オスロは「北欧=安全」の代表格として旅行先に選ばれる街。でも大使館「安全の手引き」(令和7年10月版)が並べる被害事例を読むと、外務省の邦人被害例6件のうち5件がオスロ市内で起きています。カールヨハン通りでリュックを開けられた、中央駅外のベンチでカバンが消えた、ホテル朝食でハンドバッグを持ち去られた、路上でカバンを足の間に挟んでスマホ操作中に持っていかれた――どれも「日本でも普通にやる行動」が引き金になっています。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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外務省の邦人被害事例6件 --- どこで何をしていたら盗まれたか
外務省・安全対策基礎データに掲載されている日本人被害例6件を全部見るのが一番早いです。
(1)ホテルのバイキング形式の朝食会場で食事中、同席の人に荷物の見張りを頼んで食事を取りに行っていた間に、椅子等においていた荷物を盗まれた。 (2)ホテルでのチェック・アウト時に家族に手荷物の見張りを頼んで席を外した間に、スーツケースの上においていた手荷物を盗まれた。 (3)オスロ市の主要観光地であるカールヨハン通りを歩いていたところ、知らない間にリュックサックのファスナーを開けられ、貴重品を盗まれた。 (4)路上にてカバンを足の間に挟んで携帯電話を操作していたところ、知らない間にカバンが盗まれた。 (5)オスロ中央駅の外にあるベンチに座り、カバンを横に置いて携帯電話を操作していたところ、知らない間にカバンを盗まれた。 (6)ベルゲン市の空港から市内へのバスに乗車中に、後ろポケットに入れていたパスポートを盗まれた。
5件がオスロ、1件がベルゲン。共通項は「カバンを身体から離した瞬間」または「スマホに集中していた瞬間」。「同席の人に頼んだ」「家族に頼んだ」「足の間に挟んだ」――どれも防御として弱い。カバンは肩にかける、ストラップを腕に通す、貴重品はポケットに入れる、これだけで遭遇率は劇的に下がります。
カールヨハン通り --- 歩いているだけでリュックを開けられる
オスロ最大の目抜き通りが盗難の最前線。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(ノルウェー)日本人被害例(3))
リュックを背中に背負ったまま観光地を歩くのが一番危ない。カールヨハン通りでは前抱えが鉄則。ファスナーにカラビナや簡易ロックをつけるだけでも狙われにくくなります。中央駅から王宮方面に向かって歩く観光ルートそのものなので、写真撮影中・地図確認中に背中が完全無防備になる瞬間が必ず発生します。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
オスロ中央駅 --- 外のベンチも危ない
中央駅構内だけでなく駅外のベンチまで多発スポット。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(ノルウェー)日本人被害例(5))
外務省・基礎データが「オスロ中央駅周辺は治安が良いとは言えず、特に夜間は危険ですので、一人歩きは避けてください」と名指しで書く一帯。空港鉄道Flytogetの発着駅で旅行者の動線が集中するので、犯行グループも待ち構えやすい。中央駅前でスマホを見ながら座らない、夜間の一人歩きは避ける、宿が遠ければタクシーや配車アプリを使う。
電車内のスリ --- ぶつかってバッグを開ける
公共交通機関でも被害多発。
【すり①】混み合った電車の中で隣の人と何回か身体が当たり、その時は特に気にならなかったが、電車を降りると持っていたバッグの口が開いており財布がなくなっていた。
大使館手引きの典型例。「身体が当たった」と感じた瞬間がすでに犯行中です。バッグの口は閉じておく、混雑時は前抱え。ちなみにベルゲンの邦人被害例ではズボンの後ろポケットに入れていたパスポートが空港バス車内で抜かれた事例もあります。後ろポケットには貴重品を入れない。
「日本語で柔道・空手」と話しかけてくる声かけスリ
オスロ固有の手口。観光客特化型です。
