モスクワはロシアの首都であり、ビジネス・行政・文化のすべてが集中する都市です。ただし2022年以降、外務省はモスクワ含む全土をレベル3(渡航中止勧告)に指定し、2024年3月にはモスクワ州クラスノゴルスク市でクロッカス・シティーホール銃撃テロ(死者145人)が発生しました。観光客がいる場所はテロの第一標的、というのが現地の常識です。
このページは「それでも仕事や帯同で行かなければならない人」向けに、在ロシア日本国大使館「モスクワ滞在上の注意点」(2024年7月版)から押さえるべき要点を整理したものです。
モスクワは外務省レベル3(渡航中止勧告)
2025年9月12日付の外務省危険情報で、モスクワ市はレベル3「渡航は止めてください(渡航中止勧告)」が継続中です。観光目的の渡航は控えるべき水準です。本記事は業務・家族の事情で渡航する人向けの実務ガイドです。
Travel Alert 01
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モスクワの犯罪統計(2023年)
在ロシア日本国大使館「モスクワ滞在上の注意点」より、モスクワ市と東京都の比較。
モスクワ市では一般犯罪も東京に比べると多発しており、銃器を用いた殺人事件や暴行事件も発生しています。殺人:160 件(東京都 94 件)、強盗:1,342 件(東京都 235 件)、窃盗:44,442 件(東京都 59,888 件)。
殺人は東京の約1.7倍、強盗は5.7倍。銃器を使った犯罪が普通にあるレベル、と理解しておく必要があります。
クロッカス・シティーホール銃撃テロ(2024年3月)
2024 年 3 月 22 日、モスクワ州クラスノゴルスク市のコンサート会場「クロッカス・シティー・ホール」において銃撃テロが発生しました。ロシア政府は本件について実行犯らを拘束するなど捜査を進めています。また、「イスラム国」(IS)が犯行声明を出し、ロシア領内での攻撃を今後も続けるとの警告をしました。
外務省「テロ・誘拐情勢」によれば最終的な死者は145名。大使館はこう続けます。
依然として、テロの脅威が続いています。特に、不特定多数が集まるイベント、公共交通機関、大型商業施設などを利用する際には、引き続き周囲への警戒が必要です。
過去の大型事案も振り返っておきます。
- 2010年3月29日: 地下鉄「ルビャンカ」駅と「パルク・クリトゥールィ」駅で連続自爆テロ。実行犯はダゲスタン共和国出身の女性2人
- 2011年1月24日: モスクワ南部のドモジェドヴォ空港の国際線到着ロビーのカフェ付近で爆発、外国人を含む37人死亡・170人負傷
大使館が「テロの可能性がある」と挙げているのは、地下鉄・鉄道駅・空港・水利施設・石油精製工場、スタジアム・大型スーパー・著名な広場(プーシキン広場・マネージ広場・戦勝記念公園・アルバート通り等)・大規模レジャー施設・ディスコ・コンサート会場・ゲームセンター・劇場・映画館。観光資源と100%重なるのがモスクワのテロ警戒地点です。
Travel Alert 02
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無人機の飛来(モスクワシティ)
ロシア国内への無人機の飛来が見られます。特にモスクワでは 2023 年 7 月から 8 月にかけて複数回にわたり「モスクワシティ」に無人機が飛来し、高層ビルの一部が損壊するなどの被害が出ています。
モスクワシティはモスクワ中心部の高層ビル群で、外資系オフィスやホテルが多数入っています。「直撃しないだろう」とは言えない場所になっているのが2026年の現実です。
邦人被害事例(窃盗・暴行)
大使館「モスクワ滞在上の注意点」に記録されている邦人被害例。
繁華街付近の地下道内で肩にかけていたバッグから財布が盗まれた。
地下鉄環状線の車両内で、後ろポケットに入れていたスマートフォンが盗まれた。
レストランで食事中、自分の椅子の下に置いておいたバッグが盗まれた。
大型スーパー「アシャン」で買い物中、買い物カートに置いてあったかばんの中から財布を盗まれた。
ショッピングモール等でのイベントで、イベントに注意を向けていたところ、バッグから貴重品が盗まれていた。
暴行事件のパターン。
地下鉄駅から深夜帰宅しようとしたところ、二人組の男性から声をかけられた。無視して通り過ぎたが、自宅到着間際に後ろから羽交い締めにされ、鞄を盗まれた。
深夜、地下鉄駅から自宅まで徒歩で帰宅途中、公園前を通過中、いきなり3人組の若者から殴る蹴るの暴行を受け、現金、携帯電話が入っていたバッグを盗まれた。
深夜、タクシーに乗り自宅近くで下車、数百メートルを歩いて自宅アパート敷地入口まで来たところで、背後から2人組の男にナイフで脅され、バックをひったくられそうになって抵抗したところ、ナイフで手を切りつけられ重傷を負った
深夜・公園前・自宅近くの徒歩区間が3大危険ゾーン。タクシーも自宅前まで乗り付けるのが安全策です。
