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クウェートの治安 全土レベル3、米軍基地への攻撃被弾【2026】

クウェートの治安や危険エリア、トラブル、医療費を、外務省と在クウェート日本国大使館の情報からわかりやすくまとめました。

UPDATED · 2026.05.03 KAIGAI-RISK

クウェートは湾岸戦争(1990-91年のイラク侵攻)で日本でも一気に名前が知られた小さな産油国。サウジ・イラクに挟まれた立地で、ペルシア湾の入り口に位置します。アラブ世界では金融・石油の国として知られ、観光より駐在・出張で訪れる日本人が多い国です。

ただし2026年4月時点で、クウェート全土はレベル3(渡航中止勧告)。2月28日のイスラエル・米国によるイラン攻撃を受け、同日クウェート国内の米軍基地にイラン革命ガードが攻撃を行ったと発表されました。これを受けて外務省は3月5日、クウェート全土をレベル3に引き上げ、邦人の出国支援も実施しています。

このページは「現在のレベル3情勢」と「平時のクウェート(クウェート市)に滞在する人が踏み抜きやすいポイント」を分けて整理します。出発前は必ず外務省 海外安全ホームページで最新の渡航レベルを確認してください。

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現在の渡航レベル(2026年4月時点)

外務省は2026年3月5日、クウェート全土をレベル3(渡航中止勧告)に引き上げました。

2月28日(現地時間)、イスラエル及び米国はイランに対して攻撃を開始しました。同日、クウェートに攻撃があり、イラン革命ガードがクウェート内の米軍基地を標的とする攻撃を行った旨発表しています。

外務省は同時に、すでに滞在中の邦人に対して「複数の情報源から最新の情報を入手するなど特別な注意を払うとともに、状況によっては不要不急の外出を避ける等の十分な安全対策」を講じるよう呼びかけ、希望者向けに出国支援も実施しました。

3月以降も中東情勢関連の広域情報がほぼ毎週更新され続けており、状況は流動的。在クウェート大使館は機能を維持していますが、空港閉鎖・航空便キャンセルが断続的に発生しているため、すでに滞在している人は外出を控え、出国を検討するなら空港の稼働状況とフライトを必ず確認すること。たびレジ登録は最低限の防衛線です。

ここから先は「平時(レベル1〜2)にクウェートに滞在する人」向けの情報。情勢が落ち着いて再渡航可能になったとき、または駐在・出張でクウェートに足を止める人向けに残しておきます。

平時のクウェート — 「比較的安定」だが油断は禁物

平時のクウェートはGCC湾岸国のなかでは中位の治安水準。在クウェート大使館の安全の手引きはこう書いています。

近年、クウェートの治安情勢は比較的安定しており、邦人が被害者となる事件は発生していませんが、殺人、誘拐、武装強盗等の凶悪事件のほか、人が多数集まる街中やショッピングモールでの自動車盗や車上狙い等の窃盗、暴行傷害、薬物、性犯罪等の事件が発生しています。

「邦人被害は発生していない」は「日本人が安全」の意味ではなく、「数が少ないから統計に出ない」だけ。同じ手引きが続けて挙げているのが次の脅威です。

  • 大規模集客施設での置き引き・自動車盗・車上狙い(ショッピングモール駐車場が中心)
  • 武装強盗・凶悪犯罪(イラク侵攻時に放置・密輸された銃器が市場に流通)
  • アジア系・アフリカ系女性を狙った性犯罪(家事労働者層が中心の被害だが、観光客も無関係ではない)
  • 偽警察官による強盗・拉致(私服警察を名乗る声かけ)

詳しい手口と防御はクウェート市の治安と注意点にまとめています。

犯罪被害多発地域

外務省は具体的な地域名まで明記しています。

ジャリブ・アルスシュユーフ(Jalib Al-Shuyokh)地区、マハボウラ(Mahboula)地区、タイマ(Tima)地区、スレイビーヤ(Sulaybiya)地区、ケイタン(Kheitan)地区周辺では、「ビドゥーン」と呼ばれる無国籍者や外国人労働者が比較的多く住んでおり、武装強盗や車上荒らし、薬物犯罪などが他の地域に比べて多く発生しています。

