デンマーク全体の2023年のスリ件数は16,044件で前年比+3.5%。1日40件以上のペースで起きていて、その多くがコペンハーゲン市内です。在デンマーク大使館は2024年5月・2024年12月・2025年7月と、年に2回ペースで「スリ・置き引きにご注意を」のPDF注意喚起を出し続けていて、観光シーズンになるたびに警告が出ている恒常リスク。「北欧だから安全」という油断がいちばん危ないパターンです。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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空港・中央駅・列車 --- 到着の瞬間から狙われる
外務省の被害事例リストは、コペンハーゲン空港の到着フロアから狙われることを具体的に書いています。
○空港に到着した際、ターミナルから駐車場に向かう間、背中側に鞄を掛けていたところ、気がついたらファスナーが開けられ、在中の旅券等を盗まれた。 ○空港で両替中、カートに乗せていた荷物が盗まれた。 ○空港から電車に乗り込もうとした際、見知らぬ男が荷物の載せ込みを手伝ってくれたが、荷物の一つが盗まれていた。
「親切な男が手伝ってくれた」は典型的な誘導手口。空港で手伝いを申し出てくる外国人男性は警戒した方がいい。空港のカートにバッグを乗せている時間も無防備で、両替・トイレなどで一瞬目を離した隙が狙われます。
中央駅は犯罪グループが待ち構えやすい結節点。ここでも事例が複数。
○空港から出発した列車内において、荷物を網棚へ載せる作業を相席の男に手伝ってもらったが、その男が下車した後に網棚を見たら荷物がなくなっていた。 ○地下鉄駅のホームで電車待ちをしていたところ、複数の男に囲まれ、気がついたら財布を盗まれていた。 ○電車内で親切にしてくれた男が小銭を床にばらまき、その男から拾ってくれるよう頼まれたため手伝っていたところ、網棚に置いていた鞄が盗まれた。 ○急行列車の車内において、網棚に置いていたバッグや座席の横に置いていたスーツケースが盗まれていた。
「小銭をばらまいて拾ってと頼んでくる」は注意そらし型の典型。手伝うために屈んでいる間に網棚や足元の荷物が消えます。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(デンマーク) 過去の被害事例より)
対策はシンプル。他人に荷物を触らせない、ホームで囲まれそうになったら離れる、網棚ではなく足元か膝の上に置く。これで防げる被害がかなりあります。
ストロイエ・ニューハウン・人魚姫像 --- 写真撮影の瞬間が狙い目
大使館「安全の手引き」が名指しする観光地はストロイエ、アマリエンボー宮殿、人魚姫像付近、ニューハウン。すべて「コペンハーゲンに来たら必ず行く」スポットです。
○観光地においてスマホで写真を撮ることに気を取られ、その隙に鞄内から旅券等の貴重品が盗まれた。 ○観光ボート乗り場周辺を散策していたところ、気づいたら財布が盗まれていた。 ○繁華街や観光地で買い物をしていたところ、ハンドバッグに入れていたポーチ(旅券等在中)を盗まれた。 ○買い物を終え、店外に出ようとした際、前にいた人が突然屈んで靴ひもを直し始めたため、立ち往生していたところ、背負っていたリュックのファスナーが開けられ、財布が盗まれた。
最後の「靴ひも直し」は注意そらし型。前を歩いていた人が急に屈んで通れなくなり、後ろから別の犯人がリュックを開ける、というチームプレーです。前の人が突然立ち止まったらまずリュックを抱える、これを反射でやれるかどうかが分かれ目。
人魚姫像は像自体が小さく、観光客がぐるりと囲んで撮影するため、グループ犯行が紛れ込みやすい。撮影時はバッグを必ず体の前に回しましょう。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
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ホテル朝食と部屋の金庫 --- 「ホテルだから安心」は通用しない
外務省の被害事例リストにはホテル内の盗難が並んでいます。
