イスタンブールで日本人が被害に遭うトラブルの中で、最も件数が多いのが詐欺・ぼったくり。中でもぼったくりバーの被害相談は増加中と総領事館が警告している。
「自分も旅行者だ」と名乗る若者に連れていかれたバーで数十万円を請求される。断れば別室で大柄な男たちに囲まれ、クレジットカードやATMで支払わされる。これ、旅行者の「人の良さ」につけ込む典型的な手口。中東で乗り継ぐ人はドバイのSNS・ロスバゲ詐欺、エジプトに続く人はカイロの偽警官・偽ガイド詐欺も合わせて。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
ぼったくりバー --- 「友達になった」その人が犯人
スルタンアフメット地区(旧市街)やタクシム地区(イスティクラル通り)で、夕方〜夜間に声をかけられるパターンが多い。きっかけは「タバコのライターを持ってないか」「今何時か教えて」「あそこの場所を知らないか」など、ごく自然な会話。そこから打ち解けて「自分の知っているいい店で一緒に飲もう」と誘われる。
店に入ると女性が隣に座って接客。一緒に飲食した後、数十万円相当の会計を突きつけられる。払えないと言えば別室に連れ込まれ、大柄で強面の男たちに囲まれて支払いを迫られる。クレジットカードの強制決済、店外のATMで現金引き出しを迫られた例もある。
店側は営業許可や監督機関から認められた高額な料金表を用意しているほか、被害者が実際に飲食している様子やクレジットカードを使って自ら支払った様子をビデオに撮影していますので、被害に遭ったとの説明が難しくなります。
--- 在イスタンブール日本国総領事館「イスタンブール安全の手引き」
つまり、払った後に警察に訴えても、カード会社に申告しても、取り戻すのはほぼ不可能。声をかけてくる人間の特徴として「写真撮影を嫌がる」「連れて行く店の名前を言わない」がある。この2つに当てはまったら確実に黒。
注意したいのは、直接バーに連れていくのではなく、先に普通のレストランで食事をして信頼させてから、本命の店に連れて行く手口もあること。帰国日が近づいたタイミングを狙ってくるケースもある。被害届は6か月以内に管轄の警察署に本人が出す必要があるので、帰国直前に被害に遭うと届出すら出せない。
体験談
タクシム地区を一人で歩いていたら「自分も外国からの旅行者だ」という若者と意気投合。一緒に飲みに行こうと誘われてついて行った。店で女性が隣に座って飲食した後、数十万円相当を請求された。支払いを渋ったら別室に連れて行かれ、大柄な男たちに囲まれてクレジットカードで支払わされた。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 安全対策基礎データ(トルコ))
悪徳じゅうたん店 --- 日本語で恩を売り、断れない空気を作る
スルタンアフメット地区やカッパドキアで多い。トルコ人が日本語で「日本に行ったことがある」「日本の芸能人に友達がいる」と声をかけてくる(実際にその芸能人と一緒に撮った写真を見せてくる場合も)。食事をおごったり、無料で観光ガイドをしたりして恩を売り、断りにくい空気を作った上でじゅうたん屋に誘う。
じゅうたんの購入後に返品はまず不可能。安いものに高い値段をつけておき「大幅に値引いた」と思わせて買わせる手口もある。
じゅうたん購入を断ったところ、店内で出されたお茶菓子代を払うように脅され、高額料金を取られた事案も発生していることから、仮に不審なじゅうたん屋に入店してしまった場合は、何も受け取らず速やかに退店することが重要です。
--- 在イスタンブール日本国総領事館「イスタンブール安全の手引き」
安価なツアーの中には悪徳じゅうたん屋の立ち寄りがツアー内容に含まれていて、添乗員もじゅうたん屋と結託しているケースがある。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
クレジットカード詐欺 --- 金額表示の罠
じゅうたん店や土産物屋でカード決済する際、本来の値段より遙かに高い金額を入力して決済させる手口がある。「うまく決済できない」と言って何度も暗証番号を入力させるパターンも。
要注意なのがトルコの金額表示。日本と逆で「.」が千の位区切り、「,」が小数点。「1.500,00」は1,500リラのこと。表示を日本と同じ感覚で読むと桁を間違える。
イスタンブールカード購入詐欺 --- 親切を装ったカード抜き取り