これらの地区はクウェート市の中心部から少し外れたエリア。観光・出張の動線では入りにくいですが、Uber/Careemで安いホテルを選ぶと気付かないうちに入っていたということが起こります。タイマ地区・スレイビーヤ地区ではビドゥーン待遇改善デモも定期的に発生しているので、近づかないのが鉄則。

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法律・宗教マナー — 違反すると罰金・収監

クウェートはイスラム教の戒律が厳しい国の1つ。サウジほど超厳格ではないけれど、UAEより明確に硬めです。日本の感覚で踏み抜くと、罰金・収監に直結する行為がいくつもあります。観光客が引っかかりやすい禁忌の全体像は致命的禁忌マップにもまとめています。

飲酒 — 全面禁止(GCCで最厳格レベル)

クウェートの「酒類禁止」は、UAEやカタールよりも一段階厳しい全面禁止。

酒類は全面的に禁止されており、密造・密売はもとより飲酒行為や国内への持込みも違法となります。

ホテル内のバーやレストランも存在しません。機内で飲んでいた酒気を残したまま入国するのも、入国時のアルコール持込みも違法で、見つかれば没収・罰金・収監の対象。サウジが全面禁止、UAEが許可制で寛容、その2つの間にカタール、そしてサウジ寄りにクウェートが並びます。

麻薬 — 死刑相当の重罪

クウェート国内では麻薬等の違法薬物使用事案や違法薬物使用に起因する犯罪(暴行・傷害等)が多発しております。

近年は若年層を中心に違法薬物の蔓延が問題化しており、治安当局は街中・国境・空港で検問を強化中。乗継ぎだけのつもりでも所持していれば対象で、CBDオイル・大麻成分入りグミなど日本では合法のものでも持込み禁止。詳しくはクウェート市の薬物トラブル、薬物の世界的な扱いの違いは薬物法マップ

ラマダン中の飲食・喫煙

ラマダン月(断食月)の日の出から日没までは、公共の場所での飲食・喫煙が禁止です。

ラマダン期間中は、日の出から日没までの間、公共の場所での飲食及び喫煙等が禁止となり、警察による取締りも行われ罰金等を課される場合があります。

観光客でも違反すると注意・処分の対象。またラマダン中の夜間は街に人が繰り出して各種事件事故が多発する傾向があると大使館も明記しています。

服装 — 露出は控えめに

イスラム教国のマナーとして、男女ともに大胆な肌の露出や体の線が強く出る服装は避けるのが基本。在クウェート大使館は「大胆な肌の露出や女性の夜間の一人歩きは極力避けてください」と明記しています。これは礼儀ではなく、性犯罪リスク低減の観点。

写真撮影 — 拘束事案あり

軍事関連施設・空港・港湾施設・宮殿・石油関連施設・通信施設・政府関連施設・各国大使館の周辺での写真撮影は禁止。

宮殿、石油関連施設、通信施設、政府関連施設、各国大使館、軍事関連施設、空港、港湾施設とその周辺での写真撮影は禁止されています。また、ドローンでの撮影はもとより、許可なく屋外でドローンを飛行させることは法律で禁止されています。

特にドローンは個人持込みもほぼNG。女性を無断で撮影しようとすると大きなトラブルになるとも明記されています。

銃器の流通 — 凶悪犯罪の遠因

クウェートで原則として銃器の所持は禁止されていますが、外務省はこう書いています。

イラク侵攻時に放置された武器弾薬や密輸された銃器等が密かに流通しており、しばしばこれらを用いた凶悪犯罪が発生しています。

夜間の偏った地区での犯罪リスクが高い理由の1つ。武装強盗の現実味がGCC他国より少しだけ高い国だと頭に置いておく。

タクシー — 流しタクシー強盗事案あり

クウェート市で観光客がつまずきやすいのが流しタクシー。

流しタクシーの中には認可を受けることなく、個人的に有料乗車させている者もいるので、タクシーを利用する際は正規タクシー(TAXIの表示灯や黄色ナンバープレート等で確認)を利用してください。また、時折タクシー運転手による強盗事案やセクハラ事案(性的関係を求められるなど)も報じられていることから、助手席に座ることは避け、乗車中も気を緩めることなく運転手の動向に注意してください。

正規タクシーは黄色のナンバープレートTAXI表示灯で識別。配車アプリはCareemが主流で、Uberも一部利用可能。空港到着フロアで「タクシー?」と声をかけてくる相手にはついていかない。詳しくはクウェート市のタクシー・交通トラブル

交通事情 — 死亡率は日本の3倍

クウェートは右側通行。制限速度は街中80km/h、主要幹線道路100〜120km/hと、日本基準ではかなり速い設定です。

2023年の交通事故での死者数は296人であり、人口10万人あたりの交通事故死亡者数は日本と比較し約3倍の高水準にあります。

人口約480万の小国でこの死亡数は重い。原因は過度な速度超過、ウインカーを出さない、無理な追越し・割込み、ながら運転が日常茶飯事という運転マナー。ジュネーブ条約非締結国なので、日本の国際運転免許証では運転できません。レンタカーは現地免許+現地保険で。

ラウンドアバウト(ロータリー式交差点)が多く、ロータリー内を走っている車が優先。慣れていないとぶつけられます。事故時の通報は警察・消防・救急統合の112番

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健康 — 夏期50度の酷暑・砂嵐・MERS

4〜10月の酷暑

夏期は気温50度近く・湿度も高い。日射病・熱中症は「観光中の散歩でも発症」レベル。屋外活動は朝夕に限定し、こまめな水分補給を。真夏の路面温度は靴底が溶けるレベル

3〜7月の砂嵐

強烈な砂嵐により気管支喘息等で病院治療が必要となるケースが報告されています。マスクやゴーグル、目薬を持ち歩いておくと役立ちます。

MERSコロナウイルス — ラクダ接触に注意

中東のラクダはMERSの中間宿主。ラクダとの接触や未殺菌のラクダ乳の摂取は避けるよう外務省が中東各国で注意喚起。観光地のラクダ乗り体験は避けるか、終わったあと丁寧に手を洗う。

医療 — 公的医療は外国人優先低、私立病院前払い前提

クウェートの公的医療は国民・湾岸協力会議市民が優先で、外国人は私立病院利用が現実的。私立病院では前払いを求められることが多く、海外旅行保険のキャッシュレスサービスが使える病院は限定的です。

外務省はクウェートの医療水準について「公立・私立を問わず、本邦同様の医療水準を期待することは困難」と書いています。医療スタッフの多くが国外出身で、十分なトレーニングを受けていないケースもある。さらに公立病院はクウェート人と非クウェート人で対応を区別しており、外国人が十分な治療を受けるのは難しい構造です。

現実的には邦人は私立病院を利用することが多いですが、私立病院でも重篤な救急疾患(多発外傷・脳卒中・心筋梗塞など)には対応が難しく、診療範囲が制限されます。重篤な疾患は日本や欧米への搬送が推奨されています。私立病院では前払いを求められることが多く、クレジットカードの限度額を上げてから出発するのが現実解。詳しくは中東旅行の保険ガイド

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主な犯罪・トラブル

クウェート市

通信手段

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緊急時の連絡先

連絡先電話番号
警察・消防・救急(統合)112(英語可)
在クウェート日本国大使館2530-9400
駐日クウェート大使館(東京)03-3455-0361

レベル3継続中は大使館機能の制限可能性があるため、外務省領事局・領事サービスセンター(03-3580-3311)にも連絡可能です。

主要都市の治安情報

出典