ホンジュラスは中米の中でも人口あたりの殺人発生率が世界最高クラスの国です。首都テグシガルパとコルテス県(サンペドロスーラ)を含む大半の地域がレベル2(不要不急の渡航中止)に指定されており、2022年12月から続く「例外状態」(治安維持強化措置)は2025年11月で25回目の延長を迎えました。MS-13とPandilla 18というギャング組織が全国に縄張りを持ち、殺人事件の8割で銃器が使用される状況です。
このページは観光案内ではなく、業務渡航・JICA関係者・やむを得ない事情で訪れる人向けに、外務省と在ホンジュラス日本国大使館のデータから渡航前に押さえておくべき情報を整理したものです。
Travel Alert 01
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危険レベル --- 首都を含む大半がレベル2
外務省の危険・スポット情報より。
●首都テグシガルパ市、コルテス県、アトランティダ県、ジョロ県、オランチョ県、グラシアスアディオス県、コロン県及びコマヤグア県 レベル2:不要不急の渡航は止めてください。(継続) ●コパン県 レベル1:十分注意してください。(引き下げ) ●その他の地域 レベル1:十分注意してください。(継続)
主要な観光地・経済中心地はほぼレベル2で、コパン・マヤ遺跡があるコパン県は近年「治安改善」を理由にレベル2から1へ引き下げられました。ただ「引き下げ」が「安全」を意味するわけではないことに注意。外務省はこう書いています。
ホンジュラスは、人口あたりの殺人事件発生率が世界で最も高い国のひとつです。特に、島嶼部を除くカリブ海沿岸各県のほか、テグシガルパ市とサンペドロスーラ市を結ぶ5号線(CA-5)沿線における凶悪犯罪の多発が顕著です。
殺人率 --- 10万人あたり23.23人、日本の約93倍
在ホンジュラス日本国大使館の四半期レポート(2025年10〜12月期)に最新統計があります。
2025年中のホンジュラスにおける人口10万人あたりの殺人発生率は人口10万人あたり23.23人が殺害されているという結果でした。最も治安情勢が厳しかった約10年前の同種統計と比べると、殺人発生率は半減しており、ここ数年毎年減少傾向にあるとは言えますが、周辺諸国と比較した場合、依然として厳しい治安情勢が続いています。
2011年は10万人あたり86.5人で世界最悪と言われた時期があり、そこから半減した形ですが、それでも日本(約0.25人)の約93倍。年間の犠牲者数も具体的に公表されています。
国家警察が発表した統計によりますと、2025年における殺人事件の被害者数は2,332名とのことで、前年の2,598名と比較すると、266名被害者が減少しています。
外務省「安全対策基礎データ」も同様の指摘をしていて、1日あたり約7人が殺人で犠牲になっている計算になります。
銃社会 --- 殺人の8割で銃器使用、流れ弾死亡年10名
国内では、許可を受ければ合法的に銃器を所持できますが、非合法の銃器も相当数流通していると言われており、殺人事件の8割近くで、けん銃が使用されています。なお、武装した警備員と店先等で口論をした結果、感情が高ぶって射殺される事例が相次いでいます。自身を守るためにも、たとえ相手が店舗関係者であったとしても、口論は避けるようにしてください。
「店員と口論したら撃たれる」という事例があるレベルの銃社会。スーパーやレストランでサービスに不満があっても、声を荒げない・絡まないが鉄則です。さらに、自分が当事者でなくても被害に遭うリスクが指摘されています。
こうした事件が発生した際、流れ弾によって死傷する善良な一般市民も多く、警察当局も年間平均で10名前後が流れ弾によって死亡していると発表していますので、特段の注意が必要です。
「年10名が流れ弾で死亡」と国家警察自身が発表しています。
マラス・パンディージャス --- MS-13とPandilla 18
ホンジュラスの凶悪犯罪の中心にいるのはマラス・パンディージャスと呼ばれるギャング組織です。
