2026年1-3月だけで在伊大使館に届いた日本人の被害は52件。うちスリが25件で最多。「大学生等の卒業旅行シーズンということもあり、20代前半の来伊邦人数が多く、それに比例して軽犯罪被害に遭った上記年代の方が多数報告」と大使館は書いています。つまりローマでスリに遭うのは、バックパッカーでも海外慣れした人でもなく、初めての海外旅行で浮かれた20代です。
2025年通年では4四半期合計182件、「2日に1件の割合で日本人が被害」。しかも大使館に報告するのは一部だけ。実態はこの何倍もあります。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
駅エレベーターのQRコード誘導は新手口
2026年1-3月の四半期レポートで大使館が強く注意喚起しているのが駅のエレベーター。これまでの「観光地で声をかけられる」パターンとは別系統の新しい手口です。
改札を通ろうとしたところ、女性に声をかけられ、キャリーケースを持っていたら改札に入れないと言われ、近接したエレベーターに連れ込まれた。QRコードを読み込むよう促され、困惑している間にショルダーバッグから貴重品ポーチを抜き取られた
別事例では駅のエレベーター内で女性2人組に異常に密着され、後で鞄の中のパスポート・現金・カード類を全て抜かれていたケースもあります。共通するのは「駅員ではない人物に誘導される」点。テルミニ駅などの大きな駅では、本物の駅員は制服を着ていて、エレベーターに一緒に乗って案内したりはしません。声をかけてきた時点で怪しいと思ってください。
地下鉄とバス車内、リュック背負ってたら確実に開けられる
外務省の安全対策基礎データは、地下鉄車内のスリを3パターンに分類しています。
- 満員電車で押されている間にポケットから抜かれる
- 病院の最寄り駅を聞いて気をそらす
- 浮浪者風の子供の集団が新聞紙を広げて近寄り、気をそらせる
2025年4-6月の大使館レポートはさらに踏み込んで「公共交通機関(バス、地下鉄、トラム)の利用中や、駅構内でのスリ被害が最も多く、リュックを背負っている状態で気づかぬ間にチャックを開けられて被害に遭うというケースが多発」と書いています。ローマの地下鉄とバスではリュックを背中に背負わない。これは守ったほうがいい。前に抱えるか、チャックにカラビナや小型南京錠をつけておく。
2025年10-12月には満員地下鉄で「ジャケットの内ポケットに入れていたパスポート、現金及びクレジットカードをスリに遭った」事例もあります。内ポケットも安全ではありません。貴重品はシークレットウエストポーチに入れて服の下。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
トレビの泉「写真撮ってあげる」で一式持っていかれる
2025年7-9月の大使館レポートから、トレビの泉での事例。
数人の女性から「写真を撮ってあげる」と声をかけられ撮影してもらっている間に、バッグからパスポート等が入ったポーチを抜き取られた
トレビの泉・コロッセオ・スペイン広場・バチカン・ナヴォナ広場は外務省が名指ししている観光地スリのホットスポット。写真撮影の申し出は原則断る。撮ってほしければ、明らかに旅行者とわかる家族連れに頼んだほうが安全です。
同エリアでは「スペイン広場、コルソ通り、トレビの泉、コロッセオ、ナヴォナ広場付近等」でミサンガを強引に手首に巻き付けて法外な代金を請求する押し売り(詳しくはローマの詐欺・ぼったくり記事で触れています)も発生していて、手口が組み合わさることもあります。
ファストフード店・ホテル朝食の置き引きは「座った瞬間」
外務省は置き引きの手口を「目の前で故意に物や小銭を落とす、アイスクリーム等を衣服につける、話しかける等して被害者の注意を引き付けているすきに被害者の荷物を盗む」と説明しています。
2025年10-12月の大使館レポートでは、ファストフード店で「複数人(3人組)に話しかけられて注意を逸らされている間に、自身の近傍に置いてあった鞄をスリに遭った」事例が報告されています。マクドナルドやスターバックスで椅子の背もたれに鞄をかける、床に置く、隣の椅子に置く——これを全部やめる。食事中は鞄を膝の上か足で踏む。
ホテル部屋の盗難は「外出中」と「セーフティボックス」両方
外務省データは「ローマ市やミラノ市など大都市のホテルでは、日本人観光客が盗難被害に遭うケースが散見」「宿泊客になりすました者にセーフティーボックスから金品を窃取」と明言しています。
2025年10-12月には「宿泊先ホテルの部屋にクレジットカードや現金等の物品などを残置し、外出している最中に何者かが部屋の中に入りその物品を盗難」された事例も。つまり、部屋に置いても、金庫に入れても、両方狙われる。パスポートと現金の本体は常に身につけて持ち歩くのが最善。置いていくなら分散させて、全額失っても旅行が続行できる状態にしておきます。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
列車の棚持ち上げ手伝いは犯行の合図
外務省データは列車内の窃盗を「列車の発車間際に故意にぶつかる、荷物を棚に持ち上げるのを手伝うなどで注意を引き付けているすきに、仲間に貴重品の入った手荷物を盗ませる」と記述しています。
イタリアの列車は改札がない駅が多く、「車内に不審者が比較的入り込みやすい」構造。ローマ〜フィレンツェ、ローマ〜ナポリなどの長距離特急(フレッチャロッサ等)でも被害が出ています。荷物棚に上げるのは自分でやる。手伝いを申し出られたら断る。睡眠中も貴重品は身につけておく。
同じ列車・駅での仕込みから親しげな声かけが詐欺に発展する流れ、さらに飲食物を勧められて意識を失う睡眠薬強盗にもつながるため、スリ対策だけで油断しないでください。北上してミラノのドゥオーモ・中央駅でも同系統の組織スリが多発しています。
フィウミチーノ空港近くのレンタカーは窓が割られる
