キトはアンデス山脈中腹、標高2,850mに位置する世界で最も標高の高い首都の一つ。富士山五合目より高い場所に都市機能が広がっているため、リマやマイアミから飛行機で着いた瞬間に体は急激な酸素不足になります。外務省は「リマから訪れた旅行者の多くは、何らかの高山病症状を経験します」と隣国ペルー側のページで書いていて、エクアドルでも同じことが起きます。
Travel Alert 01
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標高別のリスク
外務省はキトを含む高地リスクを以下のように区分。
高地(標高2,000メートル以上、特に2,500メートル以上)を旅行する場合には以下の予防対策に十分留意することが必要です
エクアドルの主要観光地の標高:
- キト: 2,850m(市内)、テレフェリコ展望台 4,100m
- クエンカ: 2,560m
- オタバロ: 2,532m
- コトパクシ国立公園: 3,800〜5,897m(火山)
- キロトア湖: 3,914m
- チンボラソ: 6,268m(登山)
- グアヤキル / ガラパゴス: ほぼ海抜0m
つまりキト市内に滞在しているだけで「高地」のリスクゾーンに入っています。日中の観光で4,000m級に上がる行程(テレフェリコ・コトパクシ)はさらに警戒。
急性高山病の症状
外務省の医療事情ページより。
急性高山病の症状として、頭痛、胃腸障害(食欲低下、嘔気、腹部膨満感)、めまい・ふらつき、睡眠障害(眠りが浅い、夜間覚醒)、顔面・手足の浮腫などがあります
キト市は標高2,850メートルに位置しているため、早足で歩くと直ぐに息切れがしたり、下痢を伴うような消化不良や、不眠、アルコール類の飲用で酔いが早くまわるといった高山病の症状が出ることがあります
特徴的なのは「不眠」と「アルコールが早く回る」。いつもの飲酒量で深酔いするのは脱水・低酸素のサインです。
キトに着いた夜、ホテルでビール1杯飲んだだけで頭痛と吐き気が止まらなくなった。次の日は丸1日ベッドから動けず、観光予定が全部飛んだ。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 世界の医療事情 エクアドル)
Travel Alert 02
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致命的な合併症 --- 肺水腫・脳浮腫
高所登山中に意識障害や呼吸困難が生じた場合は、高地肺水腫や高地脳浮腫の恐れがあります。直ちに下山して医療機関を受診してください。当国では、救急医療にまだほとんどヘリコプターが導入されていません。基本的に自力で下山するしかありませんので、体調不良時は無理をせず、早めの下山を心がけて下さい
これがエクアドルの怖いところ。救急ヘリが基本的にないので、コトパクシやチンボラソで意識障害が出ても自力下山しかない。脳浮腫・肺水腫は数時間で死亡する病態なので、症状が出始めた時点で下山判断するのが鉄則です。
「軽い頭痛だから薬で押さえて行程続行」が、隣国ペルーでは敗血症・髄膜炎重症化で1,654万円・25日入院になった事例もあります(ペルー・クスコの高山病事例)。中南米全域で高地リスクは同質です。
予防対策 --- 外務省の3原則
(1)高山病の発症には体調が大きく影響するので、余裕のある日程で行動する (2)水分を十分に摂取し、食べ過ぎない (3)高地での生活では、急激な運動、アルコール類の摂取、睡眠薬の服用および喫煙は避ける
実用的に展開すると:
到着初日のルール
- アルコール禁止(普段の半量で深酔い)
- 激しい運動禁止(観光は最小限、ホテルで休む)
- 睡眠薬禁止(後述)
- 水を多めに(脱水が高山病を悪化させる)
- 食事は腹八分目(消化器に酸素を回さない)
日程設計
- 到着日は観光ゼロ・ホテル泊だけの予定に
- 4,000m超の場所(テレフェリコ・コトパクシ)は到着3日目以降に
- アンデス山地縦走は徐々に標高を上げる
- 体力に自信があっても初日は無理しない
食事・水分
- 1日2〜3リットルの水分(カフェインは利尿で逆効果なので控えめ)
- コカ茶(ペルー・ボリビアで一般的、エクアドルでは入手しにくい)
- 重い肉料理・脂物は避ける
- 朝食をしっかり、夕食は軽く
睡眠薬は逆効果 --- 外務省が明示
睡眠薬は、高山病を悪化させることがあるので、極力、使用は避けて下さい
これは見落とされがちですが、睡眠薬は呼吸抑制作用で血中酸素濃度をさらに下げるため、高山病を悪化させます。眠れない時の対処は:
- 横になってゆっくり呼吸(睡眠でなくとも体は休まる)
