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タイの不敬罪と王室・仏教タブー|観光客でも3〜15年禁錮になる法律を解説

最終更新: 2026-04-25

タイで「王室の悪口」なんて言う機会ある?——と思うかもしれないけど、紙幣を踏んだだけでアウトになり得る国です。タイの紙幣には国王の肖像が印刷されていて、それを踏む・破る・落書きする行為は不敬罪の射程に入ります。禁錮3年から最長15年。冗談じゃなく、タイの刑法112条に書かれた現行法です。

「王室なんて興味ないから大丈夫」が一番危ない。SNSでの軽いコメント、寺院での写真、僧侶との距離感、電子タバコの持ち込み——タイには日本人が無意識に踏み抜く法律とマナーが複数あります。このページでは、外務省と在タイ日本国大使館の一次ソースに書かれている「観光客でも罰せられるもの」だけを集めました。

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不敬罪(刑法112条)——3年以上15年以下の禁錮

外務省の安全対策基礎データにはっきり書かれています。

タイ国民の国王、王族に対する尊敬の念は深く、刑法上「国王、王妃、皇太子、摂政に対する罪」として刑罰(いわゆる不敬罪)が設けられており、例えば王室を侮辱した場合、3年以上15年以下の禁錮に処せられるおそれがあるほか、社会的にも厳しい批判を受けることにつながります。

ポイントは「外国人だから適用外」という除外が書かれていないこと。日本人観光客が対象外とは誰も言っていません。

「侮辱」の射程は想像より広いです。たとえば:

  • 紙幣を踏む・破る・落書きする ——タイの紙幣には国王の肖像が印刷されています。転がったコインを足で止めるのも避けたほうがいい
  • SNSでの王室に関するコメント ——冗談や皮肉のつもりでも、タイ国内で閲覧可能なら対象になり得る
  • 王室が関わる場所(王宮・王室関連行事)での不適切な言動や服装

日本の皇室とは位置づけが全然違います。タイ国民にとって王室への敬意は生活の根幹で、これに触れると現地社会からの批判も強烈です。旅行中は王室の話題には一切触れないのが最もシンプルな対策です。

不敬罪を含む「海外で日本人が知らずに踏み抜く法律」は 日本人が逮捕されやすい海外の法律10選 に各国分をまとめてあるので、タイ以外に行く人もチェックしておこう。

仏像・寺院・僧侶——宗教を侮辱すると「厳しく罰せられる」

仏像は倒壊品でも持ち出し禁止

外務省はこう書いています。「タイの法律には宗教に関する規定が多く、例えば寺院や儀式を侮辱したり、妨害したりする行為は厳しく罰せられます。仏像はたとえ倒壊したものであっても神聖なものとされています。仏像のタイ国外への持出しは禁止されており、無断での持出しは罰せられます」。

お土産屋で小さな仏像を買って持ち帰ろうとすると、空港の税関で止められます。持ち出すには輸出証明が必要で、無許可は違法。ちなみにチャトチャック市場(ウィークエンド・マーケット)で買った昆虫や爬虫類も森林動物保護法違反で検挙される対象で、2025年にも空港で日本人が逮捕されています。

僧侶には女性が絶対に触れてはいけない

外務省の明記事項です。「僧侶は上座部仏教の教義に則し、絶対に女性(子供を含む)に触れたり、触れられたりしてはいけないことになっています」。

電車やバスで僧侶の隣に座ることになった女性は距離を取ること。物の受け渡しも直接手渡ししない(布やトレーを介する)のがルールです。知らずに肩が触れただけでも僧侶側に深刻な問題が生じるので、女性の旅行者は特に覚えておこう。

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頭を触るな、足裏を向けるな——身体の上下が逆転する国

頭部は精霊が宿る場所として神聖視されており、頭部に触れることはタブーとされています。子供の頭をなでることもトラブルの原因となります。また、足は不浄とされているので、足裏を第三者に向けて座ったり、間違っても足で人を指すような仕草をすることは避けてください。

日本では子供の頭をなでるのは愛情表現。タイではトラブルの原因です。特に寺院の敷地内では足を投げ出して座ったり、仏像に足裏を向けたりしないよう注意。靴を脱ぐ場所も多いので、寺院では周囲を観察してから行動しよう。

電子タバコ——持ち込んだだけで最高10年懲役

在タイ日本国大使館の安全の手引きにはっきり書かれています。

電子たばこ(加熱式たばこを含む)のタイへの持込み・使用は禁止されています。違反した場合、最高で10年以下の懲役または50万バーツの罰金が科せられる場合があります。

アイコスもgloもプルーム・テックも全部ダメ。持ち込み・所持・使用・販売が禁止で、空港の税関で見つかれば没収+罰金。刑事事件化することもあります。日本で愛用していてもタイに持って行かないのが唯一の安全策。

ついでに紙巻きタバコにも制限があります。喫煙可能な場所は限られていて、公共交通機関やエアコン付き屋内飲食店は全面禁煙。路上でのポイ捨ては数千バーツの罰金。免税範囲は1カートン(200本)まで——団体旅行で他の人の分をまとめて持っていると、まとめて持っていた人が免税超過で没収+罰金です。

電子タバコを含む「罰金・没収」ゾーンの各国比較は 海外の罰金マップ にシンガポール・香港・UAE等と並べて整理しています。

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大麻は「合法」じゃない——娯楽目的はNG、日本の法律も追いかけてくる

