ブリュッセルは在ベルギー日本国大使館が「ベルギー国内での日本人の犯罪被害の9割がブリュッセル首都圏で発生」と明記している都市。EU本部・NATO本部・ヨーロッパ議会のある「ヨーロッパの首都」だけど、治安は決して良くない。南駅と北駅は大使館が2023年から複数回「治安悪化」として注意喚起を出している区間で、2016年には国際空港と地下鉄でISILによる連続テロが発生して日本人も負傷しました。「観光地だから安心」という発想は捨てて行くべき街です。ベルギー全体の犯罪傾向と法律も合わせて確認しておこう。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険エリア --- 南駅・北駅・グランプラス周辺
外務省と大使館が名指しで挙げているスリ・置き引きの多発エリアはこんな並びです。
- ブリュッセル南駅(Gare de Bruxelles-Midi / Brussels-Zuid):Thalys・Eurostar・ICEの発着駅。「一般的に治安の悪い地域として知られており、夜間には人通りが少なくなるため、犯罪に巻き込まれやすい」(大使館 安全の手引き)
- ブリュッセル北駅(Gare de Nord / Brussels Noord):南駅と並ぶ要注意駅。周辺の治安が悪い
- 電車・バス・メトロ車内:乗降時のスリ、車内置き引き
- グランプラス(Grand Place)周辺:観光中心地。「人通りの多いグランプラス周辺やルイーズ周辺においてもスリ・置き引き事件が多発」(大使館)
- ルイーズ(Louise)周辺:高級ショッピング街だがスリ多発
- 空港:2026年1月の月次被害事例で「空港内で、かばんを置いていたところ、何者かに窃取された置引事案」が発生
南駅は深夜・早朝の到着を避けるのが鉄則。「特に駅建物から市内中心等へ向かう場合は、極力徒歩を避け、タクシーか地下鉄等の公共交通機関の利用を心掛けて」と手引きが書いています。
月次の邦人被害事例 --- 2025年11月〜2026年3月の実例
大使館が毎月公開している「邦人被害事例」PDFから、最近5か月分を整理しました。届出ベースなので氷山の一角ですが、起きやすいパターンが見えてきます。
| 月 | 件数 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 2025年11月 | 1件 | 駅停車中の車内で、窓を叩く男に気を取られている隙にスーツケース盗難 |
| 2025年12月 | 3件 | 電車網棚の鞄盗難、座席置きの鞄盗難(旅券含む)、駐車中車内の貴重品盗難 |
| 2026年1月 | 2件 | 空港内の置引、携帯・財布・カメラを2人組に強奪される強盗 |
| 2026年2月 | 0件 | --- |
| 2026年3月 | 2件 | ブリュッセル市内レストランで鞄盗難、レストランでポーチ盗難(旅券・カード類) |
特徴的なのは電車内の網棚・座席置き引きとレストランでの鞄盗難が常連であること。網棚は「一瞬の隙に持ち去られることが多い」(大使館手引き)と明記されているレベルです。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ベルギー日本国大使館「2026年3月中の邦人被害事例」)
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
スリの定番7パターン
外務省の安全対策基礎データに、ブリュッセルでよく使われるスリの「気をそらす手口」が明記されています。
- 背中にアイスクリームやペンキを付ける:「親切を装って」拭くフリで気をそらす(領事メルマガでも「ペンキ等を使用したスリ事件」として2024年3月に注意喚起)
- 荷物の乗せ降ろしを「手伝う」:トランクを電車に乗せたり下ろしたりするフリ
- 日本語で話しかける:観光客特化。ベルギーで日本語で声をかけてくる見知らぬ人は警戒対象
- 小銭をバラ撒く:拾うのを手伝わせている間に共犯者が盗む
- プラットホームから車内に話しかける:窓越しに気をそらす(2025年11月に再現された手口)
- 両替してほしい:財布の中を見せてくれと頼む
- ドアが閉まる瞬間にスマホひったくり:ドア付近でスマホを操作中、ホーム側から手を伸ばす
詳しい手口と対策はブリュッセルのスリ・置き引き対策で解説しています。
私服警官詐欺 --- ベルギー特有の手口
ブリュッセルで頻発する詐欺手口の代表格。ヨーロッパ各国でも横行している手口だけど、ベルギーではクレジットカードの暗証番号まで聞き出されるのが特徴です。
