在ミラノ総領事館が2024年に把握した北イタリアの日本人犯罪被害は122件。内訳はスリ64件・置き引き50件・車上狙い4件・ひったくり2件・強盗致傷2件。ほとんどがミラノで起きています。2026年1-3月の四半期だけでもスリ17件・置き引き14件・ひったくり2件と、依然ハイペース。羽田-ミラノ直行便の就航で渡航者が増え、被害も連動して増加中です。
ドゥオーモの記念写真から高級ブランド店のショッピングまで、ミラノではスリが場所を選びません。さらに中央駅周辺は夜間に集団暴行まで絡む凶悪犯罪エリア。観光地のスリだけ警戒すればいい都市ではない、という前提で読んでください。南下したローマのスリ・置き引きとも手口・組織が共通しており、北伊だけの話ではありません。組織化されたヨーロッパのスリ文化という意味では、バルセロナのスリやパリのスリとも地続きです。
Travel Alert 01
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ドゥオーモ周辺は組織的スリの最大ホットスポット
在ミラノ総領事館の「安全の手引き」はミラノの窃盗被害について、ドゥオーモ周辺と中央駅を名指しで挙げています。
犯行の中心は組織化されたグループ。総領事館は特殊な事情にも触れていて、「妊娠中の被疑者には通常、執行猶予が与えられるというイタリア刑法の規定があり、この規定を悪用した妊娠中又は妊娠を装った東欧系女性を含むスリグループが地下鉄等で犯行を繰り返しています」と明記。つまり捕まっても刑が執行されない前提で動いているプロ集団が地下鉄に張り付いています。
手口は外務省データによると、浮浪者風の子供の集団が新聞紙を広げて近寄る、病院の最寄り駅を聞いて気をそらす、満員電車で押されている間に抜く、の3パターンが定番。エレベーターでリュックから貴重品を抜かれるケースも記録されています。ドゥオーモの大聖堂前広場は地下鉄ドゥオーモ駅からの人流が絞られる構造で、ここが犯行適地になっています。
ミラノ中央駅は昼のスリと夜の集団暴行が同居する
中央駅は昼と夜で別の危険が出る二重構造の場所です。昼間のスリの典型例は、2026年1-3月の総領事館レポートにある地下鉄乗車時の事例。
混雑した地下鉄車両に乗り込んだ際、ドアがなかなか閉まらなかったため注意をそちらに向けていたところ、バッグ内の財布を抜き取られていたことに気づいた。その後、犯人は3人組で、うち2人がドアの閉鎖を妨げて注意をそらし、1人がスリを実行する手口であったことが判明した
同期にはスロープで後方からスーツケースに勢いよくぶつかり、ポケットのスマホとリュック内ポーチを同時に抜くひったくりも報告されています。ぶつかられた瞬間がピーク。
夜はさらに深刻。外務省データと総領事館の手引き両方が、中央駅付近とコルソ・コモ、ナビリオなどの繁華街での強盗致傷事件に言及。「高級時計やネックレスなどを狙い、急に声をかけられた後に強奪されるケース」が報告されています。2026年3月にはボッコーニ大学付近で10代の「ベビーギャング」が未成年者を取り囲んで暴行しネックレスを奪う事件も発生。深夜の中央駅周辺は駅を出て地下鉄に乗り換える数分間すら危険で、Uberやタクシーを地下鉄出口に呼んで直接乗り込むほうが安全です。
Travel Alert 02
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マルペンサ空港・カドルナ駅の置き引きは到着直後が狙われる
外務省データはミラノ市のホテルを含む大都市のホテル盗難にも触れていますが、空港でも発生しています。総領事館は空港での窃盗を別項で立てていて、「テロ対策により手荷物の持ち込みが制限されているため、空港内で荷物整理を行っている隙に被害に遭うケースが発生」と記載。到着ゲートを出て荷物を開けて整理している、まさにその瞬間が狙われます。
マルペンサから市内への移動列車「マルペンサ・エクスプレス」でも被害報告あり。2025年10-12月の総領事館レポートには、スーツケースをラゲッジスペースに置き、手荷物を網棚に乗せて座っていたら目的地到着前にどちらも盗まれた事例が載っています。スーツケースは自分の座席から目を離さない範囲に置くのが基本。カドルナ駅も同様にホットスポットとして名指しされています。