「タイ、大麻合法化したんでしょ?」——これ、半分ウソです。在タイ日本国大使館の安全の手引きにはこう書かれています。

タイにおいて、解禁されたのは旧来より承認されている医療等を目的とする使用のほか、含有成分に厳しい制限を設けて製品化された食品や化粧品等に限られます。引き続き娯楽目的での使用は認められておらず、公共の場で大麻を吸引することなども禁止されています。

観光地に大麻ショップが並んでいるのは規制の過渡期の景色で、娯楽目的の吸引はタイの法律でもNGです。さらに日本の大麻取締法には国外犯処罰規定があり、タイで吸った日本人は帰国後に日本で罪に問われる可能性があります。

ハードドラッグ(覚醒剤・ヘロイン等)はもっと重く、安全の手引きに「販売目的の所持、密輸であった場合、死刑、終身刑が科される場合があります」と明記。2025年には販売目的で覚醒剤を所持していた日本人が逮捕されています。

薬物リスクの全体像は 大麻・ドラッグの国別リスクマップ に、バンコクの具体的な手口は バンコクの薬物トラブル にまとめてあります。

万引き——免税店で少額でも数か月〜数年の禁錮

薬物や不敬罪と比べて軽く見えるかもしれないけど、安全の手引きはかなり厳しいトーンです。

空港免税店やホテルにおいて、日本人が万引きで逮捕される事例が時折報告されています。空港免税店側は万引きに対し厳しく対応しますので、少額商品であっても警察に引き渡され、裁判が行われるまで刑務所に収監されます。裁判の結果、数か月から数年の禁錮刑を言い渡される場合もあります。

2025年にも数名の日本人が万引きで逮捕されています。「少額だし注意で済むだろう」は通じません。空港免税店は監視カメラと保安体制がガチガチで、日本のコンビニ感覚は命取りです。

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入国審査で声を荒げたら入国拒否

外務省が実例つきで注意喚起しているのがこれ。「出入国審査時に、入国管理局の係官等に対して、大声を出して、侮辱的な言葉を発し、カウンターを叩く等の行為をしたことで、入国拒否となった事例や、警察に引き渡され罰金を支払う事態になった事例がありますので、注意してください」。

入国審査の待ち時間が長いのはタイに限らないけど、タイでは「怒って抗議した結果そのまま帰国便」が実際に起きています。パスポートにメモ書きや観光地の記念スタンプが押してあるだけでも出入国拒否の事例があるので、パスポートはきれいに保つこと。

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まとめ——出発前に確認する5つのNG

やりがちな行動何がダメか最悪のケース
王室について冗談を言う・SNS投稿不敬罪(刑法112条)3〜15年禁錮
仏像をお土産に持ち帰る仏像持出し禁止逮捕・罰金
女性が僧侶に触れる上座部仏教の教義違反深刻なトラブル
電子タバコを持ち込む持込み・所持・使用禁止最高10年懲役 or 50万バーツ
入国審査で声を荒げる係官への侮辱的言動入国拒否・罰金

タイは楽しい国です。でも「知らなかった」で済まない法律がいくつかある。上の5つだけ頭に入れておけば、ほとんどの地雷は踏まずに済みます。

タイの治安全般は タイの安全ガイド に、都市別のトラブル手口は バンコクプーケットチェンマイパタヤ の各都市ページから。タイ旅行の保険選びは 東南アジアの海外旅行保険ガイド をどうぞ。

よくある質問

タイの不敬罪って観光客にも適用されるの?

されます。外務省の安全対策基礎データは「王室を侮辱した場合、3年以上15年以下の禁錮に処せられるおそれがある」と書いており、外国人観光客の除外規定はありません。SNS投稿や紙幣の扱いも射程に入るので、王室に関する話題は冗談でも触れないのが安全です。

お寺で僧侶に触ってしまったらどうなる?

上座部仏教の教義では僧侶は「絶対に女性(子供を含む)に触れたり、触れられたりしてはいけない」とされており、外務省もこれを明記しています。意図せず触れた場合でも深刻なトラブルになり得るので、女性は僧侶と距離を取り、物の受け渡しも直接手渡ししないのが基本です。

タイのお土産に仏像を買って帰れる?

原則NGです。外務省は「仏像のタイ国外への持出しは禁止されており、無断での持出しは罰せられます」と明記。輸出証明が必要で、無断持出しは逮捕対象です。チャトチャック市場等で購入した小動物・爬虫類の無許可持出しも森林動物保護法違反になり、2025年にも空港で日本人が逮捕されています。

タイで電子タバコ(アイコス)を吸ったら?

在タイ日本国大使館の安全の手引きに「電子たばこ(アイコス等をはじめ、加熱式のたばこを含む)の持込み・所持・使用・販売は禁止」と明記。違反は「最高で10年以下の懲役または50万バーツの罰金」です。空港の税関検査で見つかれば没収+罰金、場合によっては刑事事件化します。日本から持って行かないのが唯一の安全策です。

タイの入国審査で怒って声を荒げたらどうなる?

外務省は「入国管理局の係官等に対して、大声を出して、侮辱的な言葉を発し、カウンターを叩く等の行為をしたことで、入国拒否となった事例や、警察に引き渡され罰金を支払う事態になった事例があります」と記録。待ち時間が長くてイライラしても、絶対に声を荒げないでください。入国拒否=そのまま帰国便です。

出典・参考