ダッカはバングラデシュの首都で、約2千万人が暮らす南アジア最大級の過密都市。JICA案件・縫製工場出張・インド亜大陸周遊のハブとして訪れる日本人は多いですが、在バングラデシュ日本国大使館「安全の手引き」と外務省の注意喚起を並べると、空港から出た外国人旅行者の強盗、粗製爆弾(ダッカ管区中心)、リキシャ乗車中の鞄強奪、グルシャン警察署管轄の外国人住居エリアでの侵入窃盗、飲食物を勧められて意識朦朧、2016年のホーリー・アルティザン襲撃の記憶が重なる街の姿が見えてきます。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
ダッカの犯罪エリア・時間帯
大使館「安全の手引き」は「犯罪に巻き込まれやすいとされる地域」を丸ごと1節で整理しています。
ア 外国人居住地区内のマーケットやニューマーケット、グリスタン(国立競技場)の2つのマーケット地区 ○通行人を狙ったスリ、ひったくりなどが多発しています。
イ ダッカ大学付近・シャハバーグ ○突発的に学生同士の衝突事件、銃器を使用した抗争が発生しています。
ウ ファームゲート(エアポート道路沿い)、モハカリ・バス停やモハカリ交差点(マイメンシン道路沿い)、モティジール(商業地区)、プレスクラブ(最高裁付近) ○反政府活動が実施される際、道路封鎖に伴う交通渋滞や通行中の車両が投石を受けるケースが多々発生しています。
エ テジガオン、アシュリア、トンギ、ウットラ、ミルプール(縫製工場地区) ○縫製業労働者が賃上げなどを求めて度々デモを実施しています。
オ ダッカ市内のオールド・ダッカ地区(外国人がしばしば観光目的で訪れる地区) ○一般的に治安は良くありません。また、リキシャによる混雑が日常的であり、地区内での車両通行は困難です。
カ ダッカ・スタジアム周辺 ○サッカー、クリケット試合などのスポーツに関係する衝突事件が発生します。
観光で行くと多くの人が通るニューマーケット・オールドダッカがど真ん中に入っているのがポイント。「旅行者の定番=スリ・ひったくり多発エリア」という構造です。
グルシャン・ボナニ・バリダラの侵入窃盗
外国人居住エリアとして有名な3地区(グルシャン警察署管轄、半径約1.5km)にも、大使館は釘を刺しています。
過去には、グルシャン警察署管轄(グルシャン、ボナニ、バリダラの3エリアで半径約1.5km)内の外国人住居エリアで、強盗や侵入窃盗などの注意すべき犯罪も(発生しています)
(外国人居住)地区であるバリダラ地区、グルシャン地区、ボナニ地区などでは建築ラッシュを迎えており、工事作業員が侵入窃盗を試みる事件が多くなっている
ホテル・ゲストハウスもこのエリアに集中していますが、「外国人居住エリアだから安全」ではなく、「外国人エリアだから狙われる」構造がある。長期滞在でマンション・アパート住まいの日本人は特に警戒が必要です。侵入窃盗の具体的手口はダッカのスリ・ひったくりで扱います。
空港からの強盗——「先般、外国人旅行者が」
旅行者が最初に直面するのが、ハズラット・シャージャラル国際空港からの移動です。大使館は令和7年3月、こう注意喚起しました。
2月にバングラデシュ警察当局が発表した犯罪統計によれば、直近の数年及び前年各月との比較において、本年に入ってからの殺人、誘拐、強盗等の犯罪件数は、増加しています。先般、外国人旅行者がダッカ空港からの移動中に強盗に遭う事件も発生しました。
「先般」として言及されている時点で、旅行者の強盗被害が既に起きているということ。さらに安全の手引きは、空港周辺についてこう書いています。
空港周辺で旅行ガイドやホテル従業員を装い気軽に声を掛けてくる人物には絶対についていかない。また、荷物を勝手に運搬しようとする者が多いため、必要なければはっきりと断る。
入国時のタクシー・配車は、宿泊ホテルのピックアップを事前予約が安全寄りの選択肢です。詳細はダッカのタクシー・交通トラブルへ。
Travel Alert 02
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あなたは知っていますか?
