バハマは700の島々と「カリブの楽園」のイメージで知られる国ですが、治安データを開くと印象は一気に変わります。人口10万人あたりの殺人発生率は26.8件、日本のおよそ80倍。武装強盗の凶器は依然として銃器が主で、首都ナッソーがあるニュー・プロビデンス島だけで2022年の殺人128件中113件が起きています。クルーズで寄るだけだと見えない側面を、まず数字で押さえてから出発してください。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
危険レベル --- 指定なし、ただし広域情報は多発
外務省の危険情報レベルは「指定なし」で、感染症危険情報・スポット情報も発出されていません。一方で広域情報は別物——テロ・ガザ情勢、ハリケーン・シーズン(北米・中南米)、デング熱・ジカ・チクングニア、違法薬物(大麻等)密輸、ロマンス詐欺、特殊詐欺事件加害者注意喚起など複数件が継続発出中です。「レベルなし=安全」と読まないでください。
殺人・銃犯罪の数字 --- 2022年で128件、人口10万人あたり26.8件
外務省「安全対策基礎データ」によれば、2023年の殺人110件・凶器を用いた強盗368件・不同意性交61件で、殺人発生率は人口10万人あたり26.8件と高水準で推移。年度推移は殺人 119件(2021)→128件(2022)→110件(2023)、武装強盗は 415件→555件→368件。在バハマ大使館がまとめた2022年統計はさらに具体的です。
武装強盗は555件で、前年の415件に対し34%増加した。…主に午後5時から午後11時の間に発生し、凶器として使用されたのは、依然として銃器が多かった。211台の車両が強奪され、36%が回収された
時間帯は午後5時〜11時、凶器は銃器、地区は南西部・南東部・北東部で48%。同年の殺人128件中117件で銃器が使用され、370丁の銃器と5,506発の弾薬が押収された規模感です。
観光客が遭う手口 --- ナッソー旧市街のひったくり・置き引き
外務省が日本人の主な被害例として挙げているのは次の3つ。
ナッソー市内を観光中、背後からつけてきた2人の男に、バッグを強奪された。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 海外安全ホームページ「バハマ 安全対策基礎データ」)
バスや車を降りた直後、背後から襲われて、ハンドバッグをひったくられた。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省 海外安全ホームページ「バハマ 安全対策基礎データ」)
3つ目は「ビーチ等の観光地で荷物から目を離した際の置き引き」。手口の詳細とエリア別注意はナッソーのスリ・ひったくり・置き引きで。
外務省が観光客被害の類型として挙げるのは強盗・睡眠薬強盗・窃盗・クレジットカードのスキミング・性犯罪、加えてジェット・スキー等の無資格インストラクターによる不法営業や機材整備不良トラブル。睡眠薬強盗・銃絡み武装強盗の中身はナッソーの睡眠薬強盗・武装強盗、偽事故詐欺・現場罰金詐欺などお金まわりはナッソーの詐欺・ぼったくりで扱います。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
多発エリア --- ニュー・プロビデンス島集中、家族島は医療空白
A2「安全対策基礎データ」が名指しする多発地区は、ニュープロビデンス島(ナッソー)とグランドバハマ島(フリーポート)。スリ・ひったくり・置き引きの発生はここに集中していますが、「観光スポットに限らずそれ以外の場所でも発生」と明記されています。人口集中の影響で殺人事件の85%以上はニュー・プロビデンス島(2022年: 128件中113件)。家族島(Family Islands)は治安は比較的良いものの、医療施設が極端に少なく重症は搬送前提になる別のリスクがあります。
パスポート紛失で出国不可 --- バハマ国内に日本大使館なし
これがバハマ最大の特殊事情です。バハマ国内に日本大使館はありません。在ジャマイカ日本国大使館(キングストン)が兼轄、ナッソーには名誉総領事のみ駐在で、日本語対応はできません。
バハマ国内に日本大使館は設置されていません(在ジャマイカ日本国大使館が兼轄)。よって、バハマ滞在中にパスポートを紛失、損傷した場合や、パスポートの盗難に遭うと、一時的にバハマから出国することができなくなります
具体的にはジャマイカに渡航できる代理人を日本から呼ぶ → ジャマイカで申請(戸籍謄本・盗難証明書等が必要)→ 経由地の査証取り直し → 再出国という流れ。想定外の長期滞在+追加出費が確定します。ホテル金庫保管・コピー携帯・万一に備えた写真データのクラウド保存を出発前に必ず仕込んでください。
ハリケーン・シーズン --- 6月〜11月は最新情報を
カリブ海諸国共通ですが、バハマは2019年9月のハリケーン・ドリアンで甚大な被害を受けた国です。6月から11月末まではハリケーンシーズンで、シーズン中の滞在は最新情報の入手が前提(A2-safety)。情報源は米ナショナルハリケーンセンター(nhc.noaa.gov)とバハマ気象局(met.gov.bs)。6〜11月の旅行はキャンセル特約・旅行中止費用補償付きの保険を選んでおくのが現実的です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
