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アンマンの医療 密造酒メタノール死亡と赤痢多発【2026】

アンマンの医療・感染症の手口や予防策、被害時対応を、外務省と在外公館の事例からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.04.27 KAIGAI-RISK

ヨルダンの医療水準は中東の中では比較的高くて、アンマンは医療ツーリズムの中心地としても売り出されている。ただし旅行者にとっての健康リスクは「病気にならない」ことが前提で、なってからは前払い制で医療費が桁違いという現実。さらにヨルダンには日本ではほぼ遭遇しない密造酒のメタノール混入、皮膚リーシュマニア症、ペトラ渓谷の鉄砲水といった固有リスクもある。

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密造酒のメタノール混入死亡事件(2025年7月)

これが一番緊急性の高い注意喚起。在ヨルダン日本国大使館が2025年7月に発出した告知では、ヨルダン国内で違法製造された酒類を飲用したことで死者が出た事件があり、結婚式・パーティ・ナイトクラブなどで「正規流通でない酒類」が出されることがあると警告している。

メタノール(工業用アルコール)が混入していると、少量でも失明・死亡につながる。中東の他の国(イラン、インド等)でも数年に一度大規模な集団中毒事件が起きていて、ヨルダンでも同型の事件が現実に発生している。

対策:

  • ホテル、大手レストラン、正規免税店で買った酒以外は飲まない
  • 結婚式やナイトクラブで「現地ブランド」「ボトル不明」の酒を勧められたら断る
  • 開封済みボトルや出処不明の酒は絶対に口にしない
  • マッチングアプリ・SNS経由で誘われたバーはぼったくりと密造酒の二重リスク

ヨルダンは中東の中では飲酒に寛容な国だけれど、正規流通か否かの見極めが命に関わる。

食中毒・赤痢 --- 夏場は特に

外務省「世界の医療事情」にはこう書かれている。

ヨルダンでは6月から8月を中心に食中毒(感染性胃腸炎)が多発するため、注意しましょう。報道によれば、ヨルダンでは、2022年は18人、2023年には212人がアメーバ性または細菌性の赤痢に感染しました。

2022年から2023年で患者数が10倍以上に増えていて、夏場の食中毒は本気で警戒が必要。基本対策はシンプルだけど守る価値あり。

  • 生水を飲まない(水道水は不可、ボトルウォーター必須)
  • 生卵を摂取しない
  • 屋台や露店の生野菜サラダ、十分加熱されていない肉は避ける
  • 氷もボトルウォーター製でなければ避ける

ヨルダンにおける上水道の整備は不十分で、生活用水は主に配給によって供給されていますが、不衛生な状態で保管されている可能性があることから、ボトルドウォーターの飲用が推奨されます。

アンマンは高地で乾燥していて、汗をかかなくても脱水症が起きやすい。「自分が脱水症を起こしていることに気付きにくい」と外務省も明記しているので、こまめな水分補給を。

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狂犬病 --- 野犬・野良猫に近づかない

報道によれば、ヨルダンでは、年間に0から数例の、ヒトの狂犬病が報告されています。野犬や野良猫には絶対に近づかないで下さい。

数は少ないけれど、狂犬病は発症するとほぼ100%死亡する病気。咬まれた時点では症状がないので、「ちょっと触られた程度」でも油断禁物。

万一咬まれた場合は狂犬病ワクチンの暴露後接種が必要で、ヨルダンでは公立病院でのみ接種可能。アンマンなら Public Al Bashir Hospital(公立病院) へ向かう。私立病院では接種できない、という点が日本人旅行者の盲点。

皮膚リーシュマニア症(地方旅行者向け)

ペトラ、ワディラム、死海など地方を訪れる人は知っておきたいのがこれ。

ハエに刺される事で感染し、皮膚リーシュマニア症では、感染数週間後に、痛みを伴う発疹が生じます。(中略)ヨルダンでは、地方を中心として、2010年から2016年までの7年間で1,243例(平均177例/年)のリーシュマニア症が認められたという論文が発表されています。

サシチョウバエ(小さなハエ)に刺されることで感染。地方では長袖長ズボン+強力な虫除けが必須。ペトラやワディラムで早朝・夕方に活動する場合は特に注意。

アンマンは高地・寒暖差・冬の積雪

「首都アンマンは、海抜700から1,000mの高地にあります」。夏季5〜10月の平均気温は23度だけれど、7〜8月は40度を超え、夜間は冷え込む。冬季12〜2月は0度以下になり、雪が降ることもある。羽織るものを必ず1枚持って行く。

冬季のペトラ渓谷では鉄砲水のリスクもある。

冬季は降水量が増えるため、ペトラ渓谷などの山間部などでは鉄砲水が発生することがあります。

天候情報をチェックして、雨予報の日にペトラの渓谷部に入らない判断を。

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アカバの減圧症 --- 王立病院に高気圧酸素治療

紅海ダイビングのために南部アカバを訪れる人向け。

アカバでマリンスポーツを楽しまれる方もいますが、スキューバダイビングなどの際に、減圧症に罹患する事があります。その場合は、王立Prince Hashem bin Abdullah Military Hospitalなど、高気圧酸素治療の可能な医療機関を受診してください。