粗製爆弾とバス放火
ダッカ特有のリスクが粗製爆弾です。外務省の危険情報。
ダッカ管区を中心に粗製爆弾(注:火薬をビニールテープで巻いたもの)の爆発が教会、病院及び主要道路等で発生し、負傷者が出ています。(中略)公共交通バスへの放火事案が数多く発生し、死傷者が出ています。
大使館の手引きにも具体地点が記録されています。
2003年にはダッカ日本人学校付近で、2019年1月にはバリダラDOHSで爆発物が発見、押収されており、在留邦人の皆様にとっても身近な問題となっています。
2026年2月の総選挙に向けてハルタル(ゼネラルストライキ)が増える見通しで、バスとミニバスは放火対象になり得る、というのが当国の特徴。「一般公共交通機関は、極力使用しない」と外務省が書いているのはこの文脈からです。
リキシャ・CNG・Uber——「夜間早朝は乗るな」
移動手段の選択肢は多い街ですが、どれも夜はハードルが上がります。
移動には自家用車やハイヤーを利用する。夜間、早朝のリキシャ、CNG(小型オート三輪車)、一般タクシー、Uberタクシーにはできる限り乗らないようにする。特にオートリキシャと呼ばれる電動モーターを設置したリキシャによる交通事故で多くの死亡事故も発生しているため、オートリキシャは利用しないようにする。
Uberも夜は避ける、とまで書いてある街はなかなか無い。リキシャ乗車中の鞄強奪事例もあります。
邦人男性がリキシャに乗車中、後方から来た複数の者に所持していた鞄を強奪(された)
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在バングラデシュ日本国大使館「安全の手引き」令和8年1月版)
タクシー・交通系の詳細はダッカのタクシー・交通トラブルで。
モブジャスティスと事故後の対応
交通事故を起こした時の「現地のルール」も押さえておく必要があります。
携帯電話や財布を盗んだ者や交通事故を起こした者に対して、被害者や周囲にいる人々が暴力を振るい、殺害したり、けがをさせたりするモブジャスティスも依然として発生しています。
大使館の手引きは、事故時の行動をこう書いています。
(事故現場から)身の安全を確保した上で、警察に届け出るなどの事故処理を行うことも一案です。
つまり「事故ったらその場で話し合う」ではなく、安全な場所まで移動してから警察に届ける、が推奨の選択肢。日本の感覚とは明確に違います。
Travel Alert 03
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飲食物を勧められたら飲まない
もう一つ、A2・安全対策基礎データに明記されている手口。
見知らぬ人物から飲食物を勧められても口にしない(言葉巧みに飲食物を勧められ、口にした直後に意識が朦朧となり、その間に金品を奪われるというケースがある)。
列車・バス・ホテルロビー・空港待合室で、「日本人ですか、お茶どうぞ」で始まるこの手口は当国の現実として記録済み。詳細はダッカの睡眠薬強盗に。
ヤバ(Yaba)とドラッグ情勢
ダッカ市内の薬物情勢も、短く押さえておきます。
近年、ダッカ市内を含め、全国的に薬物事案が増加傾向にあり、同時に被検挙者の低年齢化も進んでいます。特にダッカ市内では「Yaba(ヤバ)」と呼ばれる錠剤の薬物が大量に出回っており、外国人に売買を持ちかける密売グループが存在している
当国の麻薬取締法は「日本の法律と比較しても極めて厳格な罰則規定」と手引きが明記。観光客に薬物を持ちかける手口が存在する前提で、知らない人からの「土産」「お菓子」を荷物に入れないが絶対条件です。
デング熱:ダッカ市内で毎年流行
感染症で最も身近なのがデング熱。
バングラデシュでは、ダッカを中心とした都市部でも蚊を媒介とするデング熱(感染症)が(流行し)、2023年は32万例を超える患者数の発生(うち1705人死亡)がありました。
ダッカは都市部でも蚊に刺される街という前提で、昼夜とも長袖・DEET入り虫除けを使う必要があります。医療事情の詳細はダッカの感染症・医療へ。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
緊急連絡先(ダッカ)
手引きと領事ページから。
| 用途 | 番号 |
|---|---|
| 一般緊急ダイアル | 999 |
| 在バングラデシュ日本国大使館(領事・警備) | +880-2-2222-60010 |
| ダッカ首都圏警察本部 | 01320-051998 |
| 外国人企業向け緊急電話(BIDA) | 01320-001222 / 01320-001223 |
事件が発生した場合、被害届は被害発生地を管轄する警察署に提出が原則。ダッカ市内の警察署一覧は大使館手引きに記載があり、宿泊ホテルに確認するのが早いです。
ダッカで押さえる行動規範
- 空港の声かけ・荷物運搬者には絶対についていかない(ピックアップはホテル事前予約)
- 夜間早朝のリキシャ・CNG・Uberは避ける。自家用車・ハイヤー・日中の配車が基本
- リキシャ・CNG乗車時は鞄を膝の上か足の間、ショルダーは車道側と逆
- グルシャン・ボナニ・バリダラも「安全エリア」ではない。ホテル室内も分散保管
- バス・ミニバス・長距離バスは選挙前後は特に避ける(放火対象)
- 知らない人からの飲食物・お茶は絶対に口にしない
- 事故・トラブルに巻き込まれたらその場で話さない、安全な場所まで移動してから警察
- ハルタル情報・治安情報はたびレジ+大使館SNSで毎日チェック
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
ダッカのトラブル別詳細
- スリ・ひったくり・置き引き — 空港強盗、リキシャ鞄強奪、グルシャン侵入窃盗
- タクシー・交通トラブル — CNG/リキシャ/Uber、モブジャスティス、ハイウェイ事故
- 睡眠薬強盗 — 飲食物を勧められ意識朦朧(A2明記)
- 感染症・医療 — デング・狂犬病・ニパウイルス・緊急搬送3000万円
この都市のトラブル別ガイド
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