- 部屋の換気を確保(密閉空間は酸素濃度が下がる)
- それでも辛い場合は医師に相談(アセタゾラミドという高山病用の薬を処方してもらえる場合あり)
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
アセタゾラミド(ダイアモックス)
予防薬としてはアセタゾラミド(製品名ダイアモックス)が国際的に使われていますが、日本では処方薬で渡航前に医師に相談が必要。エクアドルの薬局でも処方箋なしで買えるケースがありますが、自己判断での使用は避けた方が安全です。日本の渡航外来(東京医科大学・大阪市立大学等)で事前処方を受けておくのが現実解。
急変時の対応 --- 911 / 主要病院
エクアドルの救急統合番号は911(ECU911)。
救急医療体制については、救急・警察・消防・交通・防災の総合統括センターである『ECU911(エク・ヌエベオンセ)』が全国17か所(含むガラパゴス)にオペレーションセンターを置き、一元管理しています
・キト市内に存在する救急車は、合計47両です。 ・緊急時の救急車対応時間(911コールから救急車の患者の下への到着までの所要時間)は、日中平均で12分12秒です
英語通訳対応・24時間。日本語が通じない場合は日本大使館に連絡を取ってくれる仕組みもあります。
主要病院:
- Hospital Metropolitano(Av. Mariana de Jesús s/n, TEL 02-3998-000): 当地最大規模・全科24時間救急
- Hospital Vozandes Quito(Villalengua Oe2-37, TEL 02-4007-100): 全科24時間
- Hospital de los Valles(クンバヤ地区, TEL 02-2977-900): 英語対応医多数
医療費 --- 私立病院は前払い保証金2,000〜3,000ドル
私立病院の医療費は概して高額です。渡航前に海外旅行傷害保険に加入しておかれることを強くお勧めします。入院に際して、2,000から3,000米ドルの保証金を要求され(全般にクレジットカード使用は可)、支払えない場合、入院を拒否されます。海外旅行傷害保険のキャッシュレスサービスに加入していても、病院側が対応してくれないケースもあり、その場合は同様に、保証金の支払いを要求されます
つまり、入院初日に30〜45万円を立替える前提。クレカ枠でカバーできない場合や、キャッシュレス対応が機能しないケースに備えて、保険会社の24時間日本語サポートで病院と直接交渉してもらうのが実用的な手順です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
日本搬送費用
日本までの緊急医療搬送が必要となった場合、通常、移送費だけで数百万円(商用機)から数千万円(専用機)を要します
肺水腫・脳浮腫など重症呼吸器疾患の場合、専用機(医師付き)が必要で数千万円。隣国ペルーの脳梗塞医療搬送事例で1,144万円(SBI損保)という実額もあります(ペルー・クスコの高山病・脳梗塞事例)。
健康保険・旅行保険のチェックポイント
- 治療救援費用: 1,000万円以上推奨(搬送費を含む実費型)
- 救援者費用: 数百万円(日本から家族が駆けつける費用)
- キャッシュレス対応: 利用可能病院をキト・グアヤキルで事前確認
- 既往症対応: 高血圧・心疾患・喘息は補償条件を確認
具体的な保険会社の補償額比較は中南米の海外旅行保険で。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
まとめ --- キト着いたら最初の48時間が勝負
- 到着日は何もしない、ホテルで休む
- アルコール・激しい運動・睡眠薬は禁止
- 水分多め・食事少なめ
- 頭痛・嘔気・呼吸困難が出たら下山判断(無理せず標高低い都市へ移動)
- 保険のキャッシュレス対応病院を事前確認
キトとは別にガラパゴス諸島の医療リスクは構造が違うので、ガラパゴスの離島医療で別途扱います。
よくある質問
キトの高山病はいつ発症する?
到着後48時間以内が最も多い。リマ(海抜0m)やマイアミから飛行機で着いた直後はとくに注意。アルコール・激しい運動・睡眠薬は避ける。
睡眠薬を使ってよい?
外務省は明確に否定。「睡眠薬は、高山病を悪化させることがあるので、極力、使用は避けて下さい」。眠れない時はゆっくり休み、それでも辛ければ医師に相談。
重症化の兆候は?
意識障害・呼吸困難は高地肺水腫・高地脳浮腫のサイン。直ちに下山して医療機関を受診。エクアドルは救急ヘリがほぼないため自力下山が前提。