デンマークの医療制度は日本とかなり違います。住民は税金で賄われるホームドクター制が原則で、緊急時以外は家庭医(GP)の紹介状なしに専門医・病院にかかれない仕組み。観光客は当然ホームドクターを持っていないので、首都圏で病院にかかりたいときは1813に電話するのが入口。さらにデンマークは医薬分業で家庭用医薬品の一部を除き処方箋なしでは薬が買えず、EU外からの医薬品輸入は事前許可制。風邪薬・頭痛薬は日本から持参するのが鉄則です。万が一入院になった場合、北欧の医療費は西欧と同水準で、近隣のフランスでは大腿骨骨折で1,746万円という事例も出ています。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
まず1813 --- 首都圏の緊急医療ハブ
コペンハーゲン首都圏(Region Hovedstaden)で急に体調を崩した観光客が最初に電話する番号は1813(24時間)。
コペンハーゲン市の場合、医師ではなく、看護士が電話を受けます。病状を聞いた上、医師に電話を繋ぎ、又は、緊急病院を指定します。なお、応急措置が必要と判断すれば、救急車を呼んでくれます。
1813は看護師トリアージのシステム。事前電話なしで急患窓口に行っても受け付けてもらえないことがあるので、必ず先に電話を入れてください。英語対応も可能です。
倒れた・大ケガなど明らかな救急事態は112で救急車を呼ぶ。「112か1813か迷ったら112」が観光客の安全策です。
地域別の緊急医療連絡先(首都圏以外)はこう。
| 地域 | 番号 | 対応時間 |
|---|---|---|
| 首都圏(Hovedstaden) | 1813 | 24時間 |
| シェラン(Sjælland) | 7015-0700 | 16:00〜翌8:00 |
| 北ユトランド(Nord Jylland) | 7015-0300 | 16:00〜翌8:00 |
| 南ユトランド(Syd Jylland) | 7011-3131 | 16:00〜翌8:00 |
| 南デンマーク(Syddanmark) | 7011-0707 | 16:00〜翌8:00 |
| Private Doctor(首都圏・有料) | 6075-4070 | 8:00〜24:00 |
首都圏以外は夜間のみ緊急医療が稼働するので、昼間の体調不良は最寄りの病院やホームドクターに直接連絡が原則です。
主要救急病院 --- コペンハーゲン首都圏
大使館がリストアップしている首都圏の救急病院(救急受付番号付き)。
| 病院 | 住所 | 救急TEL |
|---|---|---|
| Rigshospitalet(国立病院) | Blegdamsvej 9, 2100 København Ø | 35 45 35 45 |
| Bispebjerg Hospital | Bispebjerg Bakke 23, 2400 København NV | 35 31 31 72 |
| Frederiksberg Hospital | Nordre Fasanvej 57 - Vej 2, 2000 Frederiksberg | 38 16 35 22 |
| Amager Hospital | Kastrupvej 63, 2300 København S | 32 34 35 02 |
| Hvidovre Hospital | Kettegård Allé 30, 2650 Hvidovre | 36 32 25 57 |
| Gentofte Hospital | Niels Andersens Vej 65, 2900 Hellerup | 39 77 37 65 |
| Nordsjællands Hospital(Hillerød) | Helsevej 2, 3400 Hillerød | 48 29 36 31 |
Rigshospitaletは国立で最大規模、専門治療が必要な場合の搬送先になることが多い病院。コペンハーゲン中心部から北東に位置し、メトロでも行けます。
英語が通じる職員が多いので、症状は「fever(熱)」「stomach pain(腹痛)」「chest pain(胸痛)」「broken(骨折)」など基本英単語で伝えれば対応してもらえます。
ホームドクター制 --- 観光客はこの仕組みを「迂回」する
デンマーク住民はホームドクター(General Practitioner、GP)をあらかじめ選定し、緊急時以外はまず家庭医にかかるのが基本ルール。専門医(産婦人科・眼科・耳鼻咽喉科など)や病院に行くにはホームドクターの紹介状が必要です。
病院は「地域」によって運営されており、専門的な治療、機器、集中治療が必要な患者への医療が施されます。ホームドクターや専門医の紹介がないと病院で診察してもらうことは急患を除いてできません。 緊急の場合には、緊急医療診察科(lægevagten)または病院の緊急部門において診察してもらうことが可能です。
観光客はこの仕組みを「迂回」して、1813経由で緊急医療診察科(lægevagten)または救急病院にかかるのが現実的なフロー。あらかじめ「私は観光客でホームドクターは持っていない」と伝えれば、看護師が適切な窓口を案内してくれます。