ダイビングショップ任せにせず、減圧症の症状(関節痛・しびれ・呼吸困難)が出たらすぐ受診。

医療費は前払い・高額になる前提

外務省「世界の医療事情」が明確に書いている。

医療費が高額になる事に備え、十分な補償の可能な海外旅行傷害保険に加入しておくことを推奨します。

アンマンの私立病院(Al Khalidi、Arab Medical、Jordan Hospital等)は中東でもクオリティが高い分、外国人にとっては前払い・高額。ICUに入ると桁が跳ねる。ヨルダン固有の高額支払事例は保険会社データに見当たらないけれど、中東地域の参考事例として、サウジアラビアやUAEでは交通事故ICUで数百万円〜の支払いが報告されている(ジェイアイ)。十分な補償額を確認してから出発を。

TESTIMONY · 旅行者A

アンマンで知り合った地元の人にナイトクラブに誘われ、自家製の蒸留酒を勧められた。一口で違和感がして吐き出して水を大量に飲んだら助かったけど、後で大使館の密造酒注意喚起を見て鳥肌が立った。

※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在ヨルダン日本国大使館「当地で製造された酒類飲用による死亡事件」の注意喚起を基に構成

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手口・症状早見表

リスク発生状況対策
密造酒メタノール中毒結婚式・ナイトクラブで自家製酒正規流通の酒のみ。出処不明は飲まない
食中毒・赤痢6〜8月、生水・生卵ボトルウォーター必須、生野菜・氷も注意
狂犬病野犬・野良猫近づかない。咬まれたら公立病院で接種
皮膚リーシュマニア症地方のサシチョウバエ長袖長ズボン、強力な虫除け
ペトラ渓谷の鉄砲水冬季の降雨後天候確認、雨予報日は渓谷部に入らない
減圧症アカバのダイビング王立病院で高気圧酸素治療
脱水症高地・乾燥こまめな水分補給

予防策

  • 酒は正規流通のみ: ホテル・大手レストラン・正規免税店以外で出された酒は飲まない
  • 食事: 生水・生卵・屋台の生野菜を避ける、氷もボトル製のみ
  • 動物: 野犬・野良猫に絶対近づかない、咬まれたら即公立病院
  • 服装: 地方旅行は長袖長ズボン+虫除け
  • 山岳: 冬季のペトラ渓谷は天候情報を確認してから入る
  • 保険: 治療費・救援者費用が十分な海外旅行保険に加入

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被害に遭った場合の対応

  1. 食中毒・体調不良: アンマンの私立病院(Al Khalidi 06-464-4281/Arab Medical 06-592-1199/Jordan Hospital 06-560-8080)へ
  2. 動物咬傷: 公立 Al Bashir Hospital で暴露後狂犬病ワクチン接種
  3. 減圧症: 王立 Prince Hashem bin Abdullah Military Hospital で高気圧酸素治療
  4. 緊急時: 救急・消防・警察すべて 911(英語可)
  5. 保険会社のアシスタンスデスクに連絡してキャッシュレス対応の可否確認
  6. 在ヨルダン日本国大使館 (06) 593-2005 に状況報告

アンマンの他のトラブル(ひったくり・ぼったくり・性犯罪)はアンマン都市ページから、保険の補償内容詳細は中東旅行の保険ガイドを確認してから出発を。

よくある質問

ヨルダンで一番気をつけるべき健康リスクは?

旅行者の文脈では3つ。(1) 密造酒のメタノール混入(2025年7月に死亡事件あり、結婚式・パーティ・ナイトクラブで正規流通でない酒類を口にしない)(2) 食中毒・赤痢(6〜8月に多発、2023年は212人感染、生水と生卵を避ける)(3) 狂犬病(年0〜数例、咬まれたら公立Al Bashir Hospitalで暴露後接種)。リーシュマニア症は地方旅行者向けです。

アンマンの病院は外国人でも使える?

私立病院(Al Khalidi Medical Center/Arab Medical Center/Jordan Hospital等)は外国人も利用可能で、医療水準は中東でも比較的高いです。ただし日本のような丁寧な看護・介助は期待できず、前払い制で医療費は高額になりがち。「医療費が高額になる事に備え、十分な補償の可能な海外旅行傷害保険に加入しておくことを推奨」と外務省も明記しています。

ペトラやワディラムで気をつける健康リスクは?

冬季(10月下旬〜2月下旬)は降水でペトラ渓谷など山間部で鉄砲水が発生する可能性があります。地方ではサシチョウバエに刺されて感染する皮膚リーシュマニア症のリスクがあるため、長袖長ズボンと虫除けが必須。アカバでスキューバダイビングする人は減圧症対策で王立Prince Hashem bin Abdullah Military Hospital(高気圧酸素治療可)の存在を覚えておきましょう。

出典

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