プノンペンで日本人旅行者が繰り返し被害に遭っている詐欺の筆頭が、いかさま賭博詐欺です。外務省は「カンボジア、特に首都プノンペンにおいては、旅行者を狙った『いかさま賭博』詐欺が多く発生し、数百万円の被害も発生しています」と明記しています。
在カンボジア日本国大使館も「日本人旅行者が度々被害にあう詐欺」として、安全の手引きと犯罪被害事例の両方で注意喚起しています。手口は巧妙ですが、パターンは決まっています。ここでは8つのステップに分解して見ていきます。
Travel Alert 01
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いかさま賭博詐欺の手口 ── 8ステップ
大使館の犯罪被害事例が公開しているステップをそのまま追います。
ステップ1:観光地で声をかけられる
リバーサイド、王宮、ワットプノン、市場、大型ショッピングモールなどで、片言の日本語や英語を話す東南アジア系の男女に「日本人ですか?」「家族が日本に行きます」などと声をかけられます。日系ショッピングセンターで声をかけられる事例も複数報告されています。
ステップ2:自宅に招かれる
「自宅で食事をご馳走したい」と誘われます。親しげな雰囲気で、一見すると好意的なもてなしに見えます。
ステップ3:裏通りを移動してアジトへ
アジトの場所を把握されないように、裏通りなどを複雑に移動します。この時点で周囲の土地勘がなくなり、一人で帰るのが難しくなります。
ステップ4:カードゲームに誘われる
食事や簡単な談笑のあと、トランプを使ったカードゲームに誘われます。ここで「いかさまの方法」を教えてきます。
ステップ5:大富豪が登場、大金を賭けさせる
いかさまの方法を覚えたところで、「大富豪が賭けにやってくるから、一緒に大金を巻き上げよう」と持ちかけられます。最初は勝ち続けますが、最後に大富豪が大金を賭け、同額を用意しろと迫ってきます。
ステップ6:ATMへ連行される
詐欺犯の見張り役にATMへ連れて行かれ、キャッシングで現金を引き出させられます。移動には流しのトゥクトゥクが使われることが多く、プノンペンの交通トラブルで触れている「運転手共謀」と同じ構造です。
ステップ7:複数のATMを回される
バイクやトゥクトゥクで複数のATMを回り、限度額いっぱいまでキャッシングさせられます。
ステップ8:宝石購入・換金詐欺で被害拡大
現金だけでなく、クレジットカードで宝石を購入させたり、換金詐欺でさらに被害が膨らむケースもあります。預けた現金はそのまま持ち逃げされ、後日電話しても連絡はつきません。
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被害ケース
プノンペンのリバーサイドを歩いていたら、「日本人ですか?家族が日本に行くんです」と声をかけられました。食事に誘われてついて行ったら、裏通りを延々と歩かされて見知らぬ家に。カードゲームに巻き込まれて最初は勝っていたのに、最後にATMで何十万円もキャッシングさせられて、全額持ち逃げされました。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在カンボジア日本国大使館「犯罪被害事例と対策」)
ショッピングモールで片言の日本語で話しかけてきた人に食事に誘われ、カードゲームの「必勝法」を教えてもらいました。気づいたときにはATMを何か所も回らされ、最後に宝石まで買わされていました。あとから電話しても当然つながりません。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:在カンボジア日本国大使館「安全の手引き」(2023年度版))
偽札のすり替えにも注意
いかさま賭博とは別に、偽札の被害も報告されています。外務省は「偽札も出回っており、気づかないうちにすりかえられる等の被害もあるため十分な確認が必要です」と警告しています。カンボジアでは米ドルが広く流通しており、おつりや両替で偽の米ドル紙幣をつかまされるリスクがあります。
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声かけが多い場所(早見表)
| エリア | 手口 |
|---|---|
| リバーサイド | いかさま賭博の声かけ、偽札すり替え |
| 王宮付近 | いかさま賭博の声かけ |
| ワットプノン | いかさま賭博の声かけ |
