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モスクワの医療 制裁でカード停止・全額立替【2026】

モスクワの医療・感染症の手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

モスクワの医療事情は、2022年以降の経済制裁で質と支払い両面で複雑化しています。一般診療レベルは確保されているものの、欧米系クリニックでの治療費は極めて高額、保険会社のキャッシュレス対応は限定的、緊急移送は煩雑——というのが現地滞在者の実情です。

このページは在ロシア日本国大使館「モスクワ滞在上の注意点」(2024年7月版)と外務省「安全対策基礎データ」「世界の医療情報」を一次ソースに、業務渡航者向けの実務ガイドをまとめました。

モスクワは外務省レベル3対象

本記事は業務・帯同等で「真にやむを得ず」滞在する方向けの実務情報です。観光目的の渡航は控えてください。

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キャッシュレス停止と全額立替の現実

外務省「安全対策基礎データ」より。

ロシア国内の欧米系のクリニックでの治療費や移送費は極めて高額のため、補償範囲の広い海外旅行保険に加入しておくことをおすすめします。また、本邦への転院や緊急移送の際には、煩雑な手続きや高額な費用を請求されることが予想されますので、手続きの代行や病気、傷害等に対する金銭面での対応をカバーする保険に加入していれば、緊急の事態にも対処できます。

ここで重要なのが、経済制裁下で日本のクレジットカード(VISA/Mastercard/JCB)がロシア国内で使えないこと。大使館より。

経済制裁により、日本等で発行された国際クレジットカード(VISA、Master 等)は使用できませんので、ご留意ください。

つまり、

  1. 病院窓口で現金(ルーブル)またはロシア製Mirカードで全額立替
  2. 領収書を保管して帰国後に保険請求
  3. 緊急移送が必要な場合、保険会社の対応がロシアからは限定的

100万円規模の現金を瞬時に動かす必要がある」というのが、ロシアでの医療リスクの本質です。

既往症再発時の保険適用外問題

なお、保険に加入した旅行者が既往症の再発により入院したものの、保険適用を受けられず、入院費を自己負担した例がありました。保険をかけても、既往症やケンカなどの危険行為に起因する場合は、保険約款の「免責条項」に該当して、保険金が支払われないこともありますので、十分注意してください。

慢性疾患持ちの渡航者は、渡航前にかかりつけ医での診察記録、処方薬の十分な持参、保険約款の免責条項確認を必ず実施してください。

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モスクワで予防的に持参すべきもの

大使館「モスクワ滞在上の注意点」の緊急時備品リストより。

家族用常備薬・常用薬・外傷薬・衛生綿、包帯、絆創膏等。

しばらく自宅待機する場合も想定して、麺類・米・パン等主食、調味料、缶詰類、インスタント食品、粉ミルク等の保存食及び飲料水を家族全員で10日程度生活できる量

医薬品については外務省「安全対策基礎データ」より。

留学や就労などで長期滞在される成人の場合、破傷風、A型およびB型肝炎の予防接種をおすすめしています。これらのワクチンはロシア国内でも接種は可能ですが、衛生上の問題や万一副作用が生じた場合の補償も不明確なことから、予防接種は日本国内で済ませておくことをおすすめします。

つまりワクチン・常備薬は全部日本で済ませるが安全策です。

モスクワでかかりやすい病気

季節性のリスク。「安全対策基礎データ」より。

風土病等特殊な病気は都市部にはほとんどありませんが、冬季は、気温の変動が大きいので鼻咽喉部を痛めやすく、また、外出の際に帽子を着用しないと冷気で頭痛をおこしやすくなります。4~5月頃には花粉が舞い、アレルギー性鼻炎、結膜炎が多発します。

冬期は -20℃ 以下が普通になるので、帽子・手袋・防寒着を持参。乾皮症対策の保湿剤も役に立ちます。

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緊急時の電話番号

  • 救急車: 103
  • 統一緊急ダイヤル: 112(英語対応可能な場合あり)
  • 在ロシア日本国大使館(24時間): +7-495-229-2550 / 2551

緊急時にロシア語が話せない場合、112で英語対応を要請するのが第一手段。同時に大使館にも連絡を入れて、医療機関の選択・通訳手配のサポートを受けてください。

病院で使うロシア語フレーズ

大使館「モスクワ滞在上の注意点」が掲載している実用フレーズ。

Позвоните в Посольство Японии! 日本国大使館に電話してください パズヴァニーチェ フ パソーリストヴォ ヤポーニィ

このフレーズだけでも覚えておくと、警察・病院で大使館連絡を依頼するときに使えます。

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モスクワの医療機関の選び方

外務省「世界の医療情報」(モスクワ・サンクトペテルブルク)には日本人滞在者向けの医療機関情報がまとまっています。基本的には、

  • 欧米系プライベートクリニック — 英語対応可、料金高額、外来〜中等度の症状向け
  • モスクワ市立病院 — 料金は安いがロシア語のみ、緊急処置向き
  • 重症・手術・長期入院 — 一時帰国を強く推奨

仮に手術や入院治療が必要になった場合は、日本へ一時帰国することが安心であり、緊急時に備え、緊急移送費や通訳費用も保険対象となる海外旅行保険等に加入されることを強くお勧めします。

これは在ユジノサハリンスク総領事館の手引きですが、ロシア共通の方針です。

制裁下の医薬品入手難

ロシアでは欧米系医薬品の供給が不安定になっており、慢性疾患の常用薬は入手できない可能性があります。対策。

  • 渡航前にかかりつけ医に相談、長期分の処方を受ける
  • 万が一足りなくなる場合に備え、一時帰国のスケジュールを保持
  • 同じ成分のロシア国内代替薬を事前にリサーチ

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まとめ

  • 国際カード使用不可で全額現金立替が前提、保険キャッシュレスは限定的
  • 既往症・既往疾患の再発は保険免責リスク、約款を事前に必ず確認
  • ワクチン・常備薬は渡航前に日本で済ませる
  • 重症・手術・長期入院は日本一時帰国を最優先で検討
  • 緊急時は112(英語可)/救急車103/大使館 +7-495-229-2550
  • 制裁下で欧米医薬品の入手不安定、慢性疾患薬は十分な日数分持参

詳細な国情報はロシアの治安モスクワ全体、保険はヨーロッパで使える海外旅行保険まとめでどうぞ。

よくある質問

海外旅行保険のキャッシュレス対応はモスクワで使えますか?

2026年時点で、日本の主要保険会社の多くはロシアからの引揚げ・支払代行を停止しています。「いったん全額立替→帰国後請求」を前提に資金準備が必要です。欧米系クリニックの治療費は極めて高額のため、補償範囲の広い保険加入は必須です。

モスクワで信頼できる医療機関は?

外務省「世界の医療情報」によれば、モスクワ・サンクトペテルブルクには欧米系の私立クリニック(European Medical Center 等)が複数存在し、日本語または英語対応可能な施設もあります。ただし制裁下で支払い・移送の手続きが煩雑化しているため、事前に保険会社・大使館に相談を推奨します。

持参すべき医薬品はありますか?

大使館は「家族用常備薬・常用薬・外傷薬・衛生綿・包帯・絆創膏」のほか、慢性疾患の処方薬は十分な日数分を持参するよう推奨しています。制裁下のロシアでは欧米系医薬品の入手が不安定で、必ずしも同じ薬剤が手に入るとは限りません。

出典

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