パプアニューギニア(PNG)は南太平洋・オセアニアの島嶼国。ラバウルやマダンの戦跡、世界有数の生物多様性、ハイランド地方の伝統文化など独自の魅力を持つ国ですが、観光地としての日本人の知名度は低く、訪問の多くは資源開発・援助関係・出張ベースです。
外務省は全土でレベル1(十分注意)を継続していますが、在パプアニューギニア日本国大使館の「安全の手引き」は冒頭でこう書いています。
当国では強盗事件などの凶悪犯罪が多発しており、邦人への被害も発生しています。また、その手口も組織化・巧妙化していることから、より踏み込んだ安全対策を構築する必要があります。
「レベル1だから大丈夫」と思って素手で歩ける国ではありません。首都ポートモレスビーでは強盗・窃盗・空き巣・殺人・強姦・カージャックが昼夜問わず発生しています。
Travel Alert 01
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危険レベル
外務省は全土でレベル1(十分注意)を継続。テロ脅威は確認されていませんが、武装強盗・誘拐・性犯罪が常態化しています。
当国での殺人、強盗(車両強盗含む)、強姦などの凶悪犯罪は、日本に比べると高い確率で時間・場所を問わず発生しています。
レベル1という数字だけ見て油断するのが一番危険な国です。
治安概況 — 警察が機能していない
市民の安全を守るべきPNG警察機構は、人員不足や予算不足等の理由で十分機能しておらず、犯罪者の検挙率は極めて低く、犯罪の抑止は期待できません。さらに、国内各地で頻繁に脱獄事件が発生しており、脱獄犯が再び犯行を繰り返しています。
外務省自身がここまで書く国は多くありません。通報すれば犯人が捕まる、ではない。「巻き込まれない」「狙われない」がすべての出発点になります。
2022年・PNG警察統計(A2より)
| 罪種 | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 641件 |
| 性犯罪 | 704件 |
| 強盗 | 589件 |
| カージャック・車両盗難 | 285件 |
| 家宅・店舗等侵入 | 544件 |
| 暴行 | 1,146件 |
| 誘拐 | 140件 |
| 合計 | 5,816件 |
人口1,000万人弱の国でこの件数。発覚・通報されないケースが多いことを考えると実数はさらに上です。
Travel Alert 02
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ラスカル — PNG固有の武装強盗集団
PNGの治安リスクを語るうえで避けて通れないのが「ラスカル」と呼ばれる武装強盗集団です。
ラスカル(武装強盗集団)の目的はほとんどが「物盗り」です。犯罪に使用される武器は、拳銃以外にも鉄パイプなどを加工して作った手製銃やブッシュナイフといった比較的入手しやすいものが多く、多人数で襲撃してきます。犯行時は、犯人側も興奮しているため、犯人の要求に応じないと苛立たせてしまい、危害を加えられる可能性が高くなります。
手製銃・ブッシュナイフ・複数人の3点セット。在留邦人の被害事例も大使館手引きに具体的に並んでいます。
- 幹線道路沿いのスーパーマーケットで、在留邦人が2人組のラスカルに遭遇。1人が銃を構えバッグを渡すよう脅し、もう1人が荷物を奪って逃走
- 国際NGO事務所に武装したラスカル3人組が押し入り、現金・携帯電話を強奪
- 日系企業事務所にブッシュナイフ・銃で武装した複数人が侵入、金庫室をこじ開けて現金強奪
「物盗り」が目的なので、抵抗せず差し出すのが命を守る原則です。詳しい手口別はポートモレスビーの睡眠・武装強盗で整理しています。
カージャック — 「歩かない」が原則
PNGでは徒歩移動そのものがリスク。大使館の手引きはこう書いています。
短距離の移動でも車を利用してください。ポートモレスビー市内では、歩行移動は原則控えるべきです。
ただし車も標的になります。手引きが挙げる対策がリアルです。
停車中はもちろん、走行中でもドアは必ずロック。
路上に障害物(丸太、石、大量のガラス片、蛇等動物の死骸など)を発見しても停車せず、通り抜けられる状況でない場合は、速やかに引き返してください。
路上に人が倒れて助けを求めている場合でも、安易に停車しないでください。