英語で医師に診てもらいたい場合、私立の有料サービスPrivate Doctor(6075-4070)が8:00〜24:00対応。ホテルやAirbnbまで往診に来てくれるサービスもあります(料金は高め)。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
医薬分業と薬の持参 --- 日本から持っていくのが正解
デンマークは医薬分業で、家庭用医薬品の一部を除き処方箋がないと薬が買えません。
家庭用医薬品の一部を除き、医薬分業で医師の処方箋がないと薬を買うことはできません。また、処方箋なしに買える薬も、日本人の体質に合わない場合がありますので、風邪薬、頭痛薬、胃腸薬等の常備薬は、日本からある程度持参したほうが安心です。
これは絶対に守った方がいい。日本の薬局で買える市販薬の感覚で「現地でいいや」と思っていると、処方箋取得まで丸1日かかることもあります。
さらにEU外からの医薬品輸入は事前許可制。
デンマーク当局は、「EU以外の国からの医薬品輸入は事前の許可が必要」としています。このため、日本から医薬品を輸入、郵送等する際、事前許可を取得していない場合には、医薬品は届かないことになりますので、あらかじめ、医薬品の入手方法等について、現地の医療機関などに相談することをお薦めします。
「滞在中に薬切れたから家族に郵送してもらう」という発想は通用しないので、渡航時の手荷物に必要量を持参するのが唯一の解。慢性疾患の薬は処方箋を英文化して持っていくと、現地で代替薬を出してもらいやすくなります。
医療用麻薬を含む医薬品(一部の精神科薬・がん疼痛緩和薬など)の携帯持込みには日本側で厚労省の手続きが必要。事前確認が必須です。
24時間営業の薬局
夜間・休日に薬を買いたいときに使える24時間営業の薬局。
| 薬局名 | 住所 | TEL |
|---|---|---|
| Steno Apotek | Vesterbrogade 6 C, København V | 33 14 82 66 |
| Sønderbro Apotek | Amagerbrogade 158, Amager | 32 58 01 40 |
| Glostrup Apotek | Hovedvejen 101, Glostrup | 43 96 00 20 |
| Lyngby Svane Apotek | Lyngby Hovedgade 27, Lyngby | 45 87 00 96 |
Steno Apotekはコペンハーゲン中央駅すぐ近くの24時間営業店。観光客が一番アクセスしやすい場所にあります。
歯科緊急 --- 平日夜と土日祝も対応
緊急歯科(平日 20〜21:30、土日祝 10:00〜14:00、20:00〜21:30) Tandlægevagten Oslo Plads 14, 2100 København Ø Tel. 35 38 26 75
旅行中に歯が痛みだしたとき、平日夜と土日の朝・夜に対応してくれる救急歯科。コペンハーゲン中心部にあります。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
医療費の現実 --- 同地域(西欧)の参考事例
デンマーク独立の保険会社支払事例は限定的ですが、近隣の西欧諸国(フランス・ドイツ)で実際に起きた高額ケースを参考までに紹介します。デンマークは北欧の中でも物価・医療水準が西欧と同等以上で、家族駆けつけ・医療搬送が加わると同レベルの金額になります。
| 内容 | 国 | 金額 |
|---|---|---|
| バス乗車時に段差を踏みはずし大腿骨頚部骨折、医師看護師付添い医療搬送 | フランス | 1,746万円 |
| 腹痛・呼吸困難、腹膜炎・敗血症性ショック、医師付添い医療搬送 | フランス | 1,610万円 |
| 胸の痛み・吐き気、急性心筋梗塞、医師看護師付添い医療搬送 | フランス | 854万円 |
| ホテルバスルームで転倒、大腿骨頚部骨折、看護師付添い医療搬送 | フランス | 860万円 |
| ホテルでふらつき脳内出血、看護師付添い医療搬送 | フランス | 804万円 |
| 駅の改札で転倒、大腿骨頚部骨折、医師付添い医療搬送 | フランス | 614万円 |
| 美術館見学中に転倒、大腿骨転子部骨折 | フランス | 707万円 |
| ホテル浴室で転倒、橈骨神経・橈骨動脈断裂、看護師付添い医療搬送 | ドイツ | 639万円 |
| 発熱・腹痛、憩室炎、看護師付添い医療搬送 | ドイツ | 540万円 |
| 朝食後の胸痛、心筋梗塞、医師付添い医療搬送 | ドイツ | 374万円 |
| 体調不良の後に倒れ脳腫瘍、医師看護師付添い医療搬送 | ドイツ | 388万円 |
| 自転車を起こそうとして膝痛、膝蓋骨脱臼 | ドイツ | 424万円 |
出典: ソニー損保 / SBI損保 海外旅行保険事故データ(ジェイアイ傷害火災データ)。「同地域(西欧)の参考」です。
最高額の1,746万円はバスの段差で転んで大腿骨を折っただけのケース。医師と看護師が日本まで付き添う医療搬送が加わると一気に跳ね上がります。コペンハーゲンは自転車レーンや石畳の道で転倒しやすい街なので、骨折のリスクは決して低くありません。
クレカ付帯保険では足りない
一般的なクレジットカード付帯保険の治療・救援費用上限は200万〜300万円程度。上の表を見れば分かる通り、入院+医療搬送のケースでは余裕で超えます。
