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ボツワナの治安 集団強盗が首都で急増・住居侵入も横行【2026】

ボツワナの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在ボツワナ日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.05.03 KAIGAI-RISK

オカバンゴデルタの水のサファリ、チョベ国立公園の象の大群、カラハリ砂漠の星空。ボツワナはアフリカ南部で「比較的治安がいい国」として紹介されることが多く、外務省の海外安全ホームページにも2026年5月時点で危険情報や感染症危険情報は出ていません。ただし、それは「観光してOK」ではなく「全国レベルの渡航中止勧告は出ていない」という意味にすぎません。在ボツワナ日本国大使館の安全の手引きも、外務省「安全対策基礎データ」も、首都ハボローネで日本人を狙った犯罪が増加傾向であることをはっきり書いています。

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危険レベルと「比較的安全な国」のズレ

外務省の危険・スポット情報は「現在、危険情報や感染危険情報は出ておりませんが、最新スポット情報や安全対策基礎データ等を参照の上、安全対策に心がけてください」と書かれています。レベル指定がないので、安全マップ上では何色にも塗られていません。

ところが「安全対策基礎データ」を開くと、日本人が被害に遭った具体事例が2020年から2025年まで連続して並んでいます。

近年、日本人に対する犯罪が増加傾向にあり、以下のようなケースが確認されています。 ○2020年、首都ハボローネ市内の中華食材店において車上荒らしと強盗の被害。 ○2023年2月、ハボローネ市内の路上において徒歩で外出中に強盗傷害の被害。 ○2024年4月、ハボローネ市内において住居侵入未遂事件の被害。 ○2024年10月、11月および2025年2月、ハボローネ市内のショッピングモール駐車場において車上荒らしの被害。 ○2025年5月、ハボローネ市内路上において強盗未遂事件の被害。

外務省のレベル指定がないからといって油断すると痛い目を見る、というのがボツワナの現実です。被害は首都ハボローネに集中していて、地方の観光地(チョベ・オカバンゴ)では別系統のリスク(野生動物・マラリア・医療アクセス)が主役になります。

首都ハボローネで増えているのは「集団強盗」と「住居侵入」

2026年4月 Fields Mall付近・若年層10名以上の集団強盗

直近で最も象徴的なのは、2026年4月の大使館注意喚起です。

4月4日(土)午後6時40分頃、ハボローネ市内 CBD 地区(Fields Mall 付近の歩道上)において、邦人が複数名の集団による強盗被害に遭う事案が発生した。被害者が徒歩で移動中、前方及び側方にいた若年層の集団(10名以上)により取り囲まれ、刃物の様なものを突きつけられるなどして制圧され、所持品(バッグ、スマートフォン等)を強奪された。

時間帯は夕方の6時40分。ショッピングモール直近の歩道。10名以上の若年層に取り囲まれて刃物という構図は、日本での「街中で襲われる」というイメージとはスケール感が違います。大使館は「ハボローネ市内では盗難・強盗事件が増加傾向にある。複数人による集団的な犯行や、刃物等を用いた事案も報告されており、外国人を標的とした犯行も発生している」と書いています。

2024年3月 アジア人夫婦殺害事件

外務省「安全対策基礎データ」は、2024年3月にアジア人が自宅で2人組の押し入り強盗に殺害されたケースも記録しています。ボツワナ国民は日本人に対しては概ね好意的とされますが、中国系・韓国系を含む「アジア人富裕層」が標的にされた犯行で日本人が間違われて襲われるケースを外務省自身が警戒対象として書いています。「親日的な国民性」と「外国人富裕層への襲撃」は両立する、という前提で動線を組む必要があります。

2026年2月 電線盗→無防備化→侵入の2段階手口

2月14日(土)朝、邦人が自宅で電気が使用できないことに気付いた。同日、関係者が確認したところ、自宅へ引き込まれている電線が切断され盗まれていることが判明した。電柱付近のフェンスの一部が破壊されており、そこから敷地内に侵入し電線を切断して持ち去ったものとみられる。 2月22日(日)昼、同住宅に帰宅したところ、玄関のバーグラーフェンスに穴が開けられ、南京錠が破壊されていることが確認された。キッチン及び寝室を中心に荒らされており、カメラ等の家財が盗難被害に遭うとともに、スーツケースの鍵が破壊されるなどの被害が確認された。

