Kaigai Risk
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チェンマイの医療 マラリア低リスクと国境森林の別世界【2026】

チェンマイの医療・感染症の手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.10 KAIGAI-RISK

チェンマイは外務省「世界の医療事情」がマラリア低リスク都市として名指ししてる珍しい観光地です。ただし、ミャンマー国境の森林地帯は別扱いで、予防内服が推奨される地域になってます。つまり「市街観光だけ」と「北部森林トレッキング」で予防策がガラッと変わるタイプ。

ここではチェンマイ名指しのマラリア情報と主要病院4施設を軸に、タイ全土共通の蚊媒介感染症・結核・狂犬病・医療費の実態を整理します。

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チェンマイはマラリア低リスク都市(外務省名指し)

マラリアのリスク分布について、外務省はチェンマイを名指しで扱っています。

バンコク・チェンマイ・パタヤ等の都市部で感染する可能性はほとんどありません。感染の危険が残っているのは深南部を含む国境に接する県の郊外・森林地帯とされています。WHOやCDC(米国疾患予防管理センター)はカンボジアおよびミャンマーとの国境付近へ渡航する際は抗マラリア薬の予防内服を推奨しています。

つまり、

  • チェンマイ市内に滞在するだけなら、マラリアのリスクはほとんどない
  • ただし、ミャンマーとの国境付近の森林地帯へ行く場合は抗マラリア薬の予防内服がWHO・CDCから推奨されている

チェンマイを起点にした国境地帯へのトレッキング、少数民族ツアー、北部森林地帯の訪問を計画してる場合は、出発前に渡航外来で相談しておこう。マラリアは蚊媒介感染症の中でも重症化リスクが高いので、「都市部では低リスク/森林地帯は別」の二段構えで準備するのが正解。

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チェンマイでトレッキングツアーに参加する前に渡航外来を受診しました。外務省の世界の医療事情では「バンコク・チェンマイ・パタヤ等の都市部ではマラリア感染可能性はほとんどない」と明示されている一方、「ミャンマーとの国境付近へ渡航する際はWHO・CDCが抗マラリア薬の予防内服を推奨」とも書かれていました。市街地観光だけなら不要でも、国境の森林に入る日程があるなら事前相談が必要でした。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 世界の医療事情「タイ」

蚊媒介感染症(チェンマイでも発生しうる)

マラリアは低リスクでも、デング熱・チクングニア熱・日本脳炎・ジカ熱はタイ全土で発生する蚊媒介感染症で、チェンマイも例外じゃありません。外務省「世界の医療事情」の記述を一つずつ見ていきます。

デング熱

突然の高熱で発症し、頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹等の症状を呈します。アセトアミノフェン以外の解熱剤は症状を悪化させるおそれがあるので、自己判断せず、病院を受診して適切な治療を受けてください。多くの場合1週間ほどで回復しますが、出血やショック症状などを伴う重症型デング熱に進展することがあります。

イブプロフェンなどの市販解熱剤で症状が悪化するのが一番重要なポイント。高熱が出たら自己判断せず病院へと覚えておこう。

チクングニア熱

死亡することは稀ですが、激しい痛みが数か月にわたって続き日常生活が困難になる場合があります。

日本脳炎

重症化し、死亡することもあります。予防接種が有効です。

ジカ熱

妊婦が感染すると胎児に小頭症などの異常が発生する確率が高くなるので注意が必要です。

妊娠中または妊娠予定の女性は、渡航そのものを再考する必要があります。

食中毒・経口感染症

外務省はこう書いてます。

不衛生な食品や氷・飲料、食器を介して、細菌やその毒素・ウイルス・寄生虫が体内に入ることで発症します。食べ慣れていない食材や疲労により発病しやすくなることもあります。外食は衛生管理の行き届いた店を選ぶことが必要です。

A型肝炎・腸チフス

A型肝炎はウイルスによる経口感染症で、汚染された水や食品の摂取により感染し、約1から2か月の潜伏期間のあとに発熱、食欲不振、吐き気などの急性肝炎の症状を発症します。 腸チフスはチフス菌による経口感染症で…重篤化するケースが多いので病院での治療が必要です。 いずれも十分に加熱処理(調理)することで殺菌可能で、また予防接種があり感染予防効果が望めます