車上荒らし:「タイヤがパンク」の声かけは犯行の合図
ミラノでレンタカーを使う人は車上狙いの専用手口を覚えておく必要があります。総領事館「安全の手引き」によれば、典型的な犯行パターンは2つ。
ひとつは飲食店駐車場で窓ガラスを割って車内の貴重品を抜く直接型。ミラノ市内の路上には窓ガラスが割られた車が散見されるほどの頻度です。もうひとつが声かけ型で、「運転中や停車中にタイヤがパンクしていると言われ、降車して確認している際に車内の貴重品を盗まれるケース」。運転席から離れた瞬間が勝負です。
「タイヤがパンクしている」と声をかけられても運転席から動かない。次の安全な場所まで走って確認する。車内にバッグ、PC、パスポートを絶対に残さない。この3点で被害は大きく減らせます。
高級ブランド店・クレジットカードすり替え
意外な盲点が店内スリとカードすり替え。外務省データはミラノ市のホテルでのセーフティボックスからの窃取に触れ、総領事館は別の手口として空港でのクレジットカードすり替えを明記しています。
空港などで、犯人が、「自分のクレジットカードが使用できない。」と言って、被害者に自分のクレジットカードを試すよう依頼し、その過程で犯人が所有する自分のカードと被害者のカードとすり替えて盗む手口
さらに外務省は「制服を着た警官風の人物が現れ、旅行者に検査と称して財布を出させ、巧みに高額紙幣やクレジットカードを抜き取ります」「警察官がクレジットカードの提示を求めることはありません」とニセ警官手口も記載。本物の警察は路上で財布やカードの提示を求めません。求められた時点で詐欺と判断してください(同系統の手口はローマの詐欺・ぼったくりにも整理しています)。
Travel Alert 03
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公共交通のリュックは背中からチャックを開けられる
総領事館の防犯対策で最初に挙がるのが「混雑した場所でリュックサックを背負ったまま移動しない」。これはミラノでは鉄則です。地下鉄・トラム・バスの車内で、背中のチャックを後ろから開けられて財布やパスポートを抜かれる被害が最頻発。
対策は単純で、乗車前にリュックを前に抱える。チャックに小型南京錠やカラビナをつける。これだけで組織スリのターゲット優先度はかなり下がります。総領事館が明記する通り、犯人は容易に成果を上げられる対象を探しているだけなので、一手間加えるだけで次の人に流れます。
体験談
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ミラノ日本国総領事館 北イタリア安全対策情報 2026年1-3月)
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ミラノ日本国総領事館 北イタリア安全対策情報 2025年10-12月)
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ミラノ日本国総領事館 北イタリア安全対策情報 2026年1-3月)
Travel Alert 04
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手口早見表
| 場所 | 手口 | 対策 |
|---|---|---|
| ドゥオーモ周辺 | 妊娠偽装・子供集団の気そらし | リュック前抱え、声かけ無視 |
| 中央駅・地下鉄 | ドア閉鎖妨害で注意逸らし3人組 | ドアトラブルから視線を外さない |
| 中央駅周辺(深夜) | 集団暴行・ネックレス強奪 | 夜間の徒歩移動禁止、Uber呼ぶ |
| マルペンサ空港・エクスプレス | 荷物整理中/網棚スーツケース盗 | 荷物は座席から目を離さない |
| レンタカー駐車場 | 窓ガラス割り・タイヤパンク誘導 | 車内に荷物を残さない、降車しない |
| ショップ・空港 | クレカすり替え・ニセ警官 | カード提示要求は全拒否 |
