アイルランドで2024年に認知された詐欺は約1万2,000件、前年比+約2,000件。在アイルランド日本国大使館の「安全の手引き」は冒頭で「インターネット利用した特殊詐欺は依然として多数発生」と書いていて、観光客が遭うのもオコンネル通りやテンプルバーの路上声かけ型と、ホテルにかかってくる架電詐欺の2系統です。「のんびり安全な国」のイメージが一番危ない街、それがダブリン。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
ニセ警察官の所持品検査 --- 「警察」を名乗ったら100%偽物のサイン
ダブリン中心部で観光客が遭いやすい詐欺の代表格が、私服のニセ警察官による職務質問型。手引きが本物との見分け方をハッキリ書いています。
当地の制服警察官は、肩や胸にIDを表示しているので、しっかりと確認する。私服警察官から職務質問を受けた場合は、相手の身分証やID等をしっかり確認した上、警察に連絡して、本物の警察官であることを確認する。
そして決定的な一文がこれ。
当地の警察官が、職務質問の場で、反則金や罰金名目で現金を要求することはない。
つまり、その場で「罰金を払え」「カードを見せろ」「現金を確認させろ」と言われた瞬間に偽物確定です。本物の警察ならGarda Stationで正式な手続きを取る。路上で財布を出させようとしたら、「Garda Stationに電話します」と言ってその場を離れる。電話番号は999または112です。
手口のバリエーションとしては、金融機関での振込を指示してくるパターンもあります。手引きは「金融機関での振込を指示された場合でも、振込先が正規の公共機関であることを確認する」と注意。「外国人観光客はビザの問題があるから罰金が必要」みたいな架空の名目で、海外送金させようとしてくるケースも報告されています。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在アイルランド日本国大使館「安全の手引き」ニセ警察官手口を基に構成)
「服が汚れてますよ」「コインを落としましたよ」 --- 注意そらし型のチーム犯行
スリと詐欺の境目にあるのが、注意そらし型のチーム犯行。手引きが具体的に4パターンを挙げています。
- 服が汚れていると声をかけてくる
- アイスクリーム等を持った相手がぶつかってきて、服を汚す
- 地図を広げて、現在地や目的地を聞いてくる
- 路上にコインをばらまいたり、瓶を落として割ったりして、注意を引きつける
仕組みは単純で、声をかけて注意を引いている間に別の共犯がバッグや財布を盗む分業型。地図を広げて道を聞かれて顔を上げた数秒、コインを拾おうとしゃがんだ瞬間、服の汚れを拭いてもらっている間――そのわずかな隙にやられます。
手引きの結論は冷たいくらいシンプル。
知らない人間を相手にせず、荷物を手に抱えて速やかに立ち去る。
ヨーロッパの主要観光都市ではどこでも同じ手口があるけれど、ダブリンも例外じゃない。「親切な対応をしようとした瞬間に財布が消える」前提で街を歩く。冷たく見えるくらいでちょうどいいです。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
警察を名乗る架電詐欺 --- 着信表示まで偽装される時代
ホテルや滞在先にかかってくる電話の詐欺も増加中。手引きが詳しく書いている「架電詐欺」の手口。
行政機関や警察を名乗り、行政手続、漏えいした個人情報の保護、捜査や罰則金支払いなどの理由で、個人情報や口座情報等を聴取したり、犯人の口座への送金を指示する。
そしてここからが厄介な部分。
電話を切ろうとすると、「電話を切れば違法行為となり、高額な罰金が課される」等と虚偽の申し立てで脅し、通話を継続させようとする。犯人の中には、実在する警察署の電話番号に酷似した番号を使用したり、着信表示が警察署の実際の番号や警察署などと画面に表示されるように細工したりしている場合がある。
着信表示まで偽装してくる。「Garda Station」と表示されていても本物とは限らない。本物の警察も銀行も、電話で口座番号や暗証番号を聞き出すことは絶対にない。怪しいと思ったら一度切って、自分で公式番号を調べてかけ直す。これだけで詐欺は成立しなくなります。
手引きが推奨している対処はこれ。
犯人が「時間がない」等と何かしらの理由をつけてすぐ振込むように焦らせてきても、慌てず冷静に行動する(架電の場合、何を言われても一旦電話を切ることも効果的)。
「電話を切れば違法」も嘘。一旦切るのが正解です。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在アイルランド日本国大使館「安全の手引き」架電詐欺手口を基に構成)
銀行・配達業者を装うSMS詐欺 --- 偽サイトは公式と見分けがつかない
メールやSMSによる詐欺も同レベルで増えています。
大手銀行、携帯電話会社、郵便・配達業者などを装い、当該口座や取引等に問題が発生したなどという内容のメールやテキストメッセージを相手に送りつけ、すぐに処理の手続をするよう促す手口が多い。添付された偽サイトへのリンクから個人情報やクレジットカード番号等の入力、振り込み送金を指示され、精巧に作られた偽サイトは、一見して公式サイトと同じように見える。
旅行中にAirbnb・配達アプリ・現地銀行から「確認が必要です」というメールが来て、リンクを踏んでカード情報を入力してしまうパターン。偽サイトは公式と見分けがつかないレベルで作り込まれているので、URLだけ見て判断するのは難しい。