不良警察官・偽警官の罰金詐欺
赤の広場周辺で頻発するのがこれ。
赤の広場付近で警官 2 名に声をかけられた。パトカーに乗せられ所持品のチェックをした後、滞在登録に不備があり、不法滞在者であると言われ現金の支払いを要求され、支払わなければ刑務所に行くことになると恐喝された。
シェレメチェヴォ空港にて帰国のフライトに搭乗すべく、出国手続を終えセキュリティーチェックを受けていたところ、2人組の警官に旅券等の提示を求められ、到着通知に不備があるとして、その場で「罰金」と称する現金の支払を要求された。邦人が到着通知に不備はないとして支払を拒否したところ、警官はあきらめて同人を解放した。
大使館の指針はクリアです。
いかなる事情があろうとも、警察官が現場で罰金(現金)を要求することは認められていません。そのような行為に遭遇した場合には、支払を拒否するとともに、不良警官を特定するため氏名、階級、所属先等をメモし、休日・深夜を問わず、直ちに大使館に御連絡願います。
詳細はモスクワの偽警官・両替詐欺で扱ってます。
Travel Alert 03
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落とし物詐欺・偽札(典型的な詐欺パターン)
クレムリン付近の道路を歩いていた際、前を歩いていた人物がドル紙幣入りのビニール袋を落としたがそのまま無視して通り過ぎたところ、同人の直ぐ後ろを歩いていたロシア人が同袋を拾い上げ落とし主に手渡した。突然警官らしき人物が現れ、邦人に対し、金を盗んだのではないかと言いがかりをつけ、財布の中身を見せるよう要求してきたので見せたが、後になって確認したら、4万円相当の現金が盗まれていた。
タクシーを利用した際、お釣りとして受け取った複数の 100 ルーブル札紙幣が精巧な玩具紙幣であった。
「他人が落とした物を絶対に拾わない・触らない」が現地ルール。
ホテル滞在の防犯ポイント
大使館「モスクワ滞在上の注意点」から。
ホテルによっては、見知らぬ女性から直接、客室に誘いの電話が入ることもあります。邦人被害の報告も寄せられていますので誘いに乗らないことが大切です。
室内で休むときは必ずドアを施錠し、忘れずにドアチェーンも掛けてください。また、部外者の訪問に際しては相手の身分を確認し、ドアチェーンを掛けたまま話すなど細心の注意が必要です。
「ホテル客室への女性からの誘い電話」は古典的な強盗・薬物盛り手口。詳細はモスクワの睡眠強盗・抱きつき強盗でも扱います。
タクシー利用の注意
タクシーを利用する場合、Yandex などのタクシーアプリ利用をお勧めします。特に、空港で客引きをしているタクシーでのぼったくり被害が多数報告されていますので、これらの利用は控えましょう。
ロシアでは Yandex Taxi が事実上の標準。空港の客引きタクシー(白タク)は乗らない、が鉄則です。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
モスクワの交通事情
モスクワでは、慢性的な渋滞が発生しており交通事情はよくありません。道路標示や交通標識はおおむね日本と同じですが、左折が禁止された交差点が多く、また、青信号でも矢印信号によらなければ交差点の右左折ができない場所もあるため、交通法規を熟知していないと運転しにくい状況となっています。
歩行者として注意すべきは、青信号でも安全確認してから渡ること。冬季はヘッドライト汚れと路面凍結で視界も悪いです。
退避先(緊急時)
大使館が指定している避難先候補。
- 在ロシア日本国大使館(地下鉄プロスペクト・ミーラ駅徒歩10分/スハレフスカヤ駅徒歩15分/コムソモリスカヤ駅徒歩15分)
- モスクワ日本人学校(地下鉄ウニベルシチェト駅/ノーヴィエチェリヨムシュキ駅)
- 空港: シェレメチェヴォ/ドモジェドヴォ/ヴヌコヴォ
陸路退避ルートはサンクトペテルブルク経由フィンランド、またはエストニア・ラトビアが想定されています。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
まとめ
- モスクワは外務省レベル3、観光資源とテロ警戒地点が完全に重なる
- 2024年クロッカス銃撃テロ(死者145人)以降も無人機飛来・テロ計画摘発が継続
- 邦人被害は地下鉄スリ・深夜暴行・偽警官罰金詐欺の3大パターン
- 警察の現場現金要求は100%違法、その場で大使館に連絡
- タクシーは Yandex 一択、空港の客引きには絶対乗らない
- 在留届・たびレジ登録、退避ルート(フィンランド・バルト3国)の事前確認
各トラブル別の詳細はモスクワのスリ・置き引き / モスクワの詐欺・偽警官 / モスクワの睡眠強盗・暴行 / モスクワの医療事情 でどうぞ。
この都市のトラブル別ガイド
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