コロンビアで日本人が一番イメージしにくい手口が、薬物を使って意識を奪う昏睡強盗(エスコポラミーナ/scopolamina)。バーで隣の席の親切な相手、SNSで知り合った人、道を聞いてきた女性 --- 入口は普通の社交シーンに見えるのに、気づいたら路上で寝かされていて財布もスマホもクレジットカードも消えている。最悪死に至ることもあると大使館が書いている、コロンビアならではの手口です。
Travel Alert 01
海外の無料WiFiには危険が潜んでいる
あなたのアクセス、丸見えです
「自分の名前も言えなくなる」鎮静剤
在コロンビア大使館「安全の手引き」(2025年7月改訂)の昏睡強盗のページは、こう始まります。
鎮静剤を使用(空中への飛散、飲食物への滴下等)する強盗。多様な手口があり、知らない間に薬物の影響を受け、昏睡中に金品が奪われます。この鎮静剤が作用すると徐々に意識が朦朧として自分の名前も言えない状態になり、気がつくと路上で横になっていたという事例もあります。最悪の場合、薬物の作用で死に至ることもあります。
エスコポラミーナはナス科植物のスコポラミンが原料で、現地では「ブルガリアダスト(悪魔の息)」とも呼ばれます。微量でも記憶障害・意識喪失を起こし、犯人の言うがままに暗証番号を口にしてしまうことすらある。お酒に強い人でも関係ありません。
入り口は「日本語勉強しています」
大使館の手引きが繰り返し警告するのが、声かけの入口。
「日本語を勉強しています」「今度、仕事で日本へ行きます」「日本で住んでいました」等、突然知らない人から声をかけられても、基本的には無視して下さい
日本語を話せる現地人と打ち解けて、一緒にバーへ --- というシナリオが、そのまま被害例の入口になっています。コロンビアでは「親切な現地人」を疑うのが大前提。大使館は更に踏み込んで「飴、ガム、ジュース等を受け取っても、絶対口にしないで下さい」とまで書いています。
Travel Alert 02
海外の決済で3.5%も搾取されている現実
あなたは知っていますか?
地図に仕込まれた薬剤、タクシーの座席、SNS
入口は声かけだけではありません。手引きが挙げる主な手口は次の通り。
- 地図の罠: 「道を教えて下さい」と地図を広げ、地図に仕込んだ鎮静剤を空中に飛散させる
- タクシーの座席: 手すり等に仕込まれ、皮膚を通じて鎮静剤を吸収させる
- SNS経由: SNSやマッチングアプリで知り合いになった後、飲食の機会に犯行に及ぶ
- 飲食物への滴下: バー・レストランで自分の飲み物から目を離した瞬間に薬剤を入れられる
「地図を見せられただけ」「タクシーに乗っただけ」で意識を失うことが起こり得る、という発想が必要。皮膚吸収まであるため、タクシーは流しを使わず必ず配車アプリで呼ぶのが鉄則です。
メデジンの被害例 --- 意識を失って金品全部
外務省「コロンビア 安全対策基礎データ」の「日本人の被害例(メデジン市)」には、典型的な手口がそのまま並びます。
※実際の被害報告をもとに再構成した事例です(出典:外務省「コロンビア 安全対策基礎データ」日本人の被害例(メデジン市))
別の事例ではマッチングアプリで知り合った女性に会いに行き、美人局の被害に遭った日本人もいます。「Tinder観光」をエスコポラミーナの入口にしないために、マッチングアプリで知り合った相手と現地で会うこと自体を避けるのが安全です。
Travel Alert 03
無料クレカの"海外旅行保険の限界"は?