「困っている人を助けるために停車する」がそのまま罠になる国です。倒れている人・障害物は強盗のトリガー。公共バス(PMV)やタクシーは原則使わず、信頼できるドライバー付きレンタカーが基本ルートです。詳細はポートモレスビーの交通・タクシーで。
性犯罪 — 女性の単独行動は厳禁
性犯罪をはじめとする女性に対する犯罪(強姦等)は、当国の治安環境に深刻な影響を及ぼしています。女性の社会的地位が相対的に低いこともあり、男性側の加害者意識も低い状況にあります。被害は国籍を問わず発生しています。
PNGでは、男尊女卑の風潮が強く見られ、性犯罪の発生状況は改善されていません。婦女暴行目的の誘拐や暴行後に殺害されるケースも多く、PNG社会に深刻な影響を与えています。
「単独行動禁止」が手引き全編で繰り返されます。観光・出張で女性が単身でPNGに入る場合は、移動・宿泊・滞在のあらゆる場面で同行者・送迎・警備員のある宿を確保してください。
Travel Alert 03
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警察官のなりすまし・本物の警察官による恐喝
PNGには「真正の警察官にも気をつける」という極めて固有の事情があります。
警察官になりすました犯人による事件が発生していることから、警察官の制服を着ている者に話しかけられても身分証の提示を求めつつ、近くの警察署まで移動した上で話を聞く必要があります。なお、真正の警察官であっても飲酒をしながら検問をする、言いがかりをつけ金品を要求する等の報告もあります。
実際の被害例として、
在留邦人が自家用車で走行中、路肩にいた警察官に停車を命ぜられ、違反金100キナを不当に要求された。
「警察官=信頼できる」前提が通用しない。検問で停められたら身分証提示を求める、車から降りない、現金を見せない、領収書を要求する。トラブルになりそうなら大使館に連絡できる体制を作っておきます。
部族間抗争・脱獄犯
失業者や生活困窮者が多く、これらのグループによる金品強奪を目的とした犯罪や、部族間抗争に端を発する暴力事件が頻発しています。
地域を問わず部族間闘争が生起しており、それに伴い周辺地域の治安悪化も度々発生しています。
ハイランド地方を中心に、土地・選挙・婚姻をめぐる部族抗争が現代でも続いています。これに巻き込まれると外国人でも危険にさらされます。脱獄犯による再犯も頻発しており、検挙率の低さと相まって犯罪サイクルが回り続けている構造です。
Travel Alert 04
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医療事情 — 1,000万円超の豪州搬送
PNGの医療体制は脆弱で、入院を伴う治療は事実上、豪州への搬送が前提になります。
パプアニューギニアの医療態勢は脆弱であるため、オーストラリア等国外への緊急移送が必要となるケースは決して珍しくありません。このような場合、一千万円以上の費用を請求されることがあります。また、日本の医療機関とは異なり、支払いが保証されていない患者は治療してもらえません。予め信頼できる保険会社と十分な補償額の契約をすることを強くお勧めします。
「1,000万円以上」「支払い保証なしでは治療してもらえない」を在パプアニューギニア大使館自身が明記しています。クレカ付帯保険だけで足りるレベルではない国です。
オセアニア医療費の参考事例(豪・NZ借用)
PNGでの大病・大怪我は、豪州・ニュージーランドへ航空搬送される前提です。参考事例として、
大使館手引きが「一千万円以上」と明記しており、搬送先での治療費が加わるとさらに膨らみます。詳細はポートモレスビーの医療・感染症とオセアニア旅行の保険ガイドで。
主要都市
- ポートモレスビーの治安と注意点 --- 首都・最大人口都市、ラスカル多発、歩行移動原則禁止
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
緊急時の連絡先
| 連絡先 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察(緊急) | 000 / 112(日本の110相当・PNG警察) |
| 在パプアニューギニア日本国大使館 | +675-321-1800 |