○ホテルの朝食会場で、席にバッグを置いて料理を取りに行き、席に戻るとバッグが盗まれていた。 ○ホテルに宿泊し、部屋に備え付けられているセーフティ・ボックスに旅券・現金等の貴重品を入れて夕食に出たが、部屋に戻るとセーフティ・ボックス内の貴重品が盗まれていた。 ○ホテルのチェックインやチェックアウトの際に、カウンターや床に置いていた荷物を盗まれた。 ○飲食店のカウンターで、バッグを脇に置いてビールを飲んでいたところ、店外で大声がしたので2~3秒そちらを向いた間にバッグがなくなっていた。 ○レストランで鞄をイスの背もたれに掛けていたところ、気づいたら盗まれていた。
特に怖いのが部屋の金庫からの盗難。室内のセーフティ・ボックスは万能ではない。本当の貴重品(パスポート・大金)はフロントの金庫を使うか、身につけて持ち歩く方がいい。
ビュッフェ朝食は席を立つときに貴重品をポケットに入れて立つが原則。「すぐ戻るから」の3分が狙われています。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(デンマーク) 過去の被害事例より)
デンマーク特有の手口 --- 日本語声かけと抱きつき
大使館「安全の手引き」が独自に挙げているデンマーク特有の手口があります。
●一人が話しかけるなど注意を引き、その隙に他の者が抜き取る。 ●多人数で取り囲み、被害者を動けないようにして抜き取る。 ●日本語で親しげに話しかけてきて、自然に抱きついてきながらその隙に抜き取る。
「日本語で抱きつき」は他のヨーロッパ諸国の手引きでもめったに書かれていない、デンマーク独自のパターン。日本語が通じる外国人が観光客を油断させて自然に身体接触する手口です。日本語で話しかけられても警戒を緩めない、抱きつかれそうになったら全力で離れる、というのが鉄則。
ペンキ・ケチャップを服にかける手口も外務省の事例リストにあります。
ペンキやケチャップが服に付いているとして呼び止められ、服に気を取られている間にカバンを盗まれた。
「服が汚れているよ」と声をかけられたら立ち止まらず無視して歩き続ける。汚れの確認は安全な場所に着いてから自分でやる。
偽警察官の所持品検査詐欺
外務省は偽警察官のパターンも書いています。
繁華街で警察官を名乗る者から職務質問を受けて所持品検査に応じたところ、財布から現金が抜かれていた。(類似事案:同様の手口で巧みにクレジットカードの暗証番号を聞き出され、多額の現金を引き出された)
「警察」を名乗る人物が路上で財布の中身を検査することは本物の警察ではあり得ない。怪しいと思ったらその場を離れて、近くの店舗・ホテルに入って助けを求めよう。詳しい詐欺手口はコペンハーゲンの詐欺・ぼったくり対策で扱います。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
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トイレのドアの前 --- 立ち往生させて中身を物色
外務省の事例リストには、観光地のトイレ前で発生した「立ち往生型」の手口も載っています。
観光地のトイレのドアの前で、前に並んでいた人物(共犯者と思われる)がドアにカバンの紐がひっかかってしまい、ドアが開かなくなったふりをし、立ち往生をしている間に後ろにいた人物が被害者のカバンを開けて中身をすり取ろうとした。
カバンが引っかかった、靴ひもを直す、屈んで物を拾う――いずれも「立ち往生させて狭い空間に閉じ込める」ための演技。前の人が急に動きを止めたら、まずリュックを胸に抱えるのが反射で出るようにしておこう。
大使館は毎年警告を出している --- 春先と年末に集中
在デンマーク大使館がスリ・置き引き注意喚起のPDFを出した時期を時系列で見ると、明確なパターンがあります。
- 2024年5月29日 --- 初夏観光シーズン入り前
- 2024年12月10日 --- 年末年始観光シーズン入り前
- 2025年7月18日 --- 夏期観光シーズン入り後
つまりコペンハーゲンのスリは毎年春先と年末の2回ピークが来る恒常リスク。観光シーズンに合わせて警戒態勢を取り直す必要があります。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
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手口早見表