チェンマイの旧市街周辺には屋台・ローカル食堂が多く、疲労時の屋台利用はリスクが上がります。

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結核(タイは高蔓延国)

意外と知られてないけど、タイは結核の高蔓延国です。

タイは世界中で人口あたりの患者数が最も多い高蔓延国20か国のリストに入っており、タイ保健省の発表では2023年に6万9150例の新規または再発結核患者が発生したと推計され、WHOの統計では2023年の罹患率は10万人あたり157人でした。

長期滞在者・ビジネス渡航者は特に注意が必要です。

狂犬病

狂犬病について外務省はかなり具体的に警告してます。

2019年から2022年の間、毎年3から4名の狂犬病による死者が確認されています。イヌ・ネコ(子犬、子猫含む)、ウシ、ほか様々な動物から感染する可能性があります。ペットも含めて動物にはむやみに近寄らず、万が一噛まれたり、傷をなめられたりした場合には、すぐに石けんと水で洗い、速やかに病院を受診して下さい。事前にワクチンを接種している場合でも受診して追加接種が必要です。

狂犬病は発症後の致死率がほぼ100%。チェンマイ市内の寺院や旧市街周辺では野良犬・野良猫をよく見かけるので、「子犬/子猫含む」「なめられただけでも受診対象」は知っておこう。

インフルエンザ・レプトスピラ症・その他

インフルエンザ

1年中患者が発生し、6月から10月に多い傾向がありますが、邦人社会では9から10月と1から2月に流行することが多いようです。

日本の流行シーズンと異なる点に注意が必要です。

レプトスピラ症

げっ歯類をはじめとする多くの野生動物や家畜、ペットから、もしくは動物の尿に排泄されたレプトスピラ菌で汚染された水や土壌から皮膚の傷などを通して感染します。洪水の際に土壌や水などからの集団感染が起きており、素足やサンダル履きで歩くことで感染の危険性が増します

推奨される予防接種

外務省は成人赴任者向けに次を推奨しています。

A型肝炎、B型肝炎、破傷風、腸チフス、狂犬病、日本脳炎。黄熱汚染国から入国(9時間以上のトランジットを含む)する時にイエローカード(黄熱予防接種証明書)の提示を求められます。

短期観光であっても、A型肝炎・破傷風・狂犬病は検討に値します。北部国境地帯のトレッキングを予定している場合は、出発前に渡航外来を受診してください。

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熱中症・紫外線・吸血昆虫

外務省は基本の健康管理として次の点を挙げています。

気温、湿度が高いため熱中症に注意してください。運動時は水分・塩分を十分補給してください。 強い紫外線を長期に浴び続けると皮膚がんや白内障の原因になります。 海岸や山にはブヨ、ヌカカといった吸血昆虫が生息していますので注意してください。

チェンマイ周辺の山岳地帯・トレッキングコースではブヨ・ヌカカ対策も必要です。

医療費の実態 — 私立病院は全て自由診療

タイの医療費で一番重要な一文がこれです。

私立病院は全て自由診療で、診察料・治療費・入院費・手術費用等が高額になることが多く、保証金が必要となることもあるので、海外旅行傷害保険に加入し、事前に費用を確認し、または保険が適用されるか確認することをお勧めします。

チェンマイの主要私立病院は日本語対応窓口を備えていますが、そのサービスはすべて自己負担 or 保険会社負担です。

チェンマイの主要日本語対応病院(外務省「世界の医療事情」より)

病院名床数日本語窓口・所在地備考
Chiang Mai Ram Hospital350床TEL 052-004-699/8 Boonruangrit Road Sripoom Muang Chiang Mai診察8〜20時、救急24時間。歯科含む全領域。日本語通訳は毎日8〜17時(緊急時は時間外も対応)
Bangkok Hospital Chiang Mai80床TEL 052-08-9888(代表)/88/8 Moo.6 Tumbol Nong Pa Khrang Amphur Muang Chiang Maiバンコクホスピタルグループの系列
Lanna Hospital180床TEL 052-134-777/1 Sukkasem Road T.Paton Muang Chiang MaiICU・CT・血液透析室あり。ほとんどの医師は英語を話し日本人通訳がいる
Rajavej Chiangmai HospitalTEL 052-011-999、内線777(日本語)/316/1 Chiangmai-Lamphun Road日本語通訳対応

