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バンコクのスリ 年128件・刃物バッグ切りと抱きつき【2026】

バンコクのスリ・置き引きの手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.10 KAIGAI-RISK

バンコクで日本人が遭う犯罪の中で、ダントツに多いのがスリ・置き引きです。在タイ日本国大使館「安全の手引き」(令和8年版)によると、2025年は128件。さらに旅券の盗難86件・紛失267件を合わせると、353件の旅券がバンコク周辺で失われてる計算になります。

スリや置き引きの手口は多様化していますが、複数名がグループになり被害者の注意をうまくそらせた上で犯行に及ぶケースが多数発生しています。

つまり「一人のスリに狙われる」より「複数人で囲まれて、気をそらされた隙にやられる」のが典型。ここからは大使館ソースに載ってる具体的な手口を一つずつ見ていきます。読んでおくと、現地で「あっ、これあのパターンだ」と気づけるようになります。

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バンコクでスリ・置き引きが多発しているエリア

外務省が「ここは要注意」と挙げてる場所はこんな感じ。

  • 旅行者が集まる観光スポット
  • 繁華街
  • デパート等の大型商業施設周辺
  • 若い単独旅行者が利用するゲストハウス(安宿)周辺
  • 狭い路地

手引きはさらに、風俗店や飲食店の多い繁華街を抱きつきスリの多発エリアとして挙げています。

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典型手口(安全の手引き令和8年版より)

手口1:声かけによる現金・カード抜取り

2025年に複数件報告された典型的な手口がこれです。

外国人男性(または男女)から「お札を見せてほしい」などと声を掛けられ、やりとりをしている間に現金、クレジットカードを抜き取られた。

外務省「安全対策基礎データ」も2024年の典型例として「お金を見せてほしい」と声をかけられて現金・クレカを抜かれるパターンを挙げていて、2024→2025と連続。親しげに話しかけられた時点で、もう罠にかかってると思ったほうが早いです。

TESTIMONY · 旅行者A

バンコクの観光地を歩いていたら、人懐っこく話しかけてきた外国人に「日本円を見たことがないから見せてほしい」と言われました。財布を出して紙幣を見せていたら、別の人が何枚か紙幣を抜き取って、気づいたときにはもう人混みに紛れて消えていました。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在タイ日本国大使館・在チェンマイ日本国総領事館「安全の手引き」(令和8年版)

声かけから財布を開かせる流れは詐欺・ぼったくりの「寸借詐欺」と同じ構造です。

手口2:市場・電車内での刃物によるバッグ切り

もうひとつの代表例がこれ。

市場などの人ごみや電車内などで複数の人物に取り囲まれ、鋭利なものでバックを切られ、またはバッグのチャック等を開けられ、財布やスマートフォン等の貴重品を盗まれる。

手引きの指示は「混雑した場所ではバッグを身体の前に持つ」「財布や貴重品をズボンの後ろポケットやバッグのすぐ取り出せるところに入れない」。BTSやMRTでバッグを背中側に回したまま乗ると、刃物で切られても気づけません。乗る前に前抱えに直しておこう。

手口3:抱きつきスリ(繁華街)

繁華街特有なのがこの抱きつき型。

歩行中、数名の子供や女性等がなれなれしく身体に触れたり、抱きついたりして気をそらせ、ポケットから財布等の貴重品を盗む。

手引きは「風俗店や飲食店の多い繁華街を歩く際にはこのスリの手口に気をつける」と書いてます。夜の繁華街で、見知らぬ相手と身体が接触した瞬間は、ほぼ確実に危険信号。繁華街の声かけはスリだけじゃなく、睡眠薬強盗の入口にもなります。

手口4:ホテル客室内の置き引き(害虫駆除中など)

部屋の中でもやられます。手引きにはバンコクのホテルで実際に起きた事例が載ってます。

日本からタイに入国した方が、首都バンコクにあるホテルに宿泊中、部屋の一室内に蟻が発生したことから、害虫駆除作業をホテル側に依頼したところ、ホテル従業員が来訪した。駆除作業中、同室内から出るように言われ室外にいたため、財布から目を離していたところ、チェックアウト時に同室のクローゼット内に入れていた財布の中から日本円が盗まれていたことに気付いた。

ホテル従業員の作業中に部屋の外に出された、という一見自然な状況の裏で、室内の貴重品が物色されていたケースです。ホテル関係者であっても、作業中は室内に貴重品を残さないが鉄則です。

