クアラルンプール(KL)は東南アジアの中でも旅行しやすい街だけど、スリ・ひったくりは日本人が最も遭いやすいトラブルのひとつ。大使館には在留邦人・旅行者からスリ被害の相談や報告が多く寄せられていて、年末年始にかけて外国人観光客をターゲットにした犯罪集団の動きも活発になる。
半年で約40件ものパスポート盗難・紛失が報告されているのもKLの特徴。パスポートを盗られると旅行そのものが続けられなくなるので、手口を知って備えておこう。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
集団スリ — エスカレーター・電車が要注意
KLで最も警戒すべきスリの手口が、ショッピングモールのエスカレーターや電車内での集団スリ。複数人のグループで取り囲み、気づかないうちにバッグから金品を抜き取る。
エスカレーター降り口の取り囲みスリ
ショッピングモールのエスカレーター降り口付近やエレベーターの中で、複数の男に取り囲まれてバッグから金品を奪われるパターン。エスカレーターに乗っている最中に、背負っていたリュックやボディバッグのチャックを開けて財布を抜き取る手口も多い。
コイン・ドロップ盗(バス・電車内)
混み合う路線バスや電車の中で、誰かがわざと小銭を落とす。周囲の数人が「拾ってあげる振り」をしながらしゃがみこみ、その隙に別のメンバーが乗客のバッグを開けて金品を抜き取る。マレーシア警察が「コイン・ドロップ盗」と呼んでいる手口で、グループ全員がグルになっている。
さらに厄介なのが、盗んだ財布からカード類だけ抜き取り、財布をバッグに戻すケースがあること。発覚を遅らせる狙いで、気づいたときにはカードが不正利用されていることもある。
KLセントラル駅でエスカレーターに乗っていたら、降りたところで数人に囲まれて押されるような形に。ホテルに戻ってからリュックのチャックが開いていることに気づいて、中の財布がなくなっていました。現金だけでなくクレジットカードも入っていたので、すぐカード会社に電話しました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在マレーシア日本国大使館「安全の手引き」)
バイクひったくり — KL市内の都市部で多発
歩行中にオートバイに乗った人物に持ち物をひったくられるケースが、KL市内をはじめマレーシアの都市部で多発している。転倒して大怪我を負うことも珍しくない。
よくあるパターンはこんな感じ。
- 歩道を歩いていて、車道側に持っていたショルダーバッグをバイクにひったくられる
- 携帯電話を見ながら信号待ちをしていたら、走ってきたバイクに携帯を奪われる
- ブキビンタンの繁華街を歩いていて、後ろから来た二人乗りバイクにパスポート入りのバッグをひったくられる
ブキビンタンの通りを歩いていたら、後ろから二人乗りのバイクが来て、肩にかけていたバッグをガッと引っ張られました。パスポートも入っていたので大使館に駆け込むことになりました。引きずられて腕を擦りむいたのも痛かったです。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在マレーシア日本国大使館「安全の手引き」)
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
偽装警察官によるスリ
「警察だが、違法薬物を所持している疑いがあるので持ち物を検査させてほしい」と声をかけてくる2〜3人組の手口。手荷物検査を装って、巧妙に財布の中身を抜き取る。
私服の場合がほとんどだけど、制服を着用して犯行に及ぶ手の込んだ例もあるとされている。路上で突然「所持品検査」を求められたら、「最寄りの交番で対応します」と伝えて、その場では応じないこと。
置き引き — レストラン・屋台街で油断しがち
KL市内中心部の観光地では置き引きも多い。
- 喫茶店で歓談中、空いている椅子の下に置いたバッグがいつの間にかなくなっていた
- レストランで席を外したわずかの間に、座席に置いたバッグを盗まれた
- 見知らぬ人物に声をかけられ、そちらに気を取られている間に傍らのバッグを盗まれた
- ジャランアロー(屋台街)のレストランで食事中、バッグを椅子の脇に置いていたら目を離した隙に盗まれた
ジャランアローで夕食を食べていたとき、バッグを椅子の横に置いていたんです。隣のテーブルの人に話しかけられて少し目を離したら、バッグごとなくなっていました。財布もスマホも全部入っていたのでかなり焦りました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在マレーシア日本国大使館「安全の手引き」)
ホテル・ゴルフ場ロッカーの窃盗
一流ホテルでも安心はできない。合鍵などを使って客室に侵入し金品を盗む事件が発生していて、セーフティボックスに入れていた貴重品をボックスごと盗まれた事例もある。
ゴルフ場のロッカーに貴重品を入れていて盗まれるケースも多い。プレー中のゴルフバッグから貴重品入れを抜き取られた事例が報告されている。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