空港内にも応急処置のための施設があります。

  • チェンマイ空港 First Aid Room:1st Floor Domestic Terminal。TEL 053-922-000 内線2222。診療8〜17時(17〜8時は看護師のみ)

タイで発生している高額医療費事例(参考)

保険会社の公開データ(ジェイアイ傷害火災・損保ジャパン)によれば、タイで発生した邦人の高額医療費事例には以下があります(発生地は明示されていないためタイ全体の参考値)。

  • オートバイにはねられ搬送。頭蓋骨骨折・硬膜外血腫・鎖骨骨折と診断され28日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師付き添い医療搬送。支払保険金 939万円
  • 大動脈解離と診断され10日間入院・手術。家族が駆けつける。医師・看護師付き添い医療搬送。796万円
  • スピードボートで腰を強打し救急車で搬送。腰椎圧迫骨折と診断され7日間入院・手術。672万円
  • 脳梗塞と診断され6日間入院。医師・看護師付き添い医療搬送。401万円

「家族が駆けつける」「医師・看護師付き添いの医療搬送」という文言が複数事例に登場しており、重症化した場合は医療搬送費だけで数百万円になる構造が分かります。

これだけの金額になると、クレカ付帯保険だけでは補償額が足りないケースが多い。タイ渡航前の保険の選び方は東南アジア海外旅行保険ガイドでまとめています。

健康リスク早見表

疾患・リスク感染経路・発生場面発症・被害の特徴主な対策
デング熱蚊(昼間活動性)高熱・関節痛・重症型は出血性虫除け・長袖。イブプロフェン禁止
日本脳炎重症化で死亡例予防接種
ジカ熱妊婦感染で胎児に異常妊娠中・妊娠予定者は流行地回避
マラリア蚊(国境森林地帯)チェンマイ市内は低リスク/ミャンマー国境は別国境付近は予防内服(WHO/CDC推奨)
A型肝炎・腸チフス経口(水・食品)急性肝炎・重篤化加熱食・予防接種
食中毒屋台・氷・生野菜下痢・嘔吐衛生管理の店を選ぶ
結核飛沫・密閉空間咳・微熱・長期治療高蔓延国の認識、長期滞在は検査
狂犬病動物咬傷・なめ発症でほぼ100%致死動物に近寄らない、噛まれたら即受診
レプトスピラ症洪水の水・土壌高熱・黄疸冠水時にサンダル歩き禁止
インフルエンザ飛沫9-10月・1-2月に流行マスク・手洗い
熱中症屋外活動脱水・意識障害水分・塩分補給、休養
ブヨ・ヌカカ山岳地帯皮膚症状長袖・虫除け

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予防策

  1. 出発前に渡航外来を受診 — A型肝炎・破傷風・狂犬病・日本脳炎の予防接種を検討。北部国境地帯(ミャンマー側森林)でのトレッキング予定があればマラリア予防内服も相談
  2. 虫除け対策を徹底 — デング熱・日本脳炎・ジカ熱はすべて蚊媒介。DEET配合の虫除けと長袖
  3. イブプロフェン系の解熱剤を自己判断で使わない — デング熱の場合、症状を悪化させる。高熱時は病院受診
  4. 動物には一切近寄らない — 子犬・子猫含む。なめられるだけでも受診対象。旧市街の寺院周辺は特に注意
  5. 食事は衛生管理の行き届いた店を選ぶ — 屋台・ローカル食堂は疲労時に避ける
  6. 氷入りドリンク・生野菜・生魚介を避ける
  7. 妊婦または妊娠予定者はジカ熱流行地域を回避 — 出発前に外務省情報を確認
  8. 冠水した道路をサンダルで歩かない — レプトスピラ症対策
  9. 日本語対応病院の連絡先を出発前に保存 — 上記の主要4病院を携帯のメモに控えておく
  10. 海外旅行保険に必ず加入 — 私立病院は数百万円規模になり得る