電線を切って警報装置・夜間照明を無効化してから一週間後に侵入という、二段階で計画的な手口。在留邦人向けの注意ですが、Airbnbや長期滞在ホテルを使う旅行者も他人事ではありません。

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犯罪統計(ボツワナ統計局・大使館経由)

C2-handbook(在ボツワナ日本国大使館「安全の手引き」)に2020年のボツワナ統計局発表のデータが載っていて、犯罪件数 7,386件のうち殺人364件・性的犯罪577件・殺人未遂や脅迫等851件となっています。人口約260万人の国で年間殺人364件。日本(人口1.2億人で年間殺人約280件)と比べると、人口比で殺人発生率は約60倍という計算になります。「アフリカの中では治安がいい」というラベルは、あくまでアフリカ域内の比較であって、日本の街と並べる物差しではありません。

C2-handbook 邦人具体事例 — 在留邦人だが手口は観光客にも応用できる

在ボツワナ日本国大使館「安全の手引き」が記録している直近の邦人被害事例を要約すると次の通り。

  • 路上強盗(2023年2月): 在留邦人夫婦が自宅から徒歩で外出した際、約200m離れた路上で3人組の男に襲われた。殴る・蹴る・踏みつける暴行を加えられ、ナイフで脅されてリュックサック・スマートフォン・財布を強奪された
  • 声かけスリ(2023年5月): ハボローネ市内のBus StationとFields Mallの間の高架下を歩行中、男性に「同僚の友人だ」と声をかけられ握手中に背後の共犯者が携帯電話をジャケットのポケットから抜き取った
  • 車上荒らし(2023年8月): ハボローネのリバーウォークモール駐車場(ABSA銀行付近)に1時間駐車したところ、運転手側ドアの鍵穴が破壊されていた
  • 住居侵入未遂(2024年2月): 郊外の自宅で寝室にいた際、番犬が吠えた直後にガラスが割れた。煉瓦で窓ガラスを破壊して侵入を試みた痕跡
  • 住居侵入未遂(2024年10月): アパート敷地内のエレクトリックフェンスを切って侵入。住人がパニックボタンを押して警備員が駆けつけて未遂で終わった

旅行者の動線でも、「徒歩200m先の店」「モール駐車場の1時間」「Airbnbの庭の電気フェンス」は同じ条件です。

ハボローネ市内の危険エリア

外務省「安全対策基礎データ」が要注意エリアとして名指ししているのはブロードハースト、エリア27、ハボロネウェストフェーズ2(BTV付近)、モホディツァネ、オリエンタルプラザ、オールドナレディ、カーリーヒル周辺、ハボローネダムなどで、特にひと気の少ない時間帯は避けるよう書かれています。とりわけ大使館はオールドナレディ地区は「夜間は現地の人間でも避ける地区」と踏み込んで書いていて、カーリーヒル付近でも強盗事案が多発しているため少人数での登山は控えるよう警告しています。「現地の人間でも避ける」と言われている地区を、地図アプリの最短ルートでうっかり通らないこと。

詳細な手口別の対処はハボローネの治安へ。

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マナー・法律・禁制品 — 半貴石と野生動物製品の持出は犯罪

ボツワナでお土産を選ぶときに知らないと逮捕される情報があります。

禁制品: あらゆる形態の麻薬、習慣性薬物および関連物質/軍用銃器、弾薬、爆発物/わいせつ物(本、雑誌、映画、ビデオ、DVD、ソフトウェアなど)/瑪瑙、アメジスト、ボツワナピンク、翡翠、ローズクォーツ、カーネリアン、カルセドニー、クリスタルクォーツ、トルマリン、ジャスパー、タンザナイト、ガーネット、モスアゲート、タイガーアイ、ソーダライト、アクアマリン、アズライト、マラカイトなどの半貴石。 制限品: 野生動物またはその製品/植物、種子、生鮮食品、球根

