メキシコシティの「薬物トラブル」は他の中南米都市と比べても観光客が逮捕につながる事例が一次情報に明記されている点が特徴。テピート地区での麻薬購入逮捕、空港での荷物仕掛け、日本の市販薬の禁止成分まで、外務省と大使館が複数の手口を名指しで警告しています。海外で日本人が逮捕される類型は日本人が海外で逮捕されるトップ10、各国の薬物法は海外の薬物法マップにまとめました。
Travel Alert 01
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テピート地区での麻薬購入逮捕事例
A2-safety(外務省 安全対策基礎データ)から、最も具体的な事例。
日本人旅行者2人が、洋服などを購入しようと、メキシコ市テピート地区(密輸品や不正コピー商品などを安売りする市場で、治安が非常に悪い地区)を訪れて商品を見ていたところ、メキシコ人と思われる2人組の男に、良い品物があるから買わないかとつきまとわれ、新聞紙に包んだ麻薬を購入したことにより逮捕された。
「洋服を買いに行ったら麻薬を売りつけられて逮捕」という、観光動機からスタートして逮捕に至るパターン。テピート地区はメキシコシティ最大の闇市場で、密輸品・不正コピー品(偽ブランド・海賊版DVD等)の安売り場として知られていますが、外務省が「治安が非常に悪い地区」と名指ししている地域です。
テピート地区は観光で行かない
これは大使館の事実上の推奨。安いから・お土産だからで踏み込むと、上記の逮捕事例と同じパターンに陥ります。コピー品の買い物自体も別の罪(知的財産権侵害)に問われる可能性があり、複数のリスクが重なる場所。「テピート地区には行かない」をデフォルトにしておくのが安全側です。
空港・バスターミナルでの荷物仕掛け
A2-safety から。
空港やバスターミナル等において犯罪グループが報奨金目当てで旅行者の荷物にこっそり違法薬物を忍ばせたうえ、警察に密告するという手口もあるので、荷物から目を離さないでください。
「報奨金目当て」で旅行者の荷物に薬物を仕掛けて密告する、という手口。逮捕された旅行者は薬物所持で起訴され、現地で長期勾留・実刑になる可能性があります。
空港・ターミナルでの対策
- チェックイン手前まで荷物から目を離さない
- チェックイン後の預け入れ荷物にはTSA対応錠などで施錠
- 空港の喫煙所・トイレ・売店で荷物を放置しない
- 見知らぬ人から「荷物を一時預かってほしい」と頼まれても絶対に受けない
- バスターミナルでは荷物に常に手を添える、足の間に挟む(長距離バスの武装強盗はタクシー・交通トラブルも参照)
- スーツケースの内側にも見知らぬ物品が入っていないかチェックイン前に確認
Travel Alert 02
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日本の市販薬と禁止成分
A2-safety から。
麻薬類の持込みは禁止されています。また、日本の市販薬の中には、メキシコ国内法の禁止成分が含まれているものもあり、薬剤の持込みに関するトラブルも発生しています。
メキシコでの規制対象になりうる成分の代表例(一般的に各国規制対象になりやすいもの)。
- コデイン(咳止め)
- エフェドリン・プソイドエフェドリン(鼻炎薬・総合感冒薬)
- ジヒドロコデインリン酸塩(咳止め)
- トラマドール(鎮痛薬)
- モルヒネ系成分
具体的な可否はメキシコ保健省(COFEPRIS)の最新規制に従う必要があるため、処方薬・市販薬を多めに持参する場合は、出発前に英文または西文の処方箋を医師に書いてもらうのが安全側。普通の風邪薬・胃腸薬1〜2箱程度なら通常問題になりませんが、大量持参は要注意です。
大麻の扱い(合法化されたわけではない)
メキシコでは2021年に最高裁が娯楽目的の大麻使用を「合憲」と判断しましたが、これは「使用が憲法に反しない」というだけで、流通・販売・所持の刑罰規定は未整備。観光客が大麻を所持・使用すれば違法行為として摘発される可能性があります。
加えて重要なのが日本の国外犯処罰。
- 大麻取締法は国外犯にも適用(日本人が海外で大麻使用→帰国後に処罰可能)
- 麻薬及び向精神薬取締法も同様に国外犯処罰あり
- 「外国で合法だから大丈夫」は日本の法律上は通用しない
メキシコの大麻ショップ(dispensary)に立ち寄るだけでも、現地での職務質問→所持判定→拘束のリスクがあります。手を出さないが唯一の正解。
Travel Alert 03
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偽造処方箋・薬局での違法販売