テロ・誘拐は限定的、ただし性犯罪目的の誘拐は警戒
A3「テロ・誘拐情勢」によると、近年テロの発生はなく、反政府組織や国際的なテロ組織の存在も確認されていない。誘拐事件も「ごくわずか」だが、
まれに外国人観光客が性犯罪目的で誘拐されるケースがあります
数は少ないものの性犯罪目的の誘拐事例は明記されています。夜間の単独行動、知らない人物の車・船への同乗は避けてください。
違法薬物・現金申告・写真撮影 --- 知らないと拘束される
マリファナ、コカイン等の違法薬物の使用・所持・売買・持込み・持出しは禁止で、違反者は懲役刑・罰金刑の対象。バハマ警察は米国の薬物対策関係部局(DEA)の協力を得て厳しく対処しているため、知らずに巻き込まれても情状酌量はありません。1万バハマドル相当以上の現金は申告義務、相手の承諾なく人物撮影すると因縁を付けられて金銭要求のトラブル例ありとも明記されています。
医療事情 --- 中南米・カリブ近隣の参考額で備える
バハマ独自の保険会社支払事例は、損保ジャパンoff!・ジェイアイ・SBI損保のいずれにも掲載がありません。中南米・カリブ地域の参考事例として近隣国の事例を借ります。
- コスタリカ: クルーズ中に意識を失い下船して受診。脳内出血・硬膜動静脈瘻と診断され8日間入院、家族が駆けつける。442万円(SBI損保)
- ジンバブエ: 観光中に転倒し大腿骨骨幹部骨折。チャーター機で南アフリカまで医療搬送し15日間入院・手術。505万円(SBI損保)
- ハワイ(南北アメリカの参考): 海水浴中、溺れて意識を失いICUに入院。約1か月入院後、看護師付添でプライベートジェットにて日本まで搬送。現地治療費は約3,000万円(損保ジャパンoff!)
バハマの公立Princess Margaret Hospital・私立Doctors Hospitalともナッソーに集中しており、家族島で重症 → ナッソー or 米国搬送が現実的なフロー。重症はメキシコ・米国本土への搬送になりやすく、桁が大きく動きます。詳しくはナッソーの病気・医療トラブルで。
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
通信手段 --- ローミングは高い、eSIMが現実的
バハマは観光客が多い分、空港のWi-Fiやホテルの提供は整っていますが、移動中・家族島・船上での通信を考えるとプリペイドSIMかeSIMが現実的。ローミングだとデータ通信が即数千円〜になりがちです。出発前の準備は海外eSIM比較で。
緊急時連絡先 --- 911 または 919
| 連絡先 | 番号 |
|---|---|
| 警察・消防・救急 | 911 または 919 |
| 在バハマ日本国名誉総領事(日本語不可) | +1-242-677-9026 |
| 在ジャマイカ日本国大使館(バハマ兼轄) | +1-876-929-3338 / 9 |
| Doctors Hospital(私立 24時間救急、ナッソー) | +1-242-302-4600 |
| Princess Margaret Hospital(公立 24時間救急、ナッソー) | +1-242-322-2861 |
| Walk In Clinic(私立、ナッソー) | +1-242-328-0783 |
3か月以上滞在する場合は在ジャマイカ大使館へオンライン在留届。短期旅行でもたびレジ登録は最低限のセーフティネットになります。
海外旅行保険の備え --- 米国搬送と長期滞在費を見据えた補償額で
バハマ旅行で保険を選ぶときに見ておきたいのは3点。
- 医療搬送特約: ナッソー → マイアミ等の米国搬送が想定される
- 旅行中止・遅延費用: ハリケーンによる出発延期・キャンセルで実費補償
- 携行品損害: ナッソー旧市街・ビーチでのひったくり対応
クレジットカード付帯保険でも上記をカバーできるかは個別確認が必要です。比較は中南米の海外旅行保険で。
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
バハマ出発前のチェックリスト
最後に頭に入れておきたいリスト。
- 殺人発生率は人口10万人比26.8件、武装強盗は午後5〜11時に集中(2022年)
- ニュー・プロビデンス島(ナッソー)に殺人の85%以上が集中
- バハマ国内に日本大使館なし、パスポート紛失で出国不可リスク(兼轄はジャマイカ)
- ハリケーン・シーズン6〜11月、ドリアン級の大被害が過去にあり
- 1万バハマドル以上の現金は申告、相手承諾なし撮影でトラブル
- 違法薬物は米DEA連携で厳格取締、所持・売買は懲役刑
- 重症医療は米国本土・メキシコへの搬送前提、補償額の大きい保険を
カリブの楽園イメージは事実でもありますが、首都の犯罪統計と兼轄国の特殊事情を押さえてから出発してください。詳細はナッソーの都市記事と各トラブル別記事で続けます。