【すり③】日本人を見かけると片言の日本語で「柔道」「空手」等と言いながら近付き技をかける真似をして気をそらせている隙にポケットから財布を抜き取って逃げる
陽気に話しかけてくる「親切な現地人」の正体は財布抜き要員です。話しかけられた時点で財布の位置に手を当てて、立ち止まらずに離れる。「ニホンジン?ジュウドー!カラテ!」のフレーズ自体が警告サインだと覚えておきましょう。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
置き引きの4パターン --- ホテル朝食・空港・レストラン・路上
大使館「安全の手引き」が【置引き①〜④】として整理しているのがこちら。
【置引き①】ホテルでの朝食時(ビュッフェスタイル)、ハンドバッグや携帯電話、ルームキーを席に置いたまま食事を取りに行った隙に置引きされた。ケチャップをかけたりして気をそらした隙に荷物を持ち去る手口もある
【置引き②】ホテルでの朝食時、テーブルの横で数個のティーバッグを落とした人がいたので拾うのを手伝っている間に、椅子に置いていたハンドバッグがなくなっていた。
【置引き③】空港ロビーでチェックインの際、係員との話に気を取られている隙に、足元に置いてあったアタッシュケースがなくなっていた。
【置引き④】レストランで食事中、窓の外を見ると、数人のグループが何かを訴えかけており、それに気をとられている間に、隣の椅子に置いていた鞄がなくなった。
共通構造は「気をそらしてから盗む」分業型。1人が会話・拾い物の手伝い・窓の外のパフォーマンスで注意を引き、もう1人が盗む。気をそらされた瞬間が犯行のタイミングです。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ノルウェー日本国大使館「安全の手引き」令和7年10月版【置引き②】)
対策はシンプル。席を立つときは貴重品をポケットに入れて立つ。チェックイン中は荷物をカウンターと自分の身体の間に挟んで足で触れておく。落ち物・声かけ・パフォーマンスにはまず警戒、絶対に荷物から手を離さない。
偽警官の「偽札チェック」 --- 麻薬売りとセットで来る
スリの大物がこれ。
【すり②】警察官を名乗る者から偽札チェックをすると言われ財布を検査されたが、後に確認すると現金やカードが抜き取られていた。事前に犯人グループの一人が執拗に麻薬を売りつけようとするなどして、被害者が警察官の言葉に従い易いような環境を作る手口
麻薬売り(怪しい男)→偽警官(救世主のように現れる)→「偽札チェック」で財布を回収、というチーム犯行。本物のノルウェー警察は路上で財布の中身を調べません。「警察」を名乗る人物が来たら、こちらから身分証の提示を求める、112に電話する、近くの店に入る――が正解。詳しい詐欺手口はオスロの詐欺・ぼったくりで。
ATMスキミング・暗証番号盗み見
現金引き出し時のリスクも大使館手引きに具体例があります。
ATMで現金を引き出す際に背後から暗証番号を盗み見され、ATMから離れた後カードをひったくられた。
ショッピングセンター内のATMで現金を引き出した際にカード情報を盗まれ、他国で自分の口座から現金が引き出されていた。
対策は銀行店舗内のATMを使う、暗証番号は手で隠して入力、現金とカードはその場でしまう、ATMから離れる前にカードが戻ったか確認。ノルウェーは基本キャッシュレスなので、そもそもATMを頻繁に使う必要が薄いというのもポイント。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
手口早見表
| 手口 | 多発場所 | 対策 |
|---|---|---|
| 歩行中のリュック開封 | カールヨハン通り | リュックは前抱え、ファスナーロック |
| ベンチでのカバン置き引き | 中央駅外、観光地 | スマホ操作中もカバンは膝・身体の前 |
| 電車内のぶつかりスリ | 地下鉄・バス | 混雑時は前抱え、後ろポケットに財布禁止 |
| 日本語声かけスリ | オスロ市内全域 | 話しかけられたら財布に手を当てて離れる |
| ホテル朝食の置き引き | 朝食ビュッフェ | 貴重品はポケットに入れて席を立つ |
| 空港チェックインの置き引き | 空港ロビー | 荷物は身体と接触させたまま |