手引きの対処はシンプル。
心当たりがあっても、そのメール等に記載されたURLリンクにアクセスすることなく、自分で把握している相手先の電話番号や公式サイトに記載されている連絡先に連絡するなどして事実確認する。
リンクを踏まない。アプリを開き直す。これだけで防げます。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
屋外ATMのスキミングと路上強盗
詐欺ではないけれど、現金引き出しの場面も警戒対象。
ATMはなるべく屋内設置のものを利用し、屋外設置のものを利用する場合には、周囲に人(不審者)がいないことを確認の上、なるべく日中に利用する。
屋外ATMはスキミング装置を仕掛けられるリスクがあるし、引き出し直後を狙った路上強盗の現場にもなる。銀行の建物内のATMを日中に使うのが鉄則です。
カードを使った詐欺で被害に遭ったら、ニセ警察官の手口にも書かれているように、カード番号と暗証番号がセットで盗まれる前提で動く。即停止連絡が最重要です。
手口早見表
| 手口 | 見破り方 | 対処 |
|---|---|---|
| ニセ警察官の所持品検査 | 制服警官は胸にID、罰金名目の現金要求は本物にはない | 「Garda Stationに行こう」と言って離れる |
| 服汚し・ぶつかり型 | 突然「汚れてますよ」と寄ってくる | 無視して立ち止まらない |
| 地図広げ・道尋ね型 | 親しげに地図を広げて道を聞く | 荷物を手に抱えて立ち去る |
| コイン・瓶落とし型 | 路上で何かが落ちる音、視線を誘導 | 拾わない、足元のバッグから目を離さない |
| 警察・銀行を名乗る架電 | 「電話を切ったら違法」と脅す、着信表示が警察 | 一旦切って公式番号にかけ直す |
| 銀行・配達装うSMS | 偽サイトのURLが添付されている | リンクを踏まずアプリを開き直す |
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
やられたらどうする
- 警察(999または112)に通報して被害届を提出。受理証明書を必ずもらう。詐欺の被害金額を保険請求するときにも必要
- Tourist SOS(+353-1-661-0562)に連絡。アイルランド国家警察委託の観光客向け窓口、英語対応。スリの届出と同じく詐欺被害もサポート
- クレジットカードを即停止。カード番号や暗証番号を伝えてしまった場合は不正利用が始まる前にカード会社へ。日本のカード会社の緊急連絡先は出発前にスマホメモへ
- 銀行口座への不正アクセスが疑われる場合は日本の銀行にも連絡。海外からの不正送金は早期発見が決め手
- パスポートまで盗まれた場合は在アイルランド日本国大使館(+353-1-202-8300)に連絡
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
出発前にやっておくこと
- 「警察」を名乗る人物に現金・カード番号を渡さない: 制服警官は胸にID、罰金名目の現金要求は偽物のサイン
- 路上の声かけは全部スルー: 服汚し・地図・コインは100%詐欺の入口
- 電話で口座情報を聞かれたら即切る: 着信表示が警察でも本物とは限らない
- メールのリンクを踏まない: 銀行・配達業者からのメッセージは公式アプリで確認
- クレジットカードの緊急連絡先をスマホにメモ: カード裏面の番号は盗まれたら見られない
- 海外旅行保険に加入: 盗難・詐欺被害も補償対象になる場合がある。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険へ
よくある質問
ダブリンで詐欺はどれくらい多い?
アイルランド全体で2024年の詐欺認知件数は約1万2,000件、前年比+2,000件で増加傾向。インターネットや携帯を利用した特殊詐欺は依然として多数発生しているとアイルランド大使館「安全の手引き」が明記しています。
ニセ警察官と本物の見分け方は?
大使館「安全の手引き」によると、本物の制服警察官は肩や胸にIDを表示しています。私服で職務質問してきた場合は身分証を確認したうえで警察に電話して本物確認を。決定的なのは「警察官が職務質問の場で罰金名目の現金を要求することはない」という点で、その場でカード・現金を要求されたら100%偽物です。
「服が汚れてますよ」と声をかけられたら?
立ち止まらず無視して離れるのが正解です。手引きは「アイスクリーム等を持った相手がぶつかってきて服を汚す」「服が汚れていると声をかけてくる」を典型的な注意そらしのスリ手口として明記しており、応じた瞬間に共犯がバッグから貴重品を抜きます。
警察を名乗る電話がかかってきたら?
一度切ってから自分で公式番号を調べてかけ直してください。手引きは「電話を切れば違法行為で高額な罰金が課されるなどと虚偽の申し立てで脅す」「実在する警察署の電話番号に酷似した番号や着信表示を偽装する」と警告。本物の警察も銀行も電話で口座番号や暗証番号を聞き出すことはありません。
詐欺被害に遭ったらどこに連絡?
警察(999または112)に被害届を出します。Tourist SOS(+353-1-661-0562)はアイルランド国家警察委託の観光客向け窓口で英語対応。クレジットカードを使った被害は日本のカード会社へ即停止連絡を。在アイルランド日本国大使館(+353-1-202-8300)にも報告しておくと領事サポートが受けやすくなります。