マレーシア国家警察の統計によると、詐欺被害は過去10年間で20万件以上。2024年は約35,368件と過去最高を記録し、2025年は11月末時点ですでに約6万7千件・被害額約27億リンギットに達しています。クアラルンプールでも日本人を狙った詐欺が複数のパターンで起きていて、大使館に相談が寄せられ続けています。
ここでは、ソースで確認できる手口を整理して紹介します。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
よくある手口
マレーシアの詐欺で最も多いのは、外務省によれば電話詐欺です。
主な手口は、銀行・警察等を騙る「電話詐欺」、次いでオンラインショッピングを介した「eコマース詐欺」「投資詐欺」となっており、その内電話詐欺が最も多く見られる手口となっています。
順位は 電話詐欺 → eコマース詐欺 → 投資詐欺。旅行者が路上で遭う手口だけでなく、オンライン経由の比重が大きいのが実態です。
「お金見せて詐欺」
クアラルンプール市内の路上で、中東系男女や白人男性が「日本円を見せて欲しい」と声をかけてきます。財布を出した瞬間に中身を抜き取る手口で、大使館は「昨年から引き続き被害や相談が寄せられている」と注意喚起しています。
「財布をなくしたのでお金を貸して欲しい」というバリエーションも確認されていて、いずれも路上で見知らぬ人に財布を見せた時点でアウトです。
外務省が挙げている実例を見ると、声をかけられる場所がはっきりしています。
・クアラルンプール市内に所在するホテル内において、中東系の男女に声を掛けられ、同男から「10,000 円の日本の通貨を見せて欲しい」と声を掛けられた。その後、財布に入っていた紙幣がなくなっていることに気がついた。
・ツインタワー周辺において、「ドバイから来た」と名乗る男性に、「日本円を見せてほしい」と声をかけられる。男は、財布内をのぞき込み、必死に日本紙幣を触ろうとする(被害なし)。
・クアラルンプール市内のコンビニ店内において、「今度日本に行くので一万円札を見せてほしい」などと白人男性に声をかけられる(被害なし)。
・クアラルンプール市内のチャイナタウン付近において、中東系男性に、「日本人ですか」、「私達は来月、日本を訪れる予定です」、「日本のお札に描かれている人は誰ですか」などと日本語で話しかけられ、お金を見せて欲しいとしつこく要求される(被害なし)。
ホテル内・ツインタワー周辺・コンビニ店内・チャイナタウン付近。路上だけでなく屋内でも起きていて、しかも日本語で話しかけてくるパターンがあります。「日本に行く予定」「お札の人物は誰か」という入り方は、警戒を解かせるための定型と考えていい。被害なしで終わっている事例が多いのは、財布を開かなければ成立しない手口だからです。
MDAC(デジタル入国カード)偽サイト
マレーシア入国前に登録が必要なデジタル入国カード(MDAC)の偽サイトが出回っています。偽サイトは情報入力後に「手数料の支払い」と称してクレジットカード情報を要求しますが、本来MDACの登録に手数料はかかりません。カード情報を入力すると不正利用されるおそれがあります。
公式サイトのURLを事前にブックマークしておくのが確実です。
投資詐欺・SNS経由の勧誘
大使館の安全の手引きでは、「仮想通貨プロジェクトに参加すれば高リターンが得られる」「外国の投資口座を開設すれば数%の利益が得られる」といった甘い誘い文句で金銭をだまし取る手口が紹介されています。マッチングアプリで知り合った相手から投資サイトへの加入を強く勧められるパターンも確認されています。
InstagramやLinkedInを介した投資の勧誘も報告されており、SNS上の儲け話には要注意です。
電話・メッセージ詐欺(振り込め詐欺)
知らない番号から「あなた名義で不正にクレジットカードが作られている」「銀行口座から不正な取引がある」と連絡が来て、口座番号や暗証番号、セキュリティコードを聞き出す手口です。WhatsAppやSMSで「賞金が当選した」「政府の支援が受けられる」「あなたの口座に問題がある」といった内容で送金させようとするパターンもあります。
ロマンス詐欺(国際送金詐欺)
SNSで親しくなった西洋人を装った架空の人物から、税関での罰金・保釈金・治療費などの名目でマレーシアへの送金を懇願される手口です。第三者名義の銀行口座やウェスタンユニオン等の国際送金サービスを使わせて、多額の現金をだまし取ります。
eコマース詐欺・オークション詐欺
オンラインショッピング経由の詐欺は、日本にいる人が被害者になる形でも起きています。
携帯電話やカメラのレンズ等、コンパクトで高額な商品をヤフーなどのオークションサイトに出品していたところ、マレーシアから「出品価格よりも高額で購入するので、直接取引で直ちに商品を送付して欲しい」との偽造の国際送金書類を添付したメールを受信。相手が示した住所に商品を送付するも、それ以降連絡が取れなくなるもの。
出品価格より高く買う・直接取引・すぐ送れの3点が揃ったら詐欺と見ていい。偽造の国際送金書類が添付されるので、書類があること自体は何の担保にもなりません。
手数料詐欺(前払い名目)
送金を約束しておいて、その手続き費用を先に払わせる手口です。
マレーシアあるいは第三国に居住する人物から、「遺産」「研究費」「寄付」など各種名目で多額の送金をする旨メール等で連絡。しばらくすると「為替手数料」「送金手数料」「臨時口座開設手数料」「通関手続き料」など、様々な名目で送金を促すメールが送りつけられ、詐欺と気づくまで送金し続けてしまうもの。
