ダッカの交通は、「選択肢は多いが、どれもリスクが違う形で存在する」という独特の構造。在バングラデシュ日本国大使館「安全の手引き」と外務省の注意喚起を並べると、夜間早朝のリキシャ・CNG・Uber回避、オートリキシャの死亡事故多発、ハイウェイの車両事故、モブジャスティス、ダコイト(強盗団)の夜行バス襲撃、2026年2月総選挙前のバス放火が並びます。
Travel Alert 01
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原則:「夜間早朝のリキシャ・CNG・Uberは乗るな」
まず押さえるべきは、大使館がはっきり書いている12箇条の1節。
移動には自家用車やハイヤーを利用する。夜間、早朝のリキシャ、CNG(小型オート三輪車)、一般タクシー、Uberタクシーにはできる限り乗らないようにする。特にオートリキシャと呼ばれる電動モーターを設置したリキシャによる交通事故で多くの死亡事故も発生しているため、オートリキシャは利用しないようにする。
「Uberも夜は避けろ」「オートリキシャはそもそも使うな」と名指しされている。これが他国との決定的な違いです。ダッカ滞在中の基本ルールはこうなります。
- 昼間:配車アプリ(Uber/Pathao等)は使える。ただし車種・ドライバー評価は見る
- 夜間・早朝:ホテル手配のハイヤー、またはホテルピックアップのみ
- オートリキシャ(電動):時間帯問わず使わない
- 人力リキシャ:日中の近距離のみ、鞄は足の間、貴重品を出さない
1. オートリキシャの死亡事故
「特にオートリキシャは」と強調されているのは理由があります。
特にオートリキシャと呼ばれる電動モーターを設置したリキシャによる交通事故で多くの死亡事故も発生しているため、オートリキシャは利用しないようにする。
ダッカの道路事情は、道路を逆走する車両が多いと手引きが明記するほど混沌としていて、ブレーキ弱いオートリキシャで事故れば致命傷になるリスクがある。安さに惹かれて使うのではなく、そもそも選択肢から外すのが手引きのスタンスです。
Travel Alert 02
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2. リキシャ乗車中の鞄強奪
交通の話と同時に、強盗の話でもあります。
邦人男性がリキシャに乗車中、後方から来た複数の者に所持していた鞄を強奪(された)
渋滞停止中のリキシャ・CNGは横がオープンの金魚鉢状態。バイク2人組が後方から近づき、横から鞄を奪って走り去るパターンが典型。「強盗被害にあった際は抵抗しない(犯人は銃器やナイフを持っている可能性がある)」と手引きは書いており、スマホと鞄は守り方を仕込んでおく必要があります。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在バングラデシュ日本国大使館「安全の手引き」令和8年1月版)
対策
- 鞄は足の間・床。横・膝の上(窓から見える位置)に置かない
- 車両に乗る際は、自家用車であってもドアロックを掛ける(手引きの12箇条より)
- スマホを長時間出さない。地図確認は乗車前に済ませる
3. ハイウェイ事故とダッカ郊外
郊外移動が入ると別の事故リスクが出てきます。
近年、ダッカと郊外を結ぶハイウェイでの車両事故が増加しています。特にハイウェイの(中略、夜行バス・長距離バスの事故多発)
さらに強盗のリスクも。
特に夜行バスの場合、交通事故の危険に加え、強盗団(ダコイト)から被害を受ける可能性がある。
「ダッカから地方都市へ夜行バス」は交通事故と強盗のダブルリスク。どうしても移動する場合は昼行便・国内線の選択肢が優先です。
4. 事故後の行動:「安全な場所まで移動してから」
日本の感覚と違うのが、事故後の対応ルール。
(事故現場から)身の安全を確保した上で、警察に届け出るなどの事故処理を行うことも一案です。
理由はモブジャスティス。
携帯電話や財布を盗んだ者や交通事故を起こした者に対して、被害者や周囲にいる人々が暴力を振るい、殺害したり、けがをさせたりするモブジャスティスも依然として発生しています。
「事故現場で話し合う」は避け、安全な場所に移動してから警察に届ける、が現地の正解。自家用車・ハイヤーのドライバーと事前に「事故ったら現場から離れる」を確認しておくレベルで想定しておく話です。
Travel Alert 03
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5. 2026年総選挙前のバス放火・道路封鎖
2026年前半に渡航する人は、政治リスクも交通に直結します。
ダッカ管区を中心に粗製爆弾(注:火薬をビニールテープで巻いたもの)の爆発が教会、病院及び主要道路等で発生し、負傷者が出ています。(中略)公共交通バスへの放火事案が数多く発生し、死傷者が出ています。
各種抗議活動のうち、ハルタル(ゼネラル・ストライキ)は、暴動化する可能性が高いので特に注意が必要です。
選挙前のハルタル(大規模ストライキ)が出るとバス放火・道路封鎖・投石・交通麻痺が同時に起きます。ダッカ市内の反政府活動エリアも手引きで名指し。