体調不良時の対応

  1. 発熱・下痢等の症状が出たら自己判断で薬を飲まない — デング熱時のイブプロフェンは危険
  2. 日本語対応病院の窓口に連絡 — 営業時間内なら日本語で相談可能
  3. 海外旅行保険の事故受付窓口にも連絡 — キャッシュレス診療が使える病院の案内を受ける
  4. 動物に噛まれた・なめられた場合は症状が無くても即受診 — 狂犬病は発症後ほぼ100%致死
  5. 重症と判断される場合は在チェンマイ日本国総領事館に連絡 — 052-012-500。管轄9県で邦人援護を担当
  6. 帰国後も症状が残る場合は渡航医学外来を受診 — 潜伏期間の長い感染症(A型肝炎・結核)に備える

海外旅行保険の重要性

タイの私立病院は全て自由診療で、診察料・治療費・入院費・手術費用が高額になります。上記の939万円・796万円・672万円といった事例は、すべて海外旅行保険で支払われたからこそ家族の破産を免れたケースです。クレジットカード付帯保険だけでは補償額が不足する可能性があり、ネット型の海外旅行保険との組み合わせが推奨されます。チェンマイでの長期滞在・北部トレッキングを含む旅程なら、補償の厚みを出発前に確認しておこう。

また、現地で日本の保険会社連絡先を調べるためにもデータ通信は必要です。チェンマイでSIMなしだと空港到着直後が一番困る。eSIM比較では主要プランを料金・エリア別に整理しています。

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チェンマイの他のトラブル情報

感染症・医療以外のトラブル情報(旧市街を中心とした犯罪・カラオケ店ぼったくり・一方通行の交通事情・総領事館管轄エリアなど)は、チェンマイの治安と旧市街の注意点からまとめて確認できます。

タイ全体の法律・マナー(不敬罪・薬物規制・電子タバコ禁止など)は、タイの治安・法律・マナーでまとめています。

よくある質問

チェンマイでマラリアの予防内服は必要?

市街地観光だけならほぼ不要です。外務省「世界の医療事情」は「バンコク・チェンマイ・パタヤ等の都市部で感染する可能性はほとんどありません」と名指ししています。ただし「カンボジアおよびミャンマーとの国境付近へ渡航する際はWHO/CDCが抗マラリア薬の予防内服を推奨」と書かれていて、ミャンマー国境付近の森林地帯でトレッキングや少数民族ツアーを予定しているなら、出発前に渡航外来で相談してください。

チェンマイで熱が出たら?

自己判断でイブプロフェン系の解熱剤を使わないでください。外務省はデング熱について「アセトアミノフェン以外の解熱剤は症状を悪化させるおそれがあるので、自己判断せず病院を受診して適切な治療を受けてください」と明記しています。チェンマイでも蚊媒介感染症は発生します。高熱が出たら日本語対応の主要病院へ。

チェンマイで日本語が通じる病院はどこ?

代表的なのはChiang Mai Ram Hospital(052-004-699、350床、日本語通訳は毎日8〜17時)、Bangkok Hospital Chiang Mai(052-08-9888)、Lanna Hospital(052-134-777、ICU・CT・血液透析あり)、Rajavej Chiangmai Hospital(052-011-999 内線777で日本語対応)の4つ。救急24時間対応のChiang Mai Ramが最初の候補です。チェンマイ空港にはFirst Aid Room(053-922-000 内線2222)もあります。

旧市街で野良犬に噛まれたらどうすればいい?

すぐ病院へ行ってください。狂犬病は発症後の致死率がほぼ100%で、タイでは2019〜2022年で毎年3〜4名の死者が確認されています。外務省は「イヌ・ネコ(子犬・子猫含む)から感染する可能性があります。噛まれたり傷をなめられたりした場合は、石けんと水で洗って速やかに病院を受診してください。事前にワクチンを接種していても追加接種が必要」と書いています。旧市街の寺院周辺は特に注意。

重症のとき、チェンマイから誰に連絡すればいい?

チェンマイは在チェンマイ日本国総領事館の管轄です。052-012-500 に連絡。管轄9県(チェンマイ、チェンライ、ランプーン、メーホンソーン、ランパーン、ナーン、パヤオ、プレー、ウタラディット)で邦人援護を担当しています。あわせて海外旅行保険の事故受付窓口に連絡すると、キャッシュレス診療が使える病院を案内してもらえます。

出典