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ブリュッセルのスリ 南駅の窓叩きと電車網棚盗【2026】

ブリュッセルのスリ・置き引きの手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.25 KAIGAI-RISK

ブリュッセルでのスリ・置き引きは「日本人が遭う犯罪のほぼ全部」と言っていいレベルです。在ベルギー日本国大使館の手引きには「当館への届け出では、スリ、置き引きが被害の大部分を占めており、凶悪犯罪に遭う邦人は少数」と書かれています。被害の9割がブリュッセル首都圏に集中していて、ブルージュ・アントワープなど他の観光地でも発生。ベルギーのスリは単独犯ではなくグループによる役割分担が基本で、1人が声をかけて気をそらしている間に別の1人が盗むのが定番です。

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多発エリア --- 南駅・北駅・グランプラス・電車内

外務省の安全対策基礎データが具体的に名指ししている場所はこんな並びです。

  • ブリュッセル南駅(Gare du Midi / Brussels-Zuid):Thalys・Eurostar・ICEの発着駅
  • ブリュッセル北駅(Gare du Nord / Brussels Noord)
  • 電車・バス・メトロの車内:乗降時の混雑を狙う
  • グランプラス周辺のホテル・レストラン
  • ルイーズ周辺:高級ショッピング街でも多発

南駅と北駅は「治安の悪い駅」として大使館手引きが具体名で名指ししているレベルで、2023年8月以降「治安悪化」「観光客を狙った強盗」「路上強盗」と複数回の注意喚起が継続しています。

月次の邦人被害事例 --- 2025年11月〜2026年3月

大使館の月次「邦人被害事例」PDFから、最近5か月のスリ・置き引き関連を抜粋します。届出ベースなので氷山の一角ですが、起きやすいパターンが見えます。

場所内容
2025年11月駅停車中の車内座席に置いた小型スーツケース、窓を叩く男に気を取られている隙に盗難
2025年12月電車内網棚に置いた鞄を盗難
2025年12月電車内座席に置いた鞄から旅券等を盗難
2025年12月駐車場駐車中の車内に置いていた貴重品を盗難
2026年1月空港内置いていたかばんを盗難(置引)
2026年1月路上携帯・財布・カメラを2人組の男に強奪(強盗)
2026年3月レストラン鞄から目を離した間に盗難(旅券・財布入り)
2026年3月レストランポーチを盗難(旅券・カード類入り)

特徴:電車内の網棚・座席置き、レストランの足元・椅子置き、駐車中の車内放置が常連の被害パターンです。

TESTIMONY · 旅行者A
電車で空港に向かう途中、停車中に窓の外から男が窓を叩いてきて、気を取られた隙にスーツケースを盗まれていました。声を上げる前に犯人は逃げていました。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ベルギー日本国大使館「2025年11月中の邦人被害事例」

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スリの「気をそらす手口」7パターン

外務省の安全対策基礎データに、ブリュッセルでよく使われるスリの手口が7つ列挙されています。グループで動いて1人が声をかけ、別の1人が盗むのが基本構造です。

1. アイスクリーム・ペンキ汚し

背中に故意にアイスクリームなどを付けた後、親切を装って被害者の上着の汚れを拭うのを手伝う。

すれ違いざまに服にアイスクリームやペンキ、ケチャップなどを付ける。「汚れてますよ」と心配する役が近寄って拭いてくれている間に、別の共犯が財布を盗む。「コートが汚れている」と声をかけられたら立ち止まらずに無視するのが正解です。領事メルマガでも2024年3月に「ペンキ等を使用したスリ事件の発生」として注意喚起が出ています。

2. 荷物の乗せ降ろしを「手伝う」

トランクなどの荷物を電車に乗せたり、下ろしたりするのを手伝う。

スーツケースの乗せ降ろしを「手伝う」と言って近づいてくる。荷物を持ってくれている間に、別の荷物が消える。自分の荷物は自分で持つ。「親切」を装う見知らぬ人を近づけない。

3. 日本語で話しかける

これが観光客特化の手口。見知らぬ現地人が日本語で話しかけてきたら、まず警戒。本物の親切な人は、英語で話しかけて済ませます。

4. 小銭をバラ撒く

目の前で複数の小銭をバラ撒き、拾ってあげようとする親切心につけ込む。

目の前で財布や小銭をバラ撒いて、拾うのを手伝わせる。あなたが屈んで拾っている間に、置いた荷物や背後の財布が消えます。他人がバラ撒いたものを拾ってあげない

5. プラットホームから車内に話しかける

プラットホームから電車内に向かって窓越しに何事か話しかける。

車内に座っている間、窓越しに話しかけられて気を取られた隙に、車内の別の共犯(または2025年11月実例のように外から窓を叩いて気を逸らした隙に車内の荷物)が盗まれる。窓越しに話しかけられても無視する