| 独立記念塔付近 | いかさま賭博の声かけ |
| 大型ショッピングモール | いかさま賭博の声かけ |
| 日系ショッピングセンター | いかさま賭博の声かけ |
予防策
1. 見知らぬ人の誘いに乗らない
大使館は「旅行中や滞在中に知り合った見知らぬ人物の誘いに応じて、一緒に行動したり、宿泊や食事を共にしたり、相手宅に同行したりすることは避ける」と案内しています。声をかけてくる人がどんなに親しげでも、初対面の人についていかないのが鉄則です。
2. 個人情報を教えない
「知り合った人物に、自分の宿泊先や連絡先、滞在先などを安易に教えない」ことも大使館が注意喚起しています。
3. 「日本人ですか?」は詐欺の入り口
「日本人ですか?」「家族が日本に行きます」「日本語を勉強しています」など、日本に関連する話題で声をかけてくるのがいかさま賭博の典型的な入り口です。こうした声かけがあった場合は、丁寧に断ってその場を離れましょう。
4. カードゲームには絶対に参加しない
「必勝法を教える」「一緒に稼ごう」と言われた時点で、いかさま賭博詐欺です。カードゲームへの誘いは即座に断り、その場を離れてください。
5. 米ドル紙幣は受け取り時に確認
おつりや両替で受け取る米ドル紙幣は、その場で透かしや印刷の質を確認する癖をつけておくと安心です。
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被害に遭ったら
- 安全な場所に移動する — アジトから逃げ出せた場合は、まず人通りの多い場所へ
- 警察に届け出る — 全国共通: 117 / プノンペン都警察外国人ホットライン: 012-835-666(英語可)
- カード会社に連絡 — クレジットカードでキャッシングや宝石購入をさせられた場合は、すぐにカード会社に連絡して利用停止・不正利用の申告を
- 大使館に相談 — 在カンボジア日本国大使館: 023-217-161〜164
なお、大使館は「治安当局の事務処理や信頼性が日本と比べるとけっして十分とは言えず、被害届の受理すらされないことも珍しくありません」と率直に記しています。それでも届け出は保険請求の際に必要になるため、必ず行ってください。
上記のような被害は、海外旅行保険でカバーできる可能性があります(携行品損害・盗難保険)。クレカ付帯+ネット保険の組み合わせで備えるのが一般的です。
いかさま賭博の声かけスポットはプノンペンのスリ・ひったくりの被害エリアとほぼ重なります。同じエリアでは夜間に昏睡強盗も発生しているので、リバーサイド周辺では複合的に警戒してください。
シェムリアップでも同様の声かけが報告されています。手口の詳細はシェムリアップの詐欺・ぼったくりを確認してください。
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プノンペンの他のトラブル情報
詐欺・ぼったくり以外のトラブル手口と安全対策は、プノンペンの治安・危険エリア情報からまとめて確認できます。
カンボジア全体の法律・マナー(薬物規制・王室への敬意・撮影禁止区域など)は、カンボジアの治安・法律・マナーでまとめています。
よくある質問
プノンペンで一番多い詐欺の手口は?
いかさま賭博詐欺です。観光地やショッピングモールで「日本人ですか?」と声をかけられ、自宅での食事に誘われた先でカードゲームに巻き込まれるパターンが繰り返し報告されています。外務省は「数百万円の被害も発生」と警告しています。
いかさま賭博詐欺はどこで声をかけられる?
リバーサイド、王宮、ワットプノン、独立記念塔付近、市場、大型ショッピングモールが主な声かけ場所です。日系ショッピングセンターで声をかけられる事例も複数報告されています。
カンボジアで偽札の被害に遭わないためには?
外務省は「偽札も出回っており、気づかないうちにすりかえられる等の被害もあるため十分な確認が必要」と注意喚起しています。米ドル紙幣を受け取るときは、透かしや手触りをその場で確認する習慣が大事です。高額紙幣は特に注意してください。
詐欺に遭ったらどうすればいい?
まず安全な場所に移動し、警察(117)またはプノンペン都警察外国人ホットライン(012-835-666)に届け出ます。クレジットカードで決済させられた場合はカード会社に即連絡。在カンボジア日本国大使館(023-217-161〜164)にも相談できます。ただし被害届が受理されないケースもあるのが実情です。