ウラジオストクは沿海地方の中心都市で、日本から飛行機で2時間半(侵攻前の航路)という近さから、かつては「最も近いヨーロッパ」として日本人観光客に人気の場所でした。2022年以降は外務省レベル3(渡航中止勧告)下にあり、直行便は停止しています。ただし対日感情は伝統的に良好で、日本人だからという理由で被害に遭う事案はほぼ発生していないのが特徴です。
このページは在ウラジオストク日本国総領事館「安全の手引き」(2025年3月版)から、業務渡航・帯同で滞在する人向けの情報をまとめました。
ウラジオストクは外務省レベル3(渡航中止勧告)
モスクワと同じく、ウラジオストク市を含む沿海地方全域がレベル3「渡航は止めてください」が継続中です。観光目的の渡航は控えるべき水準です。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
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犯罪統計:日本の3倍超
総領事館の手引きから。
当地の犯罪発生率は日本国内と比較すれば 3倍以上の高さであり、治安水準が高いとは言えません。
2024年の当館管轄地域における犯罪登録件数は、沿海地方及びカムチャツカ地方は前年比微増、マガダン州は前年比微減となりました。いずれの地域も、中期的な犯罪発生率は横ばい傾向であり、日本と比べると高い(3倍以上)ことから、防犯対策には十分配意する必要があります。
沿海地方の犯罪登録件数の約 1/3 が特殊詐欺等の IT 技術を用いた犯罪です。約 1/4 が窃盗事件で、窃盗被害品の約 1/4 が携帯電話となっています。また、約 1/4 が再犯者による犯行で、約 1/4 が路上・広場や公園等の公共の場所で発生しています。
特殊詐欺3分の1・窃盗4分の1(うち携帯狙い4分の1)が沿海地方の犯罪構造。さらに「銃器や刃物を使用した犯罪が散見」「薬物犯罪関連の事件も深刻」とあり、表面の対日感情の良さとは裏腹に、地元犯罪のレベルは日本より明らかに高いです。
邦人被害事例
総領事館に記録されている邦人被害例(一部抜粋)。
2018 年 6 月 2 日、ウラジオストク市フォーキナ通りで、日本人観光客が鞄から財布を盗まれる被害が発生した。警察は 30 歳の男を逮捕した。
2018 年 8 月 16 日、ウラジオストク市セミョノフスカヤ通りに所在するショッピングセンターにおいて、日本人観光客の女性がスマートフォンを盗まれる事件が発生した。被害者は、買い物を終えて出入口付近で荷物の整理中、背中側に掛けていたショルダーバッグのファスナーが開けられ、中からスマートフォンが盗まれた。
2019 年 4 月 10 日、ウラジオストク市アレウツカヤ通りで、日本人観光客が詐欺の被害に遭った。被害者が通行中、目の前で財布を落としたロシア人から金を盗んだだろうと因縁を付けられ、自分の財布を確認させている間に現金を盗まれた。同様の事件は 8 月にも数件発生している。
2019 年 10 月 23 日、ウラジオストク市内からトカレフスキー灯台へ向かうバス車内で、日本人観光客が財布を盗まれる被害が発生した。被害者は混雑していたバス車内で、鞄を肩から掛けていたが、いつの間にか鞄のチャックが開けられ財布を盗まれた。
2020 年 2 月 19 日、ウラジオストク市内のケーブルカー終点付近において、日本人観光客の女性が 5 人以上の若いロシア人男性に囲まれ、両替を強制された上で偽札を掴まされた。
フォーキナ通り・セミョノフスカヤ通り・アレウツカヤ通り・トカレフスキー灯台・ケーブルカー終点が邦人被害多発エリアと読み取れます。観光ガイドに載るスポットそのままです。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
取り囲み両替詐欺(観光地で多発)
ウラジオストク特有の手口がこれ。「5人以上の若いロシア人男性に囲まれ、両替を強制され偽札を掴まされる」というパターン。
対策はシンプルで、
- 両替は必ず公認の両替所で実施(路上・観光地での両替は絶対NG)
- 取り囲まれたら抵抗せず、その場から離脱を最優先(複数人を相手に交渉しない)
- 被害後は速やかに総領事館に連絡
落とし物詐欺(2019年4月の事案)も典型パターンで、「他人が落とした物を一切拾わない・触らない」が現地ルール。
邦人以外の外国人事案——強盗・暴行
総領事館に記録されている事案。
2018 年12月14日の夜、ウラジオストク市内スポーツ湾ナーベレジュナヤ通りでインド人観光客が強盗事件の被害に遭った。カフェでインド人 2人が地元住民 2人とトラブルになり、インド人が店の外に出たところ、犯人が 2人を追いかけ殴りかかりスマートフォンを奪って逃走した。