| 手口 | 多発場所 | 対策 |
|---|---|---|
| 親切な手伝いを装った荷物盗 | 空港・列車・ホーム | 他人に荷物を触らせない |
| 小銭ばらまき注意そらし | 列車内 | 拾わない、自分の荷物を抱える |
| 写真撮影中のリュック開封 | 人魚姫像・ニューハウン・ストロイエ | 撮影時はバッグを体の前に |
| 朝食会場の置き引き | ホテルビュッフェ | 席を立つなら貴重品はポケットへ |
| 日本語声かけ&抱きつき | 観光地全般 | 日本語が通じても警戒を緩めない |
| ケチャップ・ペンキ攻撃 | 繁華街 | 「服が汚れてる」は無視して歩く |
| 靴ひも・カバン引っかかり | トイレ前・店舗出入口 | 前の人が止まったら荷物を抱える |
| ホテル金庫からの盗難 | ホテル客室 | 大切なものはフロント金庫か身につける |
| 偽警察官の所持品検査 | 繁華街 | 路上の検査は偽物、即離れる |
やられたらどうする
- 警察(112)に通報して被害届を提出。受理証明書(Anmeldelseskvittering)を必ずもらう。パスポート再発給にも保険請求にもこの書類が必要
- クレジットカードを即停止 --- 日本のカード会社の緊急連絡先に電話。番号はスマホのメモアプリと、紙のメモにも控えておく
- パスポートを盗まれた場合は在デンマーク日本国大使館(+45-3311-3344)に連絡。帰国のための渡航書または新パスポートを申請。所在地は Havneholmen 25, 9F, 1561 Copenhagen V
- ホテルで盗難に遭った場合もまず警察。ホテルのフロントに相談するだけでは被害届は出せない
- コペンハーゲンの都市ページとデンマークの国ページに緊急連絡先をまとめています
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
出発前にやっておくこと
- パスポートと現金・カードを分散: 全部リュックに入れて背負うのが一番危ない。パスポートはウエストポーチか宿の金庫、カードは2枚を別の場所に
- リュックは前抱えを習慣に: 観光地と列車内では背中に背負わない。ファスナーロックも有効
- ホテル朝食は貴重品を身につけて立つ: 「すぐ戻るから」の3分で消える
- 日本語が通じても警戒を緩めない: デンマーク特有の手口
- 海外旅行保険に加入: パスポート再発給費用、緊急帰国費用、医療費(コペンハーゲンの医療事情)など、保険でカバーされる範囲は広い。ヨーロッパの海外旅行保険で備えを
よくある質問
コペンハーゲンでスリはどれくらい多い?
デンマーク全体で2023年のスリは16,044件、前年比+3.5%。1日あたり40件以上のペースで発生しており、その多くがコペンハーゲン市内で起きています。在デンマーク大使館は2024年5月、2024年12月、2025年7月と継続的に「スリ・置き引きにご注意を」のPDF注意喚起を出しています。
コペンハーゲンで一番スリに遭いやすい場所は?
外務省と大使館が名指ししているのは、コペンハーゲン空港、中央駅、列車内、ホテル(ロビー、朝食会場)、ストロイエ通り、アマリエンボー宮殿、人魚姫像付近、ニューハウンの観光ボート乗り場周辺です。
日本語で話しかけられたら?
大使館「安全の手引き」が独自に挙げているデンマーク特有の手口として、「日本語で親しげに話しかけてきて、自然に抱きついてきながらその隙に抜き取る」というパターンがあります。日本語が通じても警戒を緩めないことが重要です。
ホテルの朝食会場でも盗まれるの?
はい。外務省の被害事例リストには「ホテルの朝食会場で席にバッグを置いて料理を取りに行き、席に戻るとバッグが盗まれていた」「飲食店のカウンターで2〜3秒目を離した間にバッグがなくなっていた」など複数の事例が記載されています。料理を取りに立つときは貴重品を身につけてください。
被害に遭ったらまず何をすればいい?
まず警察(112)に届け出て被害届の受理証明書をもらいます。パスポートを盗まれた場合は在デンマーク日本国大使館(+45-3311-3344)に連絡し、帰国のための渡航書か新パスポートを申請してください。クレジットカードは日本のカード会社に即連絡して停止します。