2025年4-6月の大使館レポートは車上荒らしにも触れていて、「ローマ市内やフィウミチーノ空港近傍のアウトレットに駐車していたレンタカーの窓ガラスが割られ」と具体的に記載されています。
空港到着後にレンタカーを借りて、そのままフィウミチーノ空港近傍のアウトレットに立ち寄る動線は多いですが、車内にパスポート入りのスーツケースを置いたまま数時間買い物すると、窓ガラスを割られて全部持っていかれます。車内に何も残さないを徹底。
体験談
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在イタリア日本国大使館 邦人援護状況 2026年1-3月)
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在イタリア日本国大使館 邦人援護状況 2025年7-9月)
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(イタリア))
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
手口早見表
| 場所 | 手口 | 対策 |
|---|---|---|
| 駅エレベーター | QRコード読み込み誘導/密着 | 駅員以外の声かけに従わない |
| 地下鉄・バス車内 | リュックのチャックを後ろから開ける | 前に抱える、貴重品は服の下 |
| トレビの泉等観光地 | 「写真撮ってあげる」で接近 | 撮影依頼は断る |
| ファストフード・カフェ | 話しかけられ気を逸らされる | 鞄は膝の上か足で踏む |
| 長距離列車 | 荷物棚持ち上げ手伝い/発車間際の衝突 | 手伝いを断る、棚は自分で上げる |
| ホテル部屋 | 外出中の侵入/金庫からの窃取 | 貴重品は身につけて持ち歩く |
| 空港近くアウトレット駐車場 | レンタカーの窓割り | 車内に荷物を残さない |
予防策
出発前に準備すること
- シークレットウエストポーチ(服の下に入れるタイプ)を買う。パスポートと予備カードはここ
- リュックのチャック用に小型南京錠かカラビナを用意
- クレジットカードと現金を最低2カ所に分散する(ウエストポーチ+小銭入れ+ホテル金庫)
- パスポートの顔写真ページと航空券をスマホ・Gmail・クラウドの3カ所に保存
ローマ市内での行動ルール
- 駅員以外の「案内してあげる」「改札に入れない」には絶対に従わない
- 地下鉄とバスではリュックを前に抱える。背中に背負わない
- トレビの泉・コロッセオ・スペイン広場等の観光地で「写真撮ってあげる」と声をかけられたら断る
- カフェやマクドナルドで鞄を椅子の背や隣の椅子に置かない
- ホテルでも貴重品本体は金庫任せにせず身につける
- レンタカーの車内に荷物を残したまま駐車しない
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭った場合の対応
- その場で盗った相手を追わない。複数犯なので反撃される
- 警察(112または113)に連絡して盗難証明書(Denuncia/デヌンチャ)を発行してもらう。保険・パスポート再発行・カード再発行の全てに必要
- クレジットカード会社に連絡して利用停止(24時間対応の国際電話番号を出発前に控えておく)
- パスポートを盗られた場合は在イタリア日本国大使館(06-487991)に連絡。盗難証明書と写真、戸籍謄本(日本から郵送)が必要
- 海外旅行保険に加入している場合はサポートデスクに連絡。盗難証明書があれば携行品損害の保険金請求ができる
GPS機能付きのタグ(AirTag等)で場所が特定できても、個人で取り返しに行くのは危険です。大使館は「個人で取り返しに行くな、警察に相談」と明記しています。
海外旅行保険の備えについてはヨーロッパ向け保険まとめ、他の手口はローマの都市ページとイタリアの国ページから確認してください。
よくある質問
ローマのスリはどれくらい多いの?
在伊大使館に報告された日本人の被害は2026年1-3月の四半期だけで52件、うちスリが25件で最多でした。2025年通年でも4四半期合計182件にのぼり、「2日に1件の割合で日本人が被害」という水準です。大使館に報告していない被害も多いため、実態はさらに多いと考えられています。
ローマで一番スリに遭いやすい場所はどこ?
外務省が名指ししているのはテルミニ駅・地下鉄車内・空港・バチカン・サンピエトロ寺院・スペイン広場・コロッセオ・トレビの泉・バルベリーニ広場・真実の口です。2026年1-3月のレポートでは、駅のエレベーター内でのスリが新しい注意喚起として追加されました。
駅のエレベーターでのスリって具体的に何されるの?
在伊大使館によると、「キャリーケースを持っていたら改札に入れない」と嘘を言われてエレベーターに誘導され、そこでQRコードの読み込みを促されて気を取られている間に貴重品を抜かれる手口です。別事例では女性2人組に異常に密着されて鞄の中のパスポートと現金を抜かれています。駅員以外の声かけには従わないでください。
ホテルの部屋に荷物を置いて出かけても大丈夫?
ローマ市内のホテルで、外出中に部屋に侵入されて現金やクレジットカードが盗まれた事例が2025年10-12月に報告されています。セーフティーボックスに入れても、宿泊客になりすました者が金品を抜き取る事例が外務省データにも記載されています。パスポートと現金は身につけて持ち歩くのが基本です。
被害に遭ったら警察にどう届け出ればいい?
警察(112または113)で盗難証明書(Denuncia/デヌンチャ)を発行してもらいます。保険金請求・パスポート再発行・クレジットカード再発行のすべてに必要な書類です。テルミニ駅など主要駅には警察出張所があり、英語で対応してもらえる場合が多いです。パスポートを盗られた場合は在伊大使館(06-487991)にも連絡してください。