メキシコの一部薬局では処方箋なしで本来規制されるべき薬剤が販売されているケースがあるとされます。観光客が安価に処方薬を入手できると紹介されることがありますが、
- 持ち込み時に成分申告がなければ密輸扱いになる可能性
- 日本に持ち帰れない成分(向精神薬・麻薬指定)が含まれる場合
- 偽造薬・粗悪品の流通リスク
メキシコの薬局で日本では処方箋が必要な薬を購入しない、が安全側です。
体験談
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省「メキシコ 安全対策基礎データ」)
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省「メキシコ 安全対策基礎データ」)
Travel Alert 04
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手口早見表
| 手口 | 発生場所 | 対策 |
|---|---|---|
| テピート地区での麻薬売りつけ→逮捕 | テピート地区 | 観光で行かない |
| 空港・ターミナル荷物仕掛け→密告 | 空港・バスターミナル | 荷物から目を離さない、預かりを断る |
| 市販薬の禁止成分 | 入国時税関 | 英文/西文処方箋準備、大量持参を避ける |
| 大麻所持・使用 | 全国 | 手を出さない、国外犯処罰の対象 |
| 薬局の違法販売 | 一部薬局 | 規制薬剤の購入を避ける |
予防策(出発前・現地)
出発前
- テピート地区を旅程に入れない
- 持参する処方薬は英文/西文の処方箋を医師に依頼
- 市販薬は風邪薬・胃腸薬程度に絞る、大量持参を避ける
- 海外旅行保険の弁護士費用特約の有無を確認(誤認逮捕対応)
- 大使館の領事サービス連絡先をスマホ保存
現地
- 空港・バスターミナルで荷物から目を離さない
- 見知らぬ人からの「荷物預かって」を絶対に断る
- 薬物関連の声掛けには即離脱(テピートに限らず)
- 薬局で規制薬剤を購入しない
- 大麻ショップ・関連施設に近づかない
- 不審な状況で警察職質を受けたら大使館連絡を要請
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
万が一逮捕されたら
- 「黙秘権を行使する」と明確に伝える(自白を強要されない)
- 領事面会権を要請(在メキシコ日本国大使館:+52-55-5211-0028)
- 大使館経由で日本語通訳・現地弁護士のリストを入手
- 家族・関係者への連絡を大使館経由で依頼
- 取調べでは現地語の調書に署名しない(内容理解できないものは拒否)
- 保険会社の弁護士費用特約があれば適用相談
メキシコの薬物関連犯罪は現地で長期勾留・実刑のリスクが大きい領域です。「行かない・触らない・預からない」の3点で大半のリスクは回避できます。
よくある質問
メキシコで日本人旅行者が薬物で逮捕された事例はある?
あります。A2-safetyに「日本人旅行者2人が、洋服などを購入しようと、メキシコ市テピート地区を訪れて商品を見ていたところ、メキシコ人と思われる2人組の男に、良い品物があるから買わないかとつきまとわれ、新聞紙に包んだ麻薬を購入したことにより逮捕された」と明記されています。テピート地区(密輸品・不正コピー商品市場)には観光で行かないのが大使館の事実上の推奨です。
空港で荷物に薬物を仕掛けられることは本当にある?
A2-safetyに「空港やバスターミナル等において犯罪グループが報奨金目当てで旅行者の荷物にこっそり違法薬物を忍ばせたうえ、警察に密告するという手口もあるので、荷物から目を離さないでください」と明記されています。預け入れ前の荷物に手を加えられる可能性があるため、空港のチェックインカウンター手前まで荷物から目を離さないことが基本です。
日本の市販薬を持ち込むのは危険?
A2-safetyは「日本の市販薬の中には、メキシコ国内法の禁止成分が含まれているものもあり、薬剤の持込みに関するトラブルも発生しています」と明記。コデイン・エフェドリン・プソイドエフェドリン等を含む鼻炎薬・咳止めは要注意。出発前にメキシコ大使館または保健省(COFEPRIS)に成分確認、英文/西文の処方箋を医師に書いてもらうのが安全側です。
大麻はメキシコでは合法化された?
観光客が持ち込み・所持・使用するのは違法のままです。メキシコでは2021年に最高裁が娯楽目的の大麻使用を合憲としましたが、流通・販売の規制は未整備。観光客が大麻を使用・所持して逮捕されると日本の国外犯処罰も適用されます。海外の薬物法全般は[海外の薬物法マップ](/guides/drug-law-map/)にまとめています。