- ゴールドカード付帯(治療費200〜300万円): 大腿骨骨折・心筋梗塞・腹膜炎では大幅に不足
- プラチナカード付帯(治療費500〜1,000万円): 軽症なら足りるが、医療搬送が加わると不足の可能性
- 損保の海外旅行保険(無制限プラン): デンマークでは1,000万円超の事例もあるため、無制限がおすすめ
「クレカ付帯があるから保険は不要」という判断はデンマークでは危険。出発前に必ず付帯保険の補償内容を確認し、不足するなら別途海外旅行保険に加入してください。詳しくはヨーロッパの海外旅行保険ガイドへ。
自転車レーンの転倒・接触事故 --- 観光客が遭いやすい
コペンハーゲンは世界一の自転車都市。歩道と車道のあいだに自転車専用レーンがあり、観光客がバスやタクシーから降りた瞬間に自転車レーンに踏み出して接触事故、というパターンが多発しています。
多くの道路では、自転車専用レーンが歩道と車道の間に設けられていることから、バスやタクシーから降車する際には、安全のため、自転車の有無をよく確認する必要があります。
2023年のデンマーク全体の交通人身事故は重傷1,680人、軽症936人、死亡162人(前年+8人)。バスを降りたら一度立ち止まって左右確認が観光客の事故防止の決定打です。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在デンマーク日本国大使館「安全の手引き(デンマーク)」令和6年12月版 自転車レーン横断事故の構造を基に構成)
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
医療フロー早見表
| 状況 | 連絡先 | 対応 |
|---|---|---|
| 倒れた・大ケガ | 112 | 救急車手配 |
| 首都圏で病院に行きたい | 1813(24時間) | 看護師トリアージ→病院指定 |
| 夜間に薬を買いたい | Steno Apotek(中央駅近く) | 24時間営業 |
| 歯が痛い(平日夜・土日祝) | Tandlægevagten 35-38-26-75 | 救急歯科 |
| 英語で医師の往診 | Private Doctor 6075-4070 | 有料・8:00〜24:00 |
| 軽症で相談したい | ホテルのフロント→1813紹介 | 看護師トリアージ |
出発前にやっておくこと
- 海外旅行保険に加入: 治療・救援費用は無制限プランが安心。クレカ付帯では不足
- 常備薬の持参: 風邪薬・頭痛薬・胃腸薬は日本から。EU外からの郵送は許可制
- 処方箋の英文コピー: 慢性疾患の薬を持参するなら英文処方箋もあると現地で代替薬を出してもらいやすい
- 海外保険連絡先のメモ: スマホと紙の両方に
- 緊急番号のメモ: 112、1813、大使館(+45-3311-3344)
- 大使館の場所を把握: Havneholmen 25, 9F, 1561 Copenhagen V
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
やられたらどうする
- 救急なら112、首都圏で病院にかかりたいなら1813
- 保険会社の緊急デスクに連絡 --- キャッシュレス治療の手配や病院紹介を依頼
- 領収書・診断書を必ず保管 --- 帰国後の保険請求に必須
- 重症の場合は大使館(+45-3311-3344)にも連絡 --- 家族への連絡支援、医療搬送調整
- コペンハーゲンの治安とデンマークの国ページに緊急連絡先をまとめています
よくある質問
コペンハーゲンで急に体調を崩したらどこに連絡?
緊急で救急車が必要な場合は112です。それ以外で病院にかかりたい首都圏滞在者は、24時間対応の緊急医療「1813」に電話します。看護師が病状を聞いて、医師に繋ぐか、緊急病院を指定するか、救急車を要請するかを判断します。事前電話なしで急患窓口に行くと受け付けてもらえないことがあります。
観光客でも医療費は無料?
いいえ。デンマークの医療費は住民にとって税金で賄われ無料ですが、観光客は対象外で全額自己負担です。さらに住民も「ホームドクター制」が原則で、緊急時以外はあらかじめ登録した家庭医(GP)の紹介状がないと専門医や病院にかかれません。
デンマークで風邪薬は買える?
家庭用医薬品の一部を除き、医師の処方箋がないと薬は買えません。風邪薬・頭痛薬・胃腸薬の常備薬は日本から持参するのが安心です。EU外からの医薬品輸入は事前許可が必要なので、家族に郵送してもらおうとしても届かないケースがあります。
医療費はどれくらいかかる?
デンマーク独立の事例は限定的ですが、近隣の西欧(フランス・ドイツ)の保険会社支払事例では大腿骨頚部骨折で1,746万円、腹膜炎で1,610万円、心筋梗塞で854万円といった数字が出ています。家族の駆けつけ費用と医療搬送が加わると数百万円〜千数百万円のオーダーです。
クレジットカード付帯保険で足りる?
多くの場合足りません。一般的なクレジットカード付帯の治療・救援費用上限は200万〜300万円程度ですが、デンマーク(北欧)の医療費は西欧と同水準で、入院・医療搬送が必要な事例では数百万円から千万円超になります。出発前に必ず別途海外旅行保険を確認してください。