手口5:フードコート・カフェの置き引き

レストランやフードコートにおいて、座席の背もたれに荷物をかけ、食事をしていたところ、ほんの僅かの隙に荷物を何者かに持ち去られる

TESTIMONY · 旅行者B

カフェで友人と話している間、足元に置いたバッグから財布だけが抜き取られていました。隣の席にいた人が立ち去る瞬間に気づいた、というだけで犯人を追えませんでした。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在タイ日本国大使館・在チェンマイ日本国総領事館「安全の手引き」(令和8年版)

損保ジャパンの公開事例では、タイの空港で荷物をカートに乗せて押しながら携帯電話で通話中に、荷物の1つ(デジカメ・MD・財布)を盗まれ、携行品損害として14万円が支払われた事例、バンコクでスーツケースを盗まれ30万円が支払われた事例が記録されています。通話中・手続き中・友人との会話中など、「一瞬の注意力低下」が狙われます。

手口6:公園のベンチ置き引き

公園等でベンチに座った際、横に荷物を置いて読書等をしていたところ、いつの間にか荷物がなくなっている。

開放空間での無防備な時間(読書・休憩・ストレッチ)は置き引きの好条件です。

手口7:航空機内の頭上収納棚での抜取り

第三国から航空機でタイに向かう際、頭上の荷物収納棚にバッグを入れていたところ、バッグを開けられ、100米ドル紙幣を1米ドル紙幣にすり替えられたり、封筒入りの現金を盗まれた

注意点として「現金等の貴重品は、頭上の収納棚に入れることなく肌身離さず自身の見える範囲で保管するとともに、トイレ等を利用する際には、座席付近に置きっぱなしにしない」。100ドル→1ドルのすり替えは、気づくのが帰国後になるケースもあります。

手口早見表

手口発生場面注意すべきサイン主な対策
声かけ抜取り観光地・人混み「お札を見せて」「両替して」等の声かけ財布を開かずその場を離れる
刃物バッグ切り市場・電車内の密集不自然に密着してくる複数人バッグは前抱え、貴重品は内ポケット
抱きつきスリ風俗店・飲食店多い繁華街子供・女性のなれなれしい接触身体接触された瞬間に後退
ホテル室内置き引き客室の作業中・清掃中作業員に室外へ出される貴重品はセーフティボックス or 持ち歩く
フードコート置き引き食事中・注文中荷物を椅子背もたれ・床に置くバッグは膝の上 or 身体固定
空港の手続き中置き引きカート押し・通話中通話・書類記入で注意分散手続き中は荷物に身体接触を維持
公園ベンチ置き引き読書・休憩中ベンチ横に荷物を置く荷物は太ももの上 or 肩掛け維持
機内収納棚抜取り長時間フライト中バッグを頭上棚に預けトイレへ貴重品は座席足元 or 身体固定

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予防策

外務省の防犯ガイドライン「3ない行動」(近づかない・慌てない・楽観視しない)と、実務的な対策を組み合わせることで、被害確率は大きく下がります。

  1. 見知らぬ者から声を掛けられたら警戒する — 安全の手引きは「軽々しく話に乗らないことが肝要」と明示。「お金を見せて」「両替に協力して」と言われたら、その場ですぐに離れる
  2. 混雑した場所ではバッグを身体の前に持つ — 安全の手引きの明示指示。BTS/MRT・市場・観光地の人混みでは必ず前抱え
  3. 貴重品は内ポケット・前ポケットに分散 — リュック背面、上着の外ポケット、ズボンの後ろポケットは使わない
  4. 財布を出すのは必要なときだけ — 路上で財布を開く回数を最小化する。決済はカード or QRコード中心に
  5. ホテル室内の作業中は貴重品を持ち歩く — 害虫駆除・清掃・メンテ中に室内に置き去りにしない
  6. カフェ・フードコート・空港で荷物を床/椅子背もたれに置かない — 膝の上、または斜めがけのまま
  7. 公園・開放空間では荷物を身体から離さない — ベンチ横ではなく太ももの上
  8. 機内では現金・パスポートを頭上収納棚に入れない — 座席足元の自分のバッグに
  9. ゲストハウス周辺・狭い路地は警戒 — 外務省が明示する「犯罪多発エリア」は出発前に把握しておく

これらの対策を道具で確実にやるなら、セキュリティポーチ・盗難防止リュック・スキミング防止ケースの3点セットが1万円以下で揃います。選び方とおすすめはスリ対策グッズ比較にまとめています。

