
- 大使館に相談: 在オーストリア日本国大使館 +43-(0)1-531920(領事部メール: consul@wi.mofa.go.jp)
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
出発前にやっておくこと
- 海外旅行保険に加入する: 入院1日で2,500ユーロ超、保険金支払い事例は623万〜1,582万円。クレジットカード付帯(多くは上限200〜300万円)では足りない。治療費の上限が無制限または1,000万円以上のプランを選ぼう。ヨーロッパの海外旅行保険についてで詳しく比較しています
- ダニ脳炎ワクチン: 郊外の森林・公園・ハイキングコースを歩く予定があるなら、出発前にFSMEワクチンの接種を検討。唯一の予防策で、感染後の治療法はない
- たびレジに登録: 大使館から緊急時の連絡を受け取れる
- スリ・詐欺対策も忘れずに: 医療費だけでなく、ウィーンのスリ手口や偽警官・ケチャップ強盗も出発前に確認しておこう
よくある質問
オーストリアで救急車を呼ぶといくらかかる?
オーストリアの国民健康保険に加入していない旅行者の場合、ウィーン市内で790ユーロ(2024年10月時点)です。日本円で約13万円。番号は「144」で、日本の119番にあたります。
ウィーンで日本語が通じる病院はある?
ウィーンには邦人医師のクリニックや日本語対応の医療機関が複数あり、外務省「世界の医療事情」に一覧が掲載されています。海外旅行保険のアシスタンスサービスに電話すれば、提携病院を案内してもらえます。
オーストリアのダニ脳炎ワクチンは日本で打てる?
日本国内でもFSME(ダニ媒介性脳炎)ワクチンの接種は可能です。3回接種で完了し、渡航の1か月以上前から計画的に進める必要があります。郊外のハイキングや森林散策を予定しているなら、出発前に接種を検討してください。
オーストリアの医療費で最も高額だった事例は?
保険会社の支払い事例では、ウィーンの地下鉄エスカレーターで服の裾を巻き込んで転倒し、頭部外傷・骨盤骨折で24日間入院、チャーター機で医療搬送された事例が1,582万円で最高額です。
クレジットカード付帯の保険でオーストリアの医療費は足りる?
多くのカード付帯保険は治療費の上限が200〜300万円。オーストリアでは入院1日で2,500ユーロ超、保険金支払い事例は623万〜1,582万円なので、カード付帯だけではまったく足りません。治療費の上限が無制限または1,000万円以上のプランが安全です。