6. 両替してほしい

両替をしてほしいと財布の中を見ようとする。

「お札を崩したい」と言われて財布を出すと、紙幣を抜かれる、または財布ごと持ち去られる。路上で両替を頼まれても応じない

7. ドアが閉まる瞬間にスマホひったくり

電車内の扉付近でスマートフォンを操作していたところ、扉が閉まる瞬間にホーム側から手を伸ばしスマートフォンをひったくる。

ドア付近に立ってスマホを使っていると、ホーム側から手が伸びてスマホをひったくる。犯人はそのままホームに残るので、追いかけられない。ドア付近でのスマホ操作は避ける

ホテル・レストランでの置き引き

外務省と大使館が挙げている定番パターン:

  • ホテル朝食ビュッフェ:席にバッグを置いて料理を取りに行った数分の間に消える。「場所取り」のために置いた鞄が標的
  • ホテルフロント:チェックアウトの混雑時、団体観光のバス発着時、荷物から目を離した隙に盗難
  • レストラン:「スマートフォンを操作する等鞄から目を離した隙に足下に置いた鞄を持ち去る」(外務省)。椅子の背もたれにかけた上着のポケットも狙われる

2026年3月の月次事例では、ブリュッセル市内のレストランで2件連続でレストラン置き引きが報告されています。レストランでは鞄を膝の上か視界に入る位置に。椅子にかけたり足元放置は危険です。

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駐車中の車上荒らし

外務省は車上狙いも具体的に列挙しています。

  • 信号待ちで助手席のドアを開けられて中身を持ち去る
  • 駐車中の窓ガラスを割って、車内放置のカバンを盗む
  • 駐車場で、貴重品を隠す動作を見られて、車から離れた隙にトランクをこじ開けられる
  • パンクしている、と話しかけて「親切に」タイヤ交換を手伝うフリで共犯が車内のカバンを持ち去る

駐車した車から離れるときは、座席等の外から見える場所に物を放置しない(窓ガラスを割られ、中の物を盗まれることがある)。

外務省の対策が明示している通り、車内に荷物を見える状態で放置しない。乗車後はすぐにドアロックする。

街歩きの基本対策

  1. バッグは体の前:リュックは前掛けに、ショルダーは斜めがけで開口部を体側に。ファスナー付き+フラップ付きのカバンが推奨
  2. 電車内:網棚に貴重品を置かない:手元に持つ。座席にバッグを置きっぱなしも危険
  3. レストラン:鞄は膝の上か視界内:椅子の背もたれや足元はNG
  4. ホテル朝食:荷物から離れない:ビュッフェに料理を取りに行くなら貴重品を身につけたまま
  5. 南駅・北駅:深夜・早朝の徒歩移動を避ける:タクシーか地下鉄を使う
  6. パスポートとカードは分散:1か所にまとめない
  7. 「気をそらす」相手に応じない:日本語の声かけ、汚れの指摘、両替、小銭拾い、すべて無視

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盗まれてしまったら

  1. その場で警察(101)に通報。または最寄りの警察署で盗難届(PV)を出す
  2. クレジットカード会社に連絡:暗証番号を聞き出された場合は最優先
  3. 大使館領事部(+32-2-500-0580)へ連絡:旅券再発行・帰国のための渡航書発給
  4. 保険会社へ連絡:携行品損害の保険金請求には警察の盗難証明(PV)が必要

旅券のコピーを別の場所に保管しておくと再発行手続きが格段に早くなります。出発前に戸籍謄本の原本かマイナポータルの戸籍電子証明書も用意しておくと万全(外務省推奨)。

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ブリュッセル全体のリスクと他都市

ブリュッセルのスリ・置き引きは詐欺・テロと地続きで起きています。私服警官詐欺の手口はブリュッセルの詐欺・ぼったくりで、薬物トラブルはブリュッセルの薬物トラブルで詳しく整理しました。ベルギー全体のテロ情勢や法律はベルギーの治安にまとめています。

似た手口は他のヨーロッパ各国でも横行していて、特にパリアムステルダムロンドンは要警戒です。

よくある質問

ブリュッセルでスリに遭いやすい場所は?

在ベルギー日本国大使館によると、邦人被害の9割がブリュッセル首都圏で発生し、特に南駅・北駅周辺、電車・バス・メトロ車内、グランプラス周辺、ルイーズ周辺、レストラン、ホテル朝食会場で多発しています。最近の月次被害事例では電車内の網棚や座席置きの鞄盗難が常連です。

「日本語で話しかけてくる」のはなぜ警戒するの?

外務省の安全対策基礎データに、ブリュッセルのスリ・置き引きで使われる「気をそらす手口」の1つとして「日本語で話しかける」が明記されています。観光客に親しみを持たせて注意をそらした隙に共犯者が貴重品を盗む手口で、見知らぬ現地人が日本語で話しかけてきたら警戒対象と考えてください。

電車内で気をつけることは?

大使館の手引きは「電車内の網棚や椅子の上に載せたカバン等は、一瞬の隙に持ち去られることが多い」と明記。2025年12月には網棚の鞄盗難と座席置きの鞄盗難が同月に発生しています。網棚に貴重品を置かず、手元に持つのが基本。窓を叩いて気をそらす手口(2025年11月実例)にも注意してください。

出典

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