| ホテル部屋 | 不在時侵入・金庫窃取 | パスポートは身につけ持ち歩き |
予防策
出発前に準備すること
- シークレットウエストポーチ(服の下)にパスポートと予備カード
- リュックのチャックに小型南京錠またはカラビナ
- クレジットカード会社の24時間緊急連絡先をメモ
- パスポート顔写真ページと航空券をスマホ・Gmail・クラウドの3カ所に保存
- レンタカーの場合は駐車時に車内から荷物を全部出せる運用を決めておく
ミラノ市内での行動ルール
- 地下鉄・トラム・バスではリュックを背中に背負わない。前に抱える
- ドゥオーモ・中央駅・カドルナ駅ではドアの開閉トラブルに気を取られない
- 深夜の中央駅・コルソ・コモ・ナビリオは徒歩で歩かない。Uberかタクシー
- 「タイヤがパンクしている」と声をかけられても運転席から動かない
- 警察官を名乗る人物からの財布・カード提示要求は全て拒否
- 高価な時計・ネックレスは身につけない(総領事館の明記事項)
- ホテルでも貴重品本体は金庫任せにせず身につける
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭った場合の対応
- 盗った相手を追わない。組織犯で反撃・共犯による二次被害の危険
- クレジットカード会社に連絡してカード停止。これが最優先
- 最寄りの警察署で盗難証明書(Denuncia/デヌンチャ)を発行。イタリア国内どこでも可。保険金請求・パスポート再発行・カード再発行のすべてに必要
- パスポートを盗られた場合は在ミラノ日本国総領事館(02-6241141)に連絡。盗難証明書と写真、戸籍謄本が必要
- 海外旅行保険のサポートデスクに連絡。盗難証明書があれば携行品損害を請求できる
GPSタグで場所が特定できても、個人で取り返しに行かないでください。大使館は「個人で取り返しに行くな、警察に相談」と明記しています。複数犯で待ち伏せされているケースもあります。
海外旅行保険の備えについてはヨーロッパ向け保険まとめ、他の手口はミラノの都市ページとイタリアの国ページから確認してください。
よくある質問
ミラノのスリ被害ってどれくらい多いの?
在ミラノ総領事館が2024年に認知した北イタリアでの日本人犯罪被害は122件、うちスリが64件、置き引きが50件で、大半がミラノで発生しています。2026年1-3月の四半期だけでもスリ17件・置き引き14件・ひったくり2件。羽田からミラノへの直行便就航で渡航者が増え、被害も高水準で推移しています。
ミラノで特に危ないのはどこ?
在ミラノ総領事館の「安全の手引き」は、ドゥオーモ周辺・ミラノ中央駅・カドルナ駅・マルペンサ空港・ナビリオ運河周辺を名指ししています。さらに強盗など凶悪犯罪は中央駅付近とコルソ・コモ、ナビリオなどの繁華街で発生。中央駅周辺は深夜・早朝に集団暴行リスクがあるので、夜間の単独行動は避けてください。
ミラノ中央駅で気をつけることは?
混雑した地下鉄でドアの閉鎖を妨げて注意を逸らす3人組のスリ(2026年1-3月報告)、駅スロープで後方から勢いよくスーツケースに衝突されてポケットとリュックから抜かれるひったくり(同期)が発生しています。深夜帯は集団暴行で財布を強奪される強盗致傷事件もあり、夜の中央駅周辺は地下鉄出口から直接タクシーかUberに乗り換えるのが安全です。
レンタカーで観光する時の注意点は?
在ミラノ総領事館は車上狙いを明記しています。飲食店駐車場で窓ガラスを割られる被害、「タイヤがパンクしている」と声をかけられ降車して確認中に車内の貴重品を盗まれる手口が典型です。ミラノ市内の路上には窓ガラスが割られた車が散見されるほど頻発。車内に荷物を一切残さず、パンク指摘には運転席から動かず警察に通報してください。
被害に遭ったらどうすればいい?
クレジットカード会社に連絡してカード停止、その後最寄りの警察署(国家警察113/統一番号112)で盗難証明書(Denuncia)を発行してもらいます。パスポート再発行と保険金請求の両方に必要です。パスポートを盗られた場合は在ミラノ日本国総領事館(02-6241141)に連絡。GPSタグで場所が特定できても個人で取り返しに行かず、警察に相談してください。