飛行機内の盗難
意外と盲点なのが機内での盗難。国内線・国際線を問わず、座席上の収納棚に入れた手荷物から貴重品が盗まれる被害が確認されている。現金やパスポートは収納棚に入れず、可能な限り身体に近いところで持っておこう。
パスポート盗難 — 半年で約40件
大使館によると、半年(1〜6月)で約40件ものパスポート紛失・盗難の相談が寄せられている。特に多いのは以下のケース。
- ブキビンタン周辺など観光客が多いエリアを観光中に盗まれる
- 電車・駅構内でクレジットカードやパスポートを入れたケースを盗まれる(特にKLセントラル駅周辺で多い)
- 両替所に並んでいるとき、肩から後ろに提げたショルダーバッグの中からカード・パスポート・財布をまとめて盗まれる
パスポートは持ち歩く場合、バッグの外ポケットではなく服の内ポケットやセキュリティポーチに入れるのが鉄則。
スリ多発エリア一覧
大使館が名指ししているスリ多発エリアをまとめておく。
| エリア | 特に多い手口 |
|---|---|
| ブキビンタン周辺 | バイクひったくり、スリ全般、パスポート盗難 |
| KLセントラル駅・駅直結モール | 集団スリ、パスポート盗難 |
| バトゥ洞窟 | 階段でのリュック・ボディバッグからのスリ |
| ムルデカ広場周辺 | スリ全般 |
| チャイナタウン | スリ全般 |
| ジャランアロー(屋台街) | レストランでの置き引き |
| KLIA内モノレール | スリ |
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
予防策
- リュックは前抱えにする — エスカレーターや電車内では背中のリュックは格好の標的。チャックを開けられても気づきにくい
- バッグは車道と反対側に持つ — バイクひったくり対策の基本。ショルダーバッグは建物側の肩にかける
- 歩きスマホをしない — 信号待ちで携帯を見ていてバイクにひったくられた事例が複数ある
- レストランでバッグを椅子に置かない — 膝の上か、テーブルの脚にストラップを巻きつける
- パスポート・カード・現金を分散する — 全部同じバッグに入れると、一度の被害で身動きが取れなくなる
- 小銭を落とす人がいたら警戒 — コイン・ドロップ盗の合図。しゃがまず、バッグを体の前に抱えてその場を離れる
- 路上で「警察」を名乗る人物の所持品検査に応じない — 「交番で対応します」と伝える
- ホテルのセーフティボックスを過信しない — ボックスごと盗まれた事例あり。パスポートのコピーを別の場所に保管しておく
- 機内では貴重品を収納棚に入れない — 現金・パスポートは身につけておく
上記のような被害は、海外旅行保険でカバーできる可能性があります(携行品損害・盗難保険)。クレカ付帯+ネット保険の組み合わせで備えるのが一般的です。
もし被害に遭ったら
- 警察(999)に届け出る — 盗難届(ポリスレポート)は保険請求に必須
- クレジットカード会社に即連絡 — カードの不正利用を止める。集団スリではカードだけ抜き取られるケースもあるので、財布が手元にあっても中身を必ず確認
- パスポートが盗られた場合 — 在マレーシア日本国大使館(03-2177-2600)に連絡
- 海外旅行保険の事故受付窓口に連絡 — 携行品損害の請求手続きを進める
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
クアラルンプールの他のトラブル情報
スリ・ひったくり以外の手口や安全対策は、クアラルンプールの治安・危険エリア情報からまとめて確認できます。
- KLの詐欺・ぼったくり — 「日本円見せて」詐欺、MDAC偽サイト、投資詐欺
- KLのタクシートラブル — 流しタクシーの強盗・監禁、交通事故偽装
同じ東南アジアではバンコクのスリ・ひったくりやホーチミンのスリ・ひったくりでも同様のバイクひったくり手口が報告されています。
マレーシアの法律・マナー(薬物の厳罰規定・宗教的マナーなど)は、マレーシアの治安・法律・マナーでまとめています。
よくある質問
クアラルンプールでスリが多い場所はどこ?
大使館によると、ブキビンタン周辺、KLセントラル駅・駅直結モール内、KLIA内モノレール、バトゥ洞窟、ムルデカ広場周辺、チャイナタウンでスリ被害が多く報告されています。
「コイン・ドロップ盗」って何?
バスや電車の中で誰かがわざと小銭を落とし、周囲の数人が拾う振りをしながらバッグを開けて金品を抜き取る集団スリの手口です。マレーシア警察がこの名称で呼んでいます。
偽の警察官にスリされたらどうすれば?
まず本物の警察(999)に通報してください。私服の「警察」を名乗る人物が所持品検査を求めてきた場合、正規の警察官なら最寄りの交番で確認できます。路上での所持品検査には応じず、「交番で対応します」と伝えるのが安全です。
パスポートを盗まれたらどうすれば?
在マレーシア日本国大使館(03-2177-2600)に連絡してください。大使館には半年で約40件ものパスポート盗難・紛失の相談が寄せられており、特にブキビンタン周辺やKLセントラル駅での被害が多くなっています。