私服警察を名乗る者が荷物検査をし、クレジットカードの暗証番号を聞き出した上で、クレジットカードを盗んだり、後で返却するなどと言いつつ、クレジットカードで立て替え払いを頼み、多額の現金を引き出させる。
外務省の安全対策基礎データにある一文。本物の警察官が路上で財布の中身やクレジットカードの暗証番号を聞くことは絶対にありません。「警察手帳らしきもの」を見せられても、こちらから身分証の提示を求めるのが正解。怪しいと思ったら警察(101)に電話するか、周りに助けを求める。
2022年2月にはブリュッセル空港でもクレジットカード詐欺が発生していて、空港でも警戒が必要です。詳しい手口はブリュッセルの詐欺・ぼったくりへ。
夜間の銃撃事件 --- 通行人巻き込み事例も
2023年9月ころから、ブリュッセルでは、特に夜間、深夜、早朝の時間帯に銃撃事件が発生しており、通行人が巻き込まれる事例も発生しています。
外務省の基礎データに書かれている注意点。麻薬取引絡みの発砲がアンデルレヒト区・モレンベーク区・スハールベーク区などの特定地区で発生していて、領事メルマガで複数回注意喚起が出ています。観光客が夜にこれらの地区へ立ち入る理由はあまりないけれど、安宿の所在地は地区名で確認してから予約するのが安全です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
2016年連続テロの現場 --- 国際空港と地下鉄
ブリュッセルは2016年3月22日、国際空港の出発ホールで2回、地下鉄マールベーク駅で1回の連続爆発が発生し、数十名の死者と約300名の負傷者を出した街です。日本人も負傷しています。ISILが犯行声明を出しました。
その後も:
- 2017年6月:ブリュッセル中央駅で爆発テロ未遂
- 2024年2月:ブリュッセル中心部で連続発砲事件と刃物襲撃事件
- 2025年7月:ブリュッセル市内中心部で爆破予告
現在ベルギー全土のテロ脅威度は4段階中の3段階目。観光地・駅・空港・宗教施設は標的になりうる場所として意識しておきましょう。
デモ・ストライキ --- EU本部の影響
ブリュッセルはEU本部所在地のため、農民デモ・労働組合デモ・気候変動デモなどが頻繁に発生します。ストライキで地下鉄や空港が止まる日も少なくありません。渡航直前に大使館の領事メルマガをチェックしておくと、滞在中のデモ・ストライキ情報が事前に得られます。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
街歩きのコツ --- 「日本ほど安全じゃない」を前提に
- バッグは体の前。リュックは前掛け、ショルダーは斜めがけでファスナー側を体に
- レストランでは膝の上か視界内に荷物。椅子の背もたれや足元放置はNG
- 電車の網棚に貴重品を置かない。手元に持つ
- 「日本語で話しかけてくる人」「コートが汚れていますよ」は無視
- 南駅・北駅では深夜・早朝の徒歩移動は避ける。タクシーか地下鉄を使う
- クレジットカードの暗証番号は誰にも教えない
緊急時の連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察 | 101 |
| EU共通緊急 | 112 |
| 時間外医療相談(週末祝日) | 1733 |
| SOS Médecin(24時間 仏語圏) | 02-513-0202 |
| 在ベルギー日本国大使館 | +32-2-513-2340 |
| 領事部 | +32-2-500-0580 |
仏蘭2公用語のため、緊急時の単語は両方知っておくと心強いです。「泥棒」は仏語で(Au) Voleur、蘭語でDief。「助けて」はAu secours / Help。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
海外旅行保険の備え
ベルギーには保険会社の独立した支払事例ページがありませんが、同地域のフランス事例ではバスの段差で転倒して大腿骨頚部骨折→1,746万円、ドイツでもホテル浴室の転倒で橈骨動脈断裂→639万円という事例があります。クレカ付帯保険では全く足りません。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。
この都市のトラブル別ガイド
読者の体験談を投稿する
あなたが現地で体験したこと・気をつけていることを共有してください。承認後に表示されます。