ファームゲート(エアポート道路沿い)、モハカリ・バス停やモハカリ交差点(マイメンシン道路沿い)、モティジール(商業地区)、プレスクラブ(最高裁付近) ○反政府活動が実施される際、道路封鎖に伴う交通渋滞や通行中の車両が投石を受けるケースが多々発生しています。
エアポート道路沿いのファームゲートが該当するので、空港〜市内の移動経路と直結する点に注意。ハルタル情報はたびレジ+大使館SNSで毎日チェックが基本運用です。
6. 鉄道・フェリーも推奨されない
列車、バス、フェリーなどの一般公共交通機関は、極力使用しない。
つまり「日本人旅行者は公共交通機関は基本使わない」というのが外務省のスタンス。予算は厳しくなりますが、自家用車チャーター・ホテル手配ハイヤー・国内線が基本選択肢です。
7. 空港動線の話
ダッカ・ハズラット・シャージャラル国際空港の到着動線も交通リスクの起点。
空港周辺で旅行ガイドやホテル従業員を装い気軽に声を掛けてくる人物には絶対についていかない。(中略)荷物を勝手に運搬しようとする者が多いため、必要なければはっきりと断る。
そして実際に「外国人旅行者がダッカ空港からの移動中に強盗に遭う事件」が大使館の注意喚起に記録されています(令和7年3月)。
対策
- ホテルピックアップを事前予約(到着ロビーでプラカード確認)
- 流しのタクシー・空港カウンターの声かけ業者は使わない
- 夜間到着便は極力避ける(どうしても夜着なら翌朝まで空港ホテル泊の選択肢も)
Travel Alert 04
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手口早見表
| 手口 | 時間帯 | 主なリスク | 推奨代替 |
|---|---|---|---|
| オートリキシャ(電動) | 常時 | 死亡事故 | 使わない |
| 人力リキシャ | 夜間早朝 | 鞄強奪・交通事故 | 日中近距離のみ |
| CNG(オート三輪) | 夜間早朝 | 鞄強奪 | 日中のみ、荷物は足元 |
| Uber/一般タクシー | 夜間早朝 | 強盗・ぼったくり | ホテル手配ハイヤー |
| バス・ミニバス | 常時 | 放火・事故 | 使わない |
| 夜行バス・長距離バス | 夜間 | ダコイト・事故 | 国内線・昼行車 |
| 鉄道・フェリー | 常時 | 事故・治安 | 極力使わない |
予防策まとめ
- オートリキシャは使わない(手引きの明言)
- 夜間早朝のリキシャ・CNG・Uberは避ける。ホテル手配ハイヤー一択
- リキシャ・CNG乗車時は鞄を足元、スマホ出さない、ドアロック
- 空港はホテルピックアップ事前予約、到着ロビーの声かけ・荷物運搬者は全部断る
- 夜行バス・長距離バス・フェリー・列車は極力使わない
- 事故・トラブル時は現場で話さず、安全な場所に移動してから警察
- ハルタル・選挙関連情報はたびレジ+大使館SNSでチェック
- 反政府活動エリア(ファームゲート・モティジール・プレスクラブ等)は迂回
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害・事故に遭ったら
- 命と身体を最優先。武装犯には抵抗しない
- 安全な場所まで移動してから緊急ダイアル999に通報
- 警察署で被害届・事故証明書を発行(保険請求に必須)
- 在バングラデシュ日本国大使館領事班(+880-2-2222-60010)に連絡
- 保険会社のアシスタンスデスクに連絡
- 現場の群衆に対応しない(モブジャスティス防止)
ダッカの他の手口はスリ・ひったくり・睡眠薬強盗・感染症・医療に。国全体の情勢はバングラデシュの治安トップ、南アジア全体の保険は南アジアの海外旅行保険ガイドへ。
よくある質問
ダッカでUberは使っても大丈夫?
昼間の使用は実用的ですが、大使館は「夜間、早朝のリキシャ、CNG(小型オート三輪車)、一般タクシー、Uberタクシーにはできる限り乗らないようにする」と明記しています。夜間・早朝はホテル手配のハイヤーかホテルピックアップが推奨です。
オートリキシャと普通のリキシャは何が違う?
オートリキシャは電動モーター付きで、手引きは「オートリキシャによる交通事故で多くの死亡事故も発生しているため、オートリキシャは利用しないようにする」と書いています。普通のリキシャ(人力)も横オープンで鞄強奪のリスクがあり、夜間早朝は乗らないのが基本です。
事故に遭った時はその場で話し合っていい?
現地の推奨は違います。大使館は「(事故現場から)身の安全を確保した上で、警察に届け出るなどの事故処理を行うことも一案です」と書いています。モブジャスティス(私刑)に巻き込まれるリスクがあるため、安全な場所まで移動してから警察に届けるのが正解です。
長距離バスで地方に行っても大丈夫?
大使館の手引きは「特に夜行バスの場合、交通事故の危険に加え、強盗団(ダコイト)から被害を受ける可能性がある」と明記。外務省も「列車、バス、フェリーなどの一般公共交通機関は、極力使用しない」としており、特に夜行バスは避けるのが無難です。