凶悪犯罪の多くは、「マラス・パンディージャス」と呼ばれるギャング団を中心とした犯罪組織によって行われており、一般市民を執拗に恐喝することで、みかじめ料を徴収しており、拒否する者を容赦なく殺害しています。代表的なマラス・パンディージャスとして、「マラ・サルバトゥルチャ(MS-13)」と「パンディージャ18」があり、縄張りや銃器・薬物密売を巡って、組織間抗争による殺人事件も頻発しています。
四半期レポートには、外見からは見分けがつかないという指摘もあります。
かつては全身に特徴的な入れ墨を彫り、独自の服装を好んでいたマラス・パンディージャスの構成員ですが、最近では入れ墨を彫らず、普段着を好む者が増加しており、一見して同関係者と分からない場合が多いので、普段から自身の言動には十分に注意を払う必要があります。
「普通の通行人に見える人物がギャング構成員」という前提で、むやみに知らない地区へ立ち入らない判断が必要です。
Travel Alert 02
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例外状態 --- 25回目の延長
2022年12月から続く「治安維持強化措置」は、世論の支持もあり繰り返し延長されています。
2022年12月6日より、30日間の期限を設けて始まった恐喝事案多発に伴う治安維持強化措置(通称「例外状態」)については、2023年1月6日に45日間の延長を実施して以降、2025年11月12日に25回目の追加45日間の延長を繰り返しながら、現在へと至っています。同措置の対象地域は、2023年2月19日の追加延長時に、国内全県・全県都を含む主要226自治体に拡大されています
国全体が「例外状態」下にあり、状況に応じて集会・結社の自由、居住・移転の自由、身体の自由、住居の不可侵などの権利が制限・停止されうる法的環境です。一般市民の生活への直接的影響は限定的とされていますが、警察検問・身分証提示要求は通常時より頻繁と考えてください。
邦人被害事例 --- ギャング縄張り誤侵入と拳銃バス強盗
外務省と大使館がまとめた邦人被害例から、典型的な3パターンを引用します。
・2020年10月にフランシスコモラサン県内のホテルに滞在中であった日本人男性の部屋に、複数の人間が拳銃のようなもの持って押し入り、金品が強奪された強盗事件。 ・2024年4月に旅先から車で帰宅途中、首都テグシガルパ市内を運転中に道に迷い、青年ギャング団が縄張りを争うとされる地区に誤って立ち入ったことで、発砲を受けた負傷事案。 ・2025年4月に首都テグシガルパ市に向かうバスの中で拳銃強盗被害に遭い、金品を強奪された被害。
「道に迷っただけで発砲される」ということ。Google Mapで近道として表示されても、知らない地区を通り抜ける選択肢を取らない判断が必要です。詳細はテグシガルパの治安情報で。
公共交通機関 --- バス・タクシーともに強盗多発
昼間帯であっても、徒歩での移動は極力避けるべきですが、バスやタクシーの乗客を狙った強盗事件も頻発していますので、できる限り公共交通機関は利用しない等の十分な注意が必要です。 また、夜間については治安情勢の問題に加えて、当地の道路状況の悪さ、交通事故多発等様々な問題があることから、不要不急の移動は避けてください。
外務省「安全対策基礎データ」が列挙する一般的な被害例にも、公共交通機関絡みのものが複数含まれます。
・路線バスに乗っていたところ、乗客を装った強盗に銃で脅され、金品を奪われた。 ・乗り合いタクシーに乗車中、乗客を装った人間が突如強盗と化し、金品を奪われた。 ・車で走行中、強盗団の乗った車両に前方を塞がれ、逃げられず所持品を奪われた。
流しのタクシー・乗合タクシー・路線バスはすべてリスク。信頼できる配車サービス(ホテル経由・大使館推奨業者)か、雇用主が手配する車両以外は使わないのが原則です。詳細はテグシガルパのタクシー・交通トラブルで。
CA-5(国道5号線)の走行車両強盗
テグシガルパとサンペドロスーラを結ぶCA-5は経済の大動脈ですが、走行中の車両を狙った強盗が多発しています。
「交通事故死」が殺人死に次ぐ第2の死亡要因となっています。交通死亡事故者数は、殺人死亡者数に迫る数で、特に国道5号線(CA5)上での発生が顕著です(コルテス県ビジャヌエバ市~ヨホア湖周辺においては、走行車両に対する強盗事件も多発していますので、注意が必要です)。