名目が次々に変わって送金が一度で終わらないのが特徴。「あと1回払えば入金される」が延々と続きます。
闇バイト――加害者になるリスク
「海外で高額収入」「儲かる仕事」といった闇バイトの謳い文句でマレーシアに渡航した結果、詐欺犯罪の加害者として逮捕された邦人も確認されています。コンドミニアムの一室を拠点に日本向けの特殊詐欺を行っていたケースでは、AI(人工知能)を使ったビデオ通話システムまで使われていたと報道されています。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
被害ケース
クアラルンプールの路上を歩いていたら、中東系の男性に「日本円を見せて欲しい」と声をかけられました。珍しがっているのかなと思って財布を出したら、一瞬のうちに紙幣を数枚抜き取られていました。あとから気づいても、もうどこにもいませんでした。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在マレーシア日本国大使館「盗難等の犯罪被害に遭った場合」)
繁華街で「財布をなくしてしまったのでお金を貸して欲しい」と話しかけられました。困っている様子だったので財布を出そうとしたら、横にいた別の人物にバッグの中を探られている感じがして、すぐにその場を離れました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在マレーシア日本国大使館「盗難等の犯罪被害に遭った場合」)
渡航前にMDACを登録しようとネット検索したら、手数料の支払い画面が出てきました。クレジットカード番号を入力しかけましたが、公式サイトでは手数料不要と書いてあって偽サイトだと気づきました。危なかったです。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在マレーシア日本国大使館「MDAC偽サイトに関する注意喚起」)
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
予防策
1. 路上で絶対に財布を見せない
「お金を見せて」「お金を貸して」と声をかけてくる人には、どんな理由でも応じないのが鉄則です。財布を出した時点で狙われます。
2. MDACは公式サイトからのみ登録する
検索エンジン経由で偽サイトに誘導されるケースがあります。公式サイトのURLを事前に確認してブックマークしておきましょう。手数料の支払いを求められたら偽サイトです。
3. SNS経由の投資話・儲け話は無視する
Instagram、LinkedIn、マッチングアプリ経由の投資勧誘は、高確率で詐欺です。「必ず儲かる」という話に乗らないでください。
4. カード決済時は手元を隠す
外務省が明記している対策です。
また、買い物の際に、PINコードなどが読み取られないよう手元を隠すなどの防衛策を講じてください。
暗証番号を盗み見られてからカードを抜き取られると、被害額が跳ね上がります。集団スリのリレー手口と組み合わさると、気づいた頃には引き出された後になる。
4. 知らない番号からの電話・メッセージに応じない
銀行や政府機関が電話で暗証番号やセキュリティコードを聞くことはありません。不審な連絡は無視して、公式の窓口に自分から確認を取りましょう。
5. 「海外で高収入」の仕事は断る
闇バイトに加担して逮捕されれば、マレーシアの刑事罰を受けることになります。甘い話には絶対に乗らないでください。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
被害に遭ったら
- 国家詐欺対応センター(NSRC)に通報 — 緊急ホットライン: 997。被害から3日以内であれば、送金の停止・凍結措置が講じられる可能性があります。速やかな通報が重要です
- カード会社に連絡 — クレジットカード情報を入力してしまった場合、すぐにカード会社へ連絡して利用停止を
- 警察に届け出る — 警察: 999 / ツーリストポリス
- 大使館に相談 — 在マレーシア日本国大使館: 03-2177-2600
上記のような被害は、海外旅行保険でカバーできる可能性があります(携行品損害・盗難保険)。クレカ付帯+ネット保険の組み合わせで備えるのが一般的です。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
クアラルンプールの他のトラブル情報
詐欺・ぼったくり以外のトラブル手口と安全対策は、クアラルンプールの治安・危険エリア情報からまとめて確認できます。
マレーシア全体の法律・マナー(薬物の厳罰規定・宗教的マナーなど)は、マレーシアの治安・法律・マナーでまとめています。
よくある質問
クアラルンプールで日本人が狙われやすい詐欺は?
「お金見せて詐欺」が代表的です。中東系男女や白人男性が「日本円を見せて欲しい」と声をかけ、財布から現金を抜き取る手口で、大使館に継続的に被害報告が寄せられています。
MDAC(デジタル入国カード)の偽サイトとは?
マレーシア入国時に必要なデジタル入国カード(MDAC)の偽サイトが確認されています。偽サイトは手数料支払いと称してクレジットカード情報を要求しますが、本来MDACに手数料はかかりません。不正利用のおそれがあるので注意してください。
マレーシアで詐欺に遭ったらどこに連絡する?
国家詐欺対応センター(NSRC)の緊急ホットライン997に通報してください。被害から3日以内であれば送金の停止・凍結措置が講じられる可能性があります。あわせて在マレーシア日本国大使館(03-2177-2600)にも相談できます。