自動券売機で操作しようとすると「手伝おう」と近づいてくる人間がいる。クレジットカードでの支払いを促され、「エラーが出た」と言って何度も手続きを繰り返させる。別の券売機に移動させられて同じことを繰り返された挙句、カード代金以上の金額が引き落とされていた。
券売機は日本語・英語に対応しており、操作は難しくない。「手伝う」と言ってくる人は断ること。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
靴磨き詐欺 --- ガラタ塔付近の定番
ガラタ塔付近で靴磨きの男性がわざとブラシを落とす。親切心で拾うと、お礼のフリで靴磨きを始め、最後に金銭を要求される。一度断っても執拗に声をかけてくるが、相手にしないこと。
振り込め詐欺 --- SNS経由で日本にいても狙われる
イスタンブールに限らないが、トルコを舞台にした振り込め詐欺も大使館が注意喚起している。SNSで知り合った人物から求婚され数十万円を振り込んだ後に連絡が取れなくなる恋愛詐欺、投資話で架空のトルコ国内銀行に口座を開設させ手数料を騙し取る手口など。トルコ銀行規制監督庁(BDDK)のサイトで実在する銀行かどうか確認できる。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
手口早見表
| 手口 | 発生場所 | 被害額 | 防ぎ方 |
|---|---|---|---|
| ぼったくりバー | スルタンアフメット・タクシム | 数十万円 | 知らない人の「飲みに行こう」に乗らない |
| じゅうたん詐欺 | スルタンアフメット・カッパドキア | 高額(返品不可) | 向こうから声をかけてくる店には入らない |
| カード金額改ざん | 土産物店全般 | 不定 | 暗証番号入力前に画面の金額を確認 |
| イスタンブールカード詐欺 | 自動券売機 | カード代金以上 | 自分で操作する、人の手伝いを断る |
| 靴磨き詐欺 | ガラタ塔付近 | 少額 | ブラシを拾わない、断る |
| 振り込め詐欺 | SNS・メール | 数十万〜数千万円 | 会ったことのない人に送金しない |
出発前にやっておくこと
- 「知らない人についていかない」を鉄則にする --- 日本語が流暢なトルコ人に声をかけられても、バーやじゅうたん屋には行かない
- クレジットカードの利用限度額を下げておく --- 万一ぼったくりバーに入ってしまった場合の被害額を抑えられる
- カード決済時は画面を必ず確認 --- トルコの金額表示(「.」が千の位区切り)を事前に理解しておく
- イスタンブールカードは自分で買う --- 券売機は日本語対応、人の手伝いは断る
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭ったら
- 身の安全を最優先。ぼったくりバーで脅迫されている場合、無理に抵抗すると暴力を受ける可能性がある
- 被害届は発生から6か月以内に管轄の警察署に本人が提出する必要がある
- 在イスタンブール日本国総領事館(0212-317-4600、24時間対応)に連絡
- トルコ語通訳が必要な場合は総領事館に相談すれば通訳者リストを提供してもらえる
国全体の治安情報は トルコの治安 を、保険の備えは 中東の海外旅行保険 を参照。
よくある質問
イスタンブールのぼったくりバーで払った金額は取り戻せる?
取り戻すのは極めて困難です。店側は営業許可に基づく高額な料金表を用意しており、客が飲食している様子やクレジットカードで自ら支払った様子をビデオ撮影しています。カード会社に「騙された」と申告しても、店側がビデオを証拠として提出するため請求免除は難しいと総領事館が指摘しています。
日本語で話しかけてくるトルコ人は全員怪しい?
全員ではありませんが、観光地で「日本に行ったことがある」「日本の芸能人に友達がいる」と声をかけてくる人は、ぼったくりバーか悪徳じゅうたん店への客引きの可能性が高いです。写真撮影を嫌がる、連れて行く店の名前を言わない場合は危険信号です。
じゅうたんを買いたいけど安全な方法は?
向こうから声をかけてきてじゅうたん屋に連れて行くタイプの店は避けるのが鉄則。事前にネットで評判を調べ、信頼できる店を自分で選んで、複数の店で価格を比較した上で購入しましょう。購入後の返品はまず不可能です。
イスタンブールカードの買い方で注意することは?
自動券売機は日本語や英語に対応しており操作は簡単です。「手伝う」と近づいてくる人がいたら断りましょう。言われるままにクレジットカードで何度も支払い操作をすると、カード代金以上の金額を引き落とされます。