殺人で年2,332名、交通事故死がそれに迫る数です。事故現場で口論することそれ自体が二次被害のトリガーになります。
交通事故現場での言い争いをきっかけに、凶悪事件へと発展し、被害者となる可能性も十分に考えられますので、万が一の場合は感情的になることなく、深追いは避け、警察官の到着を待ちましょう。
ぶつけられても、車を降りて文句を言わない。窓を開けず、警察を待つのが正解です。
Travel Alert 03
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短時間誘拐 --- ATMに連行される手口
ホンジュラスでは伝統的な身代金型誘拐に加えて、短時間誘拐も発生しています。
「少額な金銭と所持品を目的とする短時間誘拐」の場合、ショッピングモールや銀行の駐車場等の死角になる場所で、ボディーガード等を引き連れていない者を狙って逮捕・監禁し、共にATMへ赴いて現金を引き出させ、解放するというものです。 また、いわゆる流しの相乗りタクシーに乗車した際にも、これと同様の被害に遭遇するケースが散見されますので、より安全な登録制の配車サービスを利用するなどして警戒する必要があります。
被害届が出されないため統計に表れない被害が相当数あると外務省は推定しています。詳細はテグシガルパの誘拐・拳銃強盗で。
薬物 --- カリブ海岸とグアテマラ国境ルート
ホンジュラス東部から北部にかけてのカリブ海沿岸地域およびグアテマラ、エルサルバドル、ニカラグア国境地域は北米向けの薬物密輸ルートとして犯罪組織の活動が活発です。また、近年この地域では、薬物の生産も始まっており、治安悪化の大きな要因となっています。
カリブ海岸(モスキート海岸/グラシアス・ア・ディオス県)は薬物密輸の中継地で、観光向きの地域ではありません。「ロアタン島だけ立ち寄るダイビング旅行」であっても、本土側経由のフェリーは避け、空路で直接島に入る判断が現実的です。
自然災害 --- ハリケーンと洪水
中米では、例年6月から11月頃までがハリケーンシーズンとなっています。また、ホンジュラス国内各地でもこの季節に豪雨に見舞われることが多く、本年も豪雨の影響により、各地で洪水、河川の氾濫、土砂崩れ等による人的・物的被害が発生し、場合によっては停電、断水といった生活インフラの障害が生じるなど、復旧に長い期間を要しています。
危険事態対応省(COPECO)の警報を確認、雨期の単独行動は避けるのが基本。1998年ハリケーン・ミッチで国土の壊滅的被害を受けた経験から、警報体制は整備されていますが、通信網そのものが豪雨で寸断するケースもあります。
医療事情 --- 医療水準は劣悪、先進国搬送が現実解
外務省「世界の医療事情」より。
医療水準も劣悪です。公立病院は、職員や医療物資が慢性的に不足しており、邦人の利用には適しません。いくつかの私立病院では、軽症の内科的疾患には対応可能ですが、外科的処置や輸血は可能な限り避け、先進国に渡航することを勧めます。このため、高額補償の海外旅行傷害保険等に加入しておく必要があります。
テグシガルパの主要私立病院は Honduras Medical Center(最も信頼できる総合病院、電話 2280-1500)と Hospital y Clínicas Viera(電話 2237-3160)。サンペドロスーラでは Hospital del Valle(電話 2527-8400)と Hospital CEMESA(電話 2516-0174)。ただし重症時は米国・コスタリカ等への医療搬送が現実的選択肢になります。
デング熱・マラリア
特にデング熱においては、2024年にホンジュラス含め中南米での流行あり、邦人における重篤化の報告があります。2024年42週時点で人口約1000万人に対して約17万人が感染し150人が亡くなっています。現時点では、日本国内で利用可能なワクチンはないため、虫よけスプレーの塗布や蚊帳・蚊取り線香の使用など、防蚊対策が重要となります。
