広州は広東省の省都、華南地区の経済中心で、深圳・珠海・香港への玄関口。在広州日本国総領事館「安全の手引き」(令和6年12月版)は23ページにわたって現地の犯罪手口をかなり具体的に書いていて、他都市よりひったくりと商談トラブルからの軟禁の記述が濃いのが特徴です。
そして2024年9月に深圳で起きた日本人学校児童の殺害事件も、広州総領事館の管轄エリア(広東省・福建省・広西チワン族自治区・海南省)で発生した事案です。
Travel Alert 01
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広州エリアで日本人が遭っている被害の傾向
総領事館の手引きにはこうあります。
当館に寄せられた邦人からの被害相談の多くはスリ、置き引き、ひったくりといった窃盗犯罪ですが、殺人、強盗等の凶悪事件被害や、傷害、詐欺、軟禁等の被害も発生しています。
広州・深圳は経済活動が活発で在留日本人も多く、出張者ベースの犯罪被害も積み上がりやすい構造。順に見ていきます。
2人組バイクによる背後からのひったくり
広州の手引きが他都市ハンドブックと比べて強めに書いているのがこれ。
背後から近寄って来た2人組のオートバイによる被害が圧倒的です。なお、万が一ひったくられた場合には、二次被害(バッグを離さないことで引きずられて怪我を負う)防止のため、早めに手を離すことも必要です。
対策として手引きが明示するのは「バッグは肩掛け式を袈裟懸け」「車道側にさらさず歩道側に持つ」。バッグを離さずに引きずられて大怪我は広州では実際に想定されているシナリオなので、ひったくられた瞬間は諦める判断のほうが命を守れます。
ATM・タクシーでの偽札すり替え
タクシー降車時に料金支払いのために100元札を渡したところ、「これは偽札だ」と言って返され、偽札にすり替えられるという事案が報告されています。
北京の手引きと同じ手口が広州でも発生。対策は「小額紙幣を準備」「降車時に忘れ物を確認」。ATMから引き出した紙幣に偽札が混ざることもあるので、引き出し後その場を離れる前に番号を確認できる「冠字号碼」表記のあるATMを使うと、後から銀行に訴えられる機能が働くと書かれています。
商談トラブルからの軟禁・暴行
広州ならではなのがビジネス起因の事件。
解雇した従業員に逆恨みされて暴行を受けたり、脅迫されたりする事案や、取引先企業との間で支払いを巡るトラブルが発生し、相手側の従業員が集団で事務所に押し掛けてきて、軟禁される事案も発生しています。
手引きは「民事事件と表裏一体で公安が刑事事件として取り合ってくれないこともある」と率直に書いていて、ビデオ撮影等で客観証拠を残すことを推奨。短期の旅行者には縁遠い話ですが、出張者・駐在員予備軍にとっては無視できません。
「日本語で話しかけてくる親しげな人」は警戒
見知らぬ相手、特に馴れ馴れしく日本語で話しかけてくる人がいても、容易に信用せず、誘いには乗らない。また現金や貴重品等が入ったバッグ類を預けない。
連れていかれた先で強盗に遭うケースや、現金を騙し取られたケースが報告されています。強盗に遭った場合は絶対に抵抗しない(相手が凶器を所持している確率が高い)ことも明記されています。
親切心で助けようとして加害者にされる
意外な指摘がこれ。
路上で倒れている人を親切心で助けようとしたら、逆に加害者とされるケースも発生していますので、注意が必要です。
中国特有の「碰瓷(ぽんつー)」と呼ばれる当たり屋文化の派生形。旅行者の感覚で助けに入って、逆に損害賠償を迫られる構造があるので、路上で倒れている人には近づかず警察(110)を呼ぶのが手引きの推奨です。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
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深圳の邦人襲撃事件(2024年9月)
外務省「安全対策基礎データ」には邦人被害事案として明確にこう書かれています。
広東省深圳市において日本人学校児童1名が登校中に刃物を持った男に襲われ死亡(2024年9月)
深圳は広州総領事館の管轄で、この事件を受けて総領事館は「特に注意を要する日」(12月13日の南京事件日など)についての注意喚起や、日中関係を巡る当地での報道を踏まえた安全対策の注意喚起を継続的に出しています。
日本人だからこそ個別襲撃の対象になり得るという認識は、広州・深圳エリアでは特に持っておきたいところです。外出時の時間帯や歩くルート(日本人学校周辺・日系企業密集エリアなど)について、通常より警戒水準を一段上げる理由になります。
台風と感染症(華南の気候リスク)
広州総領事館サイトには台風シーズンごとの注意喚起(台風6号/7号/11号/18号/26号等)が継続発出されていて、華南は台風季が長いエリア。併せて蚊が媒介する疾病に関する注意喚起も繰り返し出ています。
医療事情ページはデング熱について明確に書いています。
デング熱は7~11月にかけて流行する蚊によって媒介される疾患です。重症化すると血が止まりにくくなる出血熱と呼ばれる病態を引き起こします。患者数は少ないものの、広東省内には同じく蚊に媒介されるチクングニア熱という病気もあります。
広東省では例年7〜11月がデング熱流行期。対策は「長袖・長ズボン」「昆虫忌避剤(虫除け)」「蚊帳・網戸」。短期旅行でも夜市や屋外飲食で刺されるリスクが現にあるので、虫除けスプレーは持参がおすすめ。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
BECビジネスメール詐欺
取引先や上司になりすまして偽の電子メールや SNS を送って入金を促す詐欺で、所謂 BEC(Business Email Compromise)の犯罪被害が中国国内でも確認されています。
「従来の口座が不正取引で凍結された。別の口座に送金してほしい」パターン。一度送金すると回収は極めて困難で、いつもと違うメールが来たら必ず取引先や上司に電話・別チャネルで確認、と手引きは書いています。
医療費(日系医療機関は限定的)
広州では日本語が通じる医療機関は上海・北京より少なめ。医療事情ページの指摘。
基本的に日本語不可の病院がほとんどなので、中国語や英語での受診に不安がある場合は、加入している海外旅行傷害保険会社にまず連絡を取りましょう。病院の紹介から通訳、支払代行、搬送支援など色々なサービスがあります。
損保ジャパン事例には広州で急性肝炎で24日入院、治療費120万円というケースが記録されています。急性症状で中長期入院になると、クレジットカード付帯保険では不足するケースも。デング熱や華南特有の感染症も含めた詳細は広州の医療費と感染症、保険の備えは東アジア向け海外旅行保険で確認を。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
緊急時の連絡先
- 警察(公安):110 / 消防:119 / 救急:120 / 交通事故:122
- 在広州日本国総領事館:(020)8334-3009
- 住所:広州市越秀区環市東路368号花園大厦
- 管轄:広東省、福建省、広西チワン族自治区、海南省
パスポート盗難・紛失の手順は総領事館サイトの「パスポート紛失の届出」「パスポートの新規発給」「帰国のための渡航書」ページに具体的に案内があります。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
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