ボツワナはダイヤモンドや半貴石の産地で、観光地の土産物屋でアメジストやガーネットの原石が普通に売られています。が、国外持ち出しは禁制品扱いです。空港の手荷物検査で発見されると押収・罰金・最悪の場合は刑事手続きの対象。象牙・サイの角・革製品といった野生動物関連も同様で、ワシントン条約と国内法の二重で取り締まられます。「市場で売ってたから合法」は通用しません。

10,000プラ相当(約13万円)以上の現金(外貨含む)の出入国時申告も忘れずに。

テロ・誘拐 — リスク低・主軸は犯罪

外務省「テロ・誘拐情勢」は過去にテロは発生しておらず、テロ組織の活動も確認されていないこと、外国人を標的とした誘拐事件の発生も現在までのところ確認されていないことを明記しています。中東・東アフリカ・サヘル地域と違って、ボツワナはテロ・誘拐リスクは低い国です。出発前に頭に入れるべきリスクの主軸は、犯罪(強盗・侵入・スリ)と医療水準・感染症で構いません。

医療費の実態 — 重症は南アフリカ搬送が前提

ボツワナ単独の高額医療事例は保険会社データに見当たりませんが、現地の医療事情はそれだけで「保険必須」を意味します。

医療設備のほか、医療従事者(特に専門医)も不足しており、人口1万人当たりの医師数は日本が23人のところ、当地ではわずか4人となっています。先進医療を受けるには隣国の南アフリカ共和国の病院を受診する(首都ハボロネからヨハネスブルグまでは陸路約400キロメートル)、又は帰国して日本の病院を受診する、などが必要です。

支払いは現地通貨プラ建てで、私立病院は救急外来でも診察前に保証金を求められるのが標準。

南部アフリカ地域の参考事例として、SBI損保「アフリカ・中南米の高額医療事例」では、ジンバブエで鉄橋から転倒し大腿骨骨折→南アフリカへチャーター機搬送・15日間入院で約505万円という支払い事例が報告されています(SBI損保 旅行保険お支払い事例 015)。ボツワナで重症を負って南ア搬送になれば、桁感はこの近辺、もしくはそれ以上になります。

HIV・結核・マラリアといった感染症リスクの詳細はハボローネの感染症・医療リスクを参照してください。

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通信手段 — eSIMで現地SIM難民を回避

ハボローネ市内なら携帯電波は問題なく入りますが、4G/5Gの普及は都市部限定。オカバンゴ・チョベなど北部の観光地は圏外も覚悟しておく必要があります。空港でSIMを買って差し替える方法もありますが、到着直後の不慣れな状態でSIMロック解除や言語の壁にハマるリスクを考えると、出発前に日本でeSIMを契約しておくのが楽です。

ボツワナ対応のeSIMサービスは海外eSIM比較で確認してください。

緊急時の連絡先

連絡先番号備考
警察999
消防998
救急(私立・有料)992MRI社。991(EMERGENCY ASSIST)・993(RESCUE ONE・平日のみ)も有料で利用可
在ボツワナ日本国大使館+267-391-4456現地ダイヤル: 391-4456

997番は公立病院搬送ですが、外務省は「公立病院は衛生状態が悪く常時混み合っているのでお薦めできません」と明記しています。緊急時は992(MRI社・有料)を使ってください。

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海外旅行保険の備え

ボツワナはレベル指定がないため「比較的安全」と判断して保険を軽く済ませがちですが、実態は首都での集団強盗増加・侵入手口の高度化・南ア搬送前提の医療という複合リスク国です。クレジットカード付帯の海外旅行保険でカバーできる範囲を確認した上で、足りない部分(治療費・救援者費用・携行品損害)を有料保険で上乗せするのが基本です。アフリカ向けの考え方はアフリカの海外旅行保険ガイドで整理しています。

主要都市の治安情報

出典