2023 年2月中旬の夜、ウラジオストク市コヴァリチュク通りの路上で 31歳の外国人男性(国籍非公表)が強盗に襲われる事件が発生した。強盗は同外国人男性に暴行を加えてけがを負わせ、貴金属、携帯電話及びキャッシュカードを奪って逃走した。
夜間の路上強盗が外国人を狙う事案として確認されてます。夜間の単独行動を避けるのが基本です。
国境区域・軍事施設立入禁止
ウラジオストクは沿海地方にあり、ロシア軍関連施設が点在することに注意が必要です。
沿海地方(ウラジオストク市を含む行政区域)には軍事閉鎖都市、軍事立入禁止区域が点在しているので注意が必要です。また、軍の敷地(主に郊外に位置し、鉄条網等で区画されて、標識や黒字の看板に黄色文字でロシア語を記載したものが設置されている場所)内への立入りも禁止されています。
ロシアでは、他国との国境周辺に立ち入りを制限する「国境区域」が設けられています。国境区域に立ち入るためには、「国境制度規則の承認に関する連邦保安庁令」の定めにより、国境警備当局が発行する許可証が必要です。
軍事施設の写真撮影も処罰対象。総領事館はこう書いてます。
市内における写真撮影に特段の問題はありませんが、鉄道、空港施設、警察官や軍事施設を被写体とすることは避けたほうがよいでしょう。
鉄道・空港・警察・軍を含む写真は撮らない、が安全策。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
ホテル・住居の防犯
ドアを開ける前に相手を確認することを忘れず、普段から施錠を徹底するように心掛けてください。
外出する際、室内に貴重品をそのまま置いておくことは危険です。常に身に着けておくようにしてください。
外国人が安心して居住できる住居が少なく、停電や断水、夏期の給湯中断等もあるため、居住環境には厳しいものがあります。
ウラジオストクは外国人向け物件が極めて少なく、居住環境のインフラ面での厳しさもリスク要素として加算しておく必要があります。
ダニ脳炎の予防接種
極東・シベリア共通のリスク。外務省「安全対策基礎データ」から。
極東・シベリアでは、春先から夏季にかけて森林・草原に入ってダニ(マダニ)に刺されると、非常に危険なダニ脳炎にかかるおそれがあるので、そのようなことが予定される場合にはダニ脳炎の予防接種を受けておくことをおすすめします。
ウラジオストク郊外でハイキング・釣り・キャンプを予定する人は、渡航前にダニ脳炎ワクチンを済ませておいてください。
Travel Alert 04
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反戦集会・SNS発信の取締り
2021 年には市内中心部で反政権活動家等による抗議集会が開催され、多数の参加者が当局に拘束される事態が発生しました。また、2022 年 2 月に始まったロシアによるウクライナ侵略を受け、当地においても反戦集会などによる拘束者が出ています。これらデモや集会に遭遇した場合、無用なトラブルを避けるためにも、興味本位で近づかず、現場から離れるようにし、自身の安全確保に努めてください。
ロシアによるウクライナ侵略に関連し、反戦集会の呼びかけや対露制裁の支持等を行った者に対する当局の取り締まりが行われています。SNSによる投稿や書き込みも取り締まり対象となります。当地から情報発信する際には十分内容を検討するよう心掛けてください。
ウラジオストク滞在中はSNS発信ゼロを徹底してください。
緊急連絡先
- 在ウラジオストク日本国総領事館: +7-423-226-7481 / 226-7558
- 住所: Verkhne-Portovaya st., 46, Vladivostok, 690003
- 警察: 102 / 救急車: 103 / 消防: 101 / 統一: 112
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
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まとめ
- ウラジオストクは外務省レベル3、対日感情は良好だが犯罪率は日本の3倍超
- フォーキナ通り・セミョノフスカヤ通り・ケーブルカー終点等の観光地で邦人スリ・取り囲み両替詐欺が多発
- 軍事関連施設・国境区域への立入りは厳禁、軍・警察・空港の写真撮影も避ける
- 春〜夏のダニ脳炎予防接種、夜間の単独外出禁止、Yandex Taxiの利用が基本
- 反戦集会への近接・SNS発信は当局取締り対象、滞在中は徹底自粛
国記事はロシアの治安、保険はヨーロッパで使える海外旅行保険まとめでどうぞ。
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