「被害者」だけでなく「加害者」にされるリスク

スリ被害とは別の角度ですが、外務省は広域情報(2025C003)で、「闇バイト」に応募した日本人が、東南アジアを中心とした海外で特殊詐欺の「かけ子」「受け子」として加担させられ、現地警察に拘束される事案が継続発生していると注意喚起しています。安全の手引きも次のように明示しています。

近年、東南アジアを中心とする海外において、「短期間で多額の報酬を得られる」といった、いわゆる闇バイトの謳い文句に誘われ、犯罪組織等にいわゆる「かけ子」として海外で特殊詐欺に加担させられるケースや意図せず違法薬物(大麻等)の運び屋として犯罪に加担した結果、現地警察に拘束される事案が多く発生しています。

「知らなかった」「聞いていた内容と違った」という事情は一切考慮されず、現地で逮捕され処罰されます。運び屋の手口と逮捕事例はタイの薬物トラブルで詳しく扱っています。SNS経由の高額求人には絶対に応募しないでください。

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もし被害に遭ったら

初動の順番を決めておくことが被害額を決めます。カード凍結 → 警察届出 → 現金復旧の3ステップの詳細は 海外で財布・カードを盗られた時にまずやる3ステップ で整理しているので、旅行前に目を通しておいてください。

  1. 警察(191)または観光警察(1155)に届け出る — 観光警察は英語対応可
  2. 盗難証明書(Police Report)を必ず受け取る — 海外旅行保険の請求に必須
  3. クレジットカード会社に即連絡 — カード停止を最優先
  4. 旅券(パスポート)が盗難された場合 — 安全の手引きによれば2025年だけで353件が紛失・盗難。在タイ日本国大使館領事部(02-207-8502 または 02-696-3002)に連絡
  5. 海外旅行保険の事故受付窓口に連絡 — 損害品の請求手続きを進める

携行品損害は、加入している海外旅行保険でカバーできるケースが多いトラブルです。損保ジャパンの実績ではバンコクのスーツケース盗難で30万円、空港の置き引きで14万円が支払われており、クレジットカード付帯保険+ネット保険を組み合わせておくことで、実際に保険金が支払われる事例があります。

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バンコクの他のトラブル情報

スリ・置き引き以外のトラブル手口と安全対策は、バンコクの治安・危険エリア情報からまとめて確認できます。

タイ全体の法律・マナー(不敬罪・薬物規制・電子タバコ禁止など)は、タイの治安・法律・マナーでまとめています。

バイクひったくりは東南アジア全体で多発していて、クアラルンプールのスリ・ひったくりでも同様の手口が報告されています。

よくある質問

バンコクでスリ被害が一番多いのはどんな場所?

観光スポット・繁華街・デパート周辺・若い単独旅行者が利用するゲストハウス周辺・狭い路地で被害が多発しています。特に風俗店や飲食店の多い繁華街では、子どもや女性が抱きついてくる「抱きつきスリ」が典型。市場やBTS/MRT車内では、鋭利な刃物でバッグを切られたりチャックを開けられる手口も大使館の「安全の手引き」に載っています。

「お札を見せて」と声をかけられたらどうすればいい?

財布を開かず、その場を離れるのが正解です。2025年も「外国人男性(または男女)からお札を見せてほしいと声をかけられ、やりとりしている間に現金・クレカを抜き取られた」被害が複数件報告されています。親しげに近づいてきた時点で罠にかかっている、くらいに考えてください。

バンコクでスリに遭ったらまず何をすればいい?

警察(191)または観光警察(1155、英語可)に届け出て、盗難証明書を必ず受け取ってください。海外旅行保険の請求に必須です。クレジットカードはカード会社に即連絡して停止。パスポートを盗られた場合は在タイ日本国大使館領事部(02-207-8502/02-696-3002)に連絡します。2025年は旅券の盗難86件・紛失267件で合計353件が失われています。

バンコクのBTS・MRTでバッグの持ち方はどうすればいい?

混雑した場所ではバッグを身体の前に持ち、財布や貴重品はズボンの後ろポケットやバッグのすぐ取り出せるところに入れないと安全の手引きに書かれています。背中側にリュックを回したまま電車に乗ると、刃物で切られても気づけません。乗る前に前抱えに直すのが鉄則です。

ホテルの部屋に貴重品を置いたままで大丈夫?

大使館の事例では、バンコクのホテル宿泊中に害虫駆除を頼み、作業中に室外へ出された隙にクローゼットの財布から日本円が抜かれた被害が記録されています。ホテル関係者であっても、作業中は貴重品を室内に残さない・セーフティボックスに入れる・持ち歩くのどれかが鉄則です。

出典

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