人口の約1.7%がデング熱に感染した計算で、邦人の重篤化報告もある状況です。マラリアはグラシアス・ア・ディオス県(モスキート海岸)に集中。
参考金額(中南米地域の借用)
ホンジュラスを名指しした保険金支払事例は損保ジャパン off!/ジェイアイ/SBI損保のいずれにも2026年5月時点で確認できません。日本人の渡航者数自体が限られているためです。同地域の参考として近隣国の事例を引用します。
- ペルー: 高山病・敗血症性ショック・細菌性髄膜炎で1,654万円(ジェイアイ傷害火災)
- ペルー: 脳梗塞で1,144万円(SBI損保)
- コスタリカ: 脳内出血・硬膜動静脈瘻で442万円(SBI損保)
- メキシコ: 前十字靭帯損傷で356万円、膝蓋骨骨折で309万円(SBI損保)
ホンジュラスから国外搬送する場合、米国(マイアミ)への医療搬送が現実的で、空路アクセスが限定される地域からはチャータージェット手配で上振れする可能性があります。海外旅行保険の医療補償・救援者費用は最大限のプランを推奨。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
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滞在ルール --- 個人情報・身分証・写真撮影
個人情報の取り扱い
新聞紙面の個人売買欄やホームページ上に、電話番号等の個人情報を安易に掲載しないでください。こうした情報をもとに、マラス・パンディージャスによる恐喝行為が始まる場合もあります。
SNSでの自宅住所・職場特定情報の発信、現地での電話番号の安易な公開は避けるのが無難です。
写真撮影制限
軍事施設は写真撮影が禁止されており、
加えて警察検問所・刑務所・空港の保安区域も撮影回避が安全。
制服を着た訪問者への対応
警察官等、治安関係者の制服を着用した強盗や殺人事件が頻発しています。自宅やホテル等の滞在先に見知らぬ人が訪ねてきたら、たとえ制服のようなものを着用していたとしても、強盗等の可能性があるため、絶対にドアを開けないようにしてください。
「制服=信頼できる」が成立しない国です。ホテルでも電話で確認してから扉を開ける運用が必要。
緊急連絡先
| 機関 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察・救急・消防 | 911 |
| 在ホンジュラス日本国大使館 | +504-2236-5511 |
| Honduras Medical Center(テグシガルパ) | 2280-1500 |
| Hospital del Valle(サンペドロスーラ) | 2527-8400 |
不幸にも、犯罪の被害者となった場合には、「911(日本の110番)」に通報のうえ、当館にも一報願います。
たびレジ登録・在留届の提出は必須レベル。例外状態下では退避指示が出る可能性もあります。
都市別情報
- テグシガルパの治安・危険エリア情報 --- 首都・政治経済の中心、ギャング縄張り、CA-5起点
サンペドロスーラ(コルテス県)は世界有数の殺人率で知られる工業都市ですが、邦人渡航者向けの固有事例情報が限定的なため独立記事化は見送っています。コルテス県を訪れる場合も、空港〜目的地の移動は雇用主・受入機関の手配車両を使い、CA-5の自家用車での長距離移動は避ける判断が安全です。
通信
ホンジュラス国内のSIMはClaro・Tigoが主要事業者。テグシガルパとサンペドロスーラ以外の地域では電波が安定しない場所があります。たびレジ・大使館連絡網の維持、配車アプリの動作確認のため海外eSIMの併用が現実解です。選び方は海外eSIM比較ガイドで。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
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海外旅行保険の備え
ホンジュラスの大半はレベル2(不要不急の渡航中止)地域です。海外旅行保険によっては渡航中止勧告レベル以上の地域は補償対象外になるケースがあります。契約時に免責条項を必ず確認してください。詳しくは中南米旅行の保険ガイドで。