| ティーバッグ拾い・ケチャップ | レストラン・ホテル | 落とし物・気をそらしは警戒、荷物に手を |
| 偽警官の偽札チェック | 路上 | 路上の警察名乗りは100%偽物 |
| ATMスキミング・暗証番号盗み見 | 屋外ATM、ショッピングセンター | 銀行店舗内ATMを利用、手で隠して入力 |
やられたらどうする
大使館「盗難にあったとき」が手順を明示しています。
直ちにクレジットカード会社、銀行に連絡を取り、カードを停止します。 最寄りの警察に被害届を提出してください。(パスポートの盗難の場合は、被害届の盗難リストにパスポートの記載があること御確認ください。)
- クレジットカード会社・銀行に即連絡してカード停止。日本のカード会社の海外緊急連絡先はスマホのメモアプリに控えておく
- 最寄りの警察に被害届を提出。パスポート盗難なら被害届の盗難リストにパスポートの記載があるか確認(記載がないと再発給で困る)
- パスポート盗難の場合は大使館領事班に連絡。+47 2201 2900(月-金 9:00-16:00)、閉館時は緊急電話に転送
- 現金が尽きたらウェスタンユニオン国際送金。ノルウェー国内の取扱店で受け取り可能。日本からの送金時にマイナンバー提示を求められることがある
- 海外旅行保険の盗難補償を使うなら、警察の被害届受理証明書(必須書類)を必ずもらう
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
出発前にやっておくこと
- パスポートと現金・カードを分散:全部1つのリュックに入れて背負うのが一番危ない。パスポートはウエストポーチか宿の金庫、カードは2枚を別の場所に
- リュックは前抱えを習慣にする:カールヨハン通り・中央駅・地下鉄では背中に背負わない
- ホテル朝食では貴重品を身につけて立つ:「すぐ戻るから」の3分で消える
- ズボンの後ろポケットに財布・パスポートを入れない:ベルゲン空港バスの邦人被害例の常習パターン
- 海外旅行保険に加入:盗難補償だけでなく、転倒等の医療費でもオスロの医療・健康トラブルで書いたとおりヨーロッパの海外旅行保険は必須
よくある質問
オスロでスリは本当に多い?
大使館「安全の手引き」(令和7年10月版)では、人口比で見たノルウェーの窃盗発生率は日本の約5倍と明記されています。オスロは観光客が集中する首都で、外務省の邦人被害事例6件のうち5件がオスロ市内(カールヨハン通り、中央駅、ホテル朝食、路上、ベンチ)で発生しています。
オスロで一番危ない場所は?
外務省・基礎データが「オスロ中央駅周辺は治安が良いとは言えず、特に夜間は危険」と名指ししています。観光地ではカールヨハン通り、ホテルの朝食ビュッフェ、空港チェックインカウンター、レストランも多発スポットです。
「日本語で話しかけられたら気をつけて」って本当?
本当です。大使館「安全の手引き」の【すり③】に「日本人を見かけると片言の日本語で柔道、空手等と言いながら近付き技をかける真似をして気をそらせている隙にポケットから財布を抜き取って逃げる」と固有手口として明記されています。観光客特化型のスリ手口です。
ホテルの朝食会場でも盗まれる?
多発しています。大使館手引きには置引き①〜④まで4パターンが掲載されていて、「ティーバッグを落として拾うのを手伝っている間にハンドバッグが消えた」「ケチャップをかけて気をそらされた」など気をそらしの分業型が報告されています。同席者や家族に見張りを頼んでも盗まれた事例もあります。
偽警察官に注意って具体的にどんな手口?
大使館「安全の手引き」の【すり②】に「警察官を名乗る者から偽札チェックをすると言われ財布を検査されたが、後に確認すると現金やカードが抜き取られていた。事前に犯人グループの一人が執拗に麻薬を売りつけようとする」と記載されています。麻薬売りで動揺させてから偽警官が現れる二段構えの手口です。
被害に遭ったらまず何をすればいい?
大使館「盗難にあったとき」によると、まずクレジットカード会社・銀行に連絡してカードを停止、最寄りの警察に被害届を提出、パスポート盗難なら被害届にパスポートの記載を確認してから大使館領事班(+47 2201 2900)へ。現金が必要ならウェスタンユニオン国際送金で受け取り可能です。