補償額をふやすウラ技も
「銀行追跡強盗(フレテオ)」も同じ仲間
エスコポラミーナと並んで大使館が警告するのが、銀行追跡強盗。銀行で多額の現金を引き出した人を尾行し、警戒の緩い場所で襲う手口です。
銀行内には、犯罪者との内通者がいるものと常に想定する。銀行から出たところを狙われないように周囲を警戒する。自宅に到着し安心した瞬間を狙われないように最後まで警戒を怠らない。
ATMでまとまった額を引き出すなら、銀行の中で完結させて、外に出てからもしばらく行動を変えること。中南米ではペルー・リマのマルカ強盗、サンパウロでも拳銃強盗が日常で、ATM後の追跡強盗は地域共通の手口です。
手口早見表
| 手口 | 場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| 飲食物滴下 | バー・レストラン・クラブ | 知人ぶった相手の飲み物・席を離れた隙 |
| 地図仕込み | 路上 | 「道を教えて」と広げる地図に鎮静剤 |
| タクシー座席仕込み | 流しタクシー | 手すりに塗布、皮膚吸収 |
| SNS・アプリ | 観光地・夜の街 | 「Tinder観光」で美人局+昏睡強盗 |
| 飴・ガム配布 | 路上・バス停 | 親切を装って手渡し、口にすると即作用 |
| 銀行追跡(フレテオ) | ATM・両替所 | 内通者が多額現金引き出しを共犯者に通報 |
Travel Alert 04
知らずに大損している海外ATMの罠
DCCって知ってますか?
出発前にやること・現地でやること
出発前
- マッチングアプリは現地で使わない(日本でだけ使う設定に)
- 海外旅行保険は盗難・医療搬送・賠償を含む補償で加入
- スマホ・カードの即時停止連絡先を紙で携帯(意識朦朧時は端末に頼れない)
現地で
- 知らない人に声をかけられたら目を合わせず立ち去る。これが最大の防御
- 飲食物は自分が見ていなかったら飲まない・食べない。トイレに立った後の飲み物は捨てる
- 飴・ガム・ジュース・ペットボトルを受け取らない
- タクシーは配車アプリ(Uber、DiDi、Cabify、Easy Taxi)で呼んだものだけ
- 多額の現金を一度に引き出さない、ATMは銀行内のものを使う
Travel Alert 05
空港であなたを待ちうける5つの罠
準備はできていますか?
被害に遭ったら
- 意識が戻ったらすぐに警察・救急(123)に通報
- 観光警察または最寄りの警察署で被害届(Denuncia)を出す → 盗難証明書を発行してもらう
- 病院で薬物検査と健康確認(サンタ・フェ・デ・ボゴタ病院 601-603-0303、カントリー病院 601-530-0470)
- クレジットカードを即停止、銀行口座の利用履歴を確認
- パスポート盗難・紛失なら大使館領事部 (601) 317-5001で再発行手続き
- 海外旅行保険会社へ連絡(24時間多言語ダイヤルあり)
よくある質問
エスコポラミーナって何?
ナス科植物から抽出されるアルカロイド系の薬物(学名スコポラミン)。コロンビアでは強盗の道具として悪用され、飲食物への滴下や空中への飛散で被害者の意識を奪います。被害者は意識朦朧となり自分の名前も言えない状態になり、暗証番号を聞き出されたり、ATMに連れて行かれて現金を引き出されたりします。最悪の場合は死亡事例もあります。
ボゴタで知らない人に話しかけられたらどうする?
大使館は「日本語を勉強しています」「今度仕事で日本に行きます」「日本に住んでいました」等の声かけは基本的に無視するよう明記しています。地図を広げて道を聞く相手にも近づかない。親切心や礼儀を返す前に、まず距離を取って立ち去るのが正解です。
飲み物や食べ物を勧められたら?
飴・ガム・ジュース・水のペットボトルでも、知らない人物から受け取ったものは絶対に口にしないでください。封のされていないペットボトルや、相手が一度開けたものも危険です。レストランやバーでは、自分の飲み物から目を離さないこと。
SNSやマッチングアプリで会うのは危険?
大使館は「SNSを通じて知り合いになった後、飲食の機会に昏睡強盗に及ぶ手口」を明記しています。メデジンの被害例では「マッチングアプリで知り合った相手と接触し美人局に遭った」「女性から声をかけられ食事中に意識を失った」事案が記録。Tinder観光は文字通り命懸けです。
昏睡強盗に遭ったら何をする?
意識が戻ったら、すぐに警察(123)に通報し、観光警察または最寄りの警察署で被害届を出してください。盗難証明書は保険請求と再発行手続きに必須。次に病院(サンタ・フェ・デ・ボゴタ病院 601-603-0303)で薬物検査と健康確認、大使館領事部(601-317-